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フィンランド篇❶ホワイトアウト

世界も頭も真っ白に

私の母校では、大学受験準備のため、人生最後の修学旅行は2年生で行くことになっていた。

6月、大学受験の準備に追われる生徒たちの耳に今年度の修学旅行の行き先が発表された。昨年は、マレーシアとシンガポール、その前はバリ島と、基本的にアジアが中心だった。私は、部活の研修もアジアばかりだったので、「またアジアだったら、ちょっとつまらんな…」と、さほど期待せずに発表を待っていた。


ガラガラと音が鳴り、小太りの担任「きよっぴ」が入って来た。きよっぴは、どこぞの原住民のような出立ちの歴史教師で、遅刻常習犯である。

きよっぴは、ぽてぽて教壇まで歩くと

「皆さん、今年の修学旅行先が決まりました!」と宣言した。


「おおっ!?」


まだ何も発表していないのに、教室中に拍手喝采が沸き起こる。

そこから約2秒の間が開き、聞こえて来た国名は


「今年は……フィンランドです!」


そして一瞬時が止まった。

生徒たちは少し黙って、そこからガヤガヤし始めた。


「…フィンランド?」


「フィンランドって北欧やんな?」


「なんでフィンランド…?」


私は初めて宇宙人を見た時のような顔で「フィンランド」と書かれた黒板を眺めていた。


学校はなぜフィンランドを選んだのだろうか…

誰かフィンランドによほど思い入れのある教師でもいたのだろうか。

楽しみではあるが、飛び跳ねるほどの喜びがあるわけでもない、何とも複雑な心境で2年生250人はその時を待つことになった。


サンタやムーミン、マリメッコ、サウナなど、我々にも馴染みの深い文化を持つフィンランドだが、国を表現する時は、「森と湖の国」と称される。国土の65%以上が森に覆われ、10%は美しい水であるためだ。ちなみに、森林面積の大きさは世界最大である。

挿絵(By みてみん)

飛行機の中で一夜を過ごし、子どもたちはサンタの国に降り立った。生徒の中には、これが初海外だという者も多かった。生まれて初めて飛行機に乗った時間約10時間、初海外で降り立った地は極寒フィンランドと、3泊5日の修学旅行はなかなかハードな幕開けとなった。それでも私を含めた皆は、初めて降り立つヨーロッパに大興奮だった。この後、大きな試練が待ち受けているとも知らずに。        


…jatkuu(続く)

今思えば、学校も随分思い切った、面白い試みをしたと思います。

フィンランドなんて、個人旅行で行くことなどなかなか無いし、人生の中でもダントツで貴重な体験でした。

オーロラが見れなかったのが少し残念でしたが、これまでの旅行とは一線を画す、強烈な思い出になりました。貴重な体験をさせてくれた学校に、感謝感謝です。


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