6番
「…お、おはようございます!」
あの後寮に戻り自室に入るとあまりにも濃すぎる1日だった事や女の子同士の友情というのはあんなにも激しいものなのかと悶々と布団で転がっていると気がついたら寝ていました。
「あ、おはよぉ光威ちゃん!」
「ん、おはよう光威さん。」
2人とももう教室に来ており何か話していたようだ、一体何の話をしていたのでしょう。
席に荷物を置くと窓から気持ちのいい春風が吹き込んでき、綺麗な青空が広がっています。
そうです、こういうのですよ!
友達とお話でもしながらこんな綺麗な風景を楽しめるような!
昨日は少し特殊すぎたのです。
だから今日はとっても楽しい___
「光威ちゃん、今日のテストの自信どう〜?いま紫条さんとその話を〜…」
「………もう…終わりです……」
「光威ちゃん!?」
思わず膝から崩れ落ちてしまいます。
ふふふ…テスト……テスト……?入学2日目でテストですか……?
お、お母様はもう勉強はしなくてもいいと…
「ま、まぁそんな大袈裟にリアクションしなくても大丈夫じゃない?所詮ただの実力判断テストでしょうし、中学校レベルの問題しか出ないわよ。」
「そうですよ!」
「…勉強したくないです……」
「光威さんは学校を何する場所だと思っているの……?」
「…友達を作る場所……?」
「小学校からやり直させた方がいいわね……」
ふ、ふふふ…確かに勉強は嫌いですがこうしてこの学園に来れる程度には大丈夫なはずです。
合格通知表が届いてから文房具に一切触っていませんが。
「…まあ、何とかなります。」
「そうですよ!そうやって強気にいけば案外何とかなりますよ!」
「…うん…」
うん!明さんもこういっていますし女は度胸、何でも当たってくだければ何とかなるはずです。
そう思っていると紫条さんがなにか思いついたのかハッとしていました。
「あ、じゃあこうしましょ?終わったら皆で結果を見せ合いましょう?」
「え゛」
「…良いですね、」
「あ〜いや〜その私は辞退させて〜」
「ダメよ明さんもやるのよ。」
「…そうです。」
「う〜…その引かないで下さいよ?」
「大丈夫よ」
「…どんな点数でも、大丈夫です。そんな事じゃ友情は崩れませんよ……!」
ふふふ…今の私ならこんな事もすらっと言えてしまいます。
正直…昨日の2人にされたことを思い出すと何でも怖くないですね!
「…そうです、1番点数が高かった人は最下位の人に何か命令できるなんて…どうですか…?」
「え゛っ!?」
「良いわね!そうしましょうよ。……ほらっ明さん?逃げるのはダメよ〜?」
「いやっそのぉ!絶対後悔しますって!やめましょこんなこと!?」
「…ふふふ…問答無用です……」
しれっと逃げないようにする為に明さんに抱きつきます。あああ……この……良い髪の匂い……ふわふわしてます……
「(スンスンッ)…………?」
「ほらっ抱きつかない抱きつかない。先生ももう来たわよ。」
「…残念……」
「………いや…流石に……」
「?…どうしたんです?明さん?」
「えっいや〜私の気の所為だったみたい!気にしないで!」
「…はぁ……」
どうしたんでしょう、私が抱きついてから何やら怪訝な顔をしています。
「はろ〜も〜に〜ん。やあやあ皆ちゃんと来てるかい?テストが嫌なのはわかるけどサボりは強制的に連れてくるからな〜?」
私たちの担任 西森 咲子先生が入ってきました。
昨日とは違い今日はラフなスーツに近い服を着ていて身長も私より低く可愛らしい先生です……?昨日筋肉があったような……?
「ほらっ席につけつけ〜」
おっと、早く席につかないと。
それにしても…テストですか……うう…やっぱり嫌ですね……窓の外でも眺めていれば終わってしまえば良いのに……勉強は少ししか得意じゃないので不安です。
まあ、だとしても少し抜けてる紫条さんに自信なさげな明さん…負けることはないでしょう。
ふっふっふっ…もし1位だったら何を命令しましょうかね……
あっ、プリントが配られてます。
まずは国語からですか……
「は〜い、試験始め!」
いざ尋常に!
____________
………………ふっ……完璧、ですね。
隅から隅まで埋まりましたよ。
ただいま4時限目の数学が終わったところです。
恐らく5、6時間目に返されるのでしょう。何とも結果が楽しみです。
ふふふ…私の勝ちは揺るがないでしょうから2人をからかいにいきましょう。
「…ふふふ…どうでしたか明さん、紫条さん…」
「ううう…やけに自信ありじゃない…私はもうダメ、もうたった2ヶ月くらい前のことなのにすっかり忘れちゃったわね……」
「あはは……私も、その〜まぁまあでしたかね……」
「…どうやら、私の勝ちみたいですね、放課後が楽しみです。」
昨日はやられっぱなしでしたからね。今日は私が2人ともっと親交を深める為に少しお出かけやお話を聞いてみたいですね…
「うーん、まあ悩んでも仕方ないわね!ほらお昼食べいきましょう?」
「そうですねっ光威さんも行きますよ!」
「…………?お昼?」
「「え?」」
「…?あ、ご飯ですか?私も行きますよ」
「え、ええ…?」
「(ボソッ)明さん、今の何かわかる?」
「(ボソッ)いやそれがさっぱり…」
「…ところで、ご飯はどこで食べられるんですか…?」
「え?あら食堂の場所知らないのね、こっちよこっち」
「はーい…」
私たちの教室がある校舎からでて隣にある訓練所の2階に食堂はありました。
何でも訓練後にすぐ食べたい人が多くいるからとか何とか、気持ちはわかります。
「まあそんなんだから…ちょっと汗臭いわね…美味しい匂いもするけど……」
「あはは…少し気になりますね……」
「…そうですか……?(スンスン)……あ、でも…美味しそうな…匂いが……」
ああっ体が止められません…!ふらふらと匂いのする方にいってしまいます。
「あっ、こら!止まりなさい!ちょっとそっちは買う場所じゃないわよ!」
「………美味しそう……」
「このっ…手足をばたつかせない!ほらっこっちよ!」
「…あぁぁ〜……」
「…野良猫みたいですね……」
むぅ…紫条さんに引っ張られ着いた場所は何やら美味しそうな見たことも無い料理が沢山並びそれを配っている白い服のおばさん達も沢山います。
その料理たちは今にも食べてくれと言っているようで……
「…おお!すっ凄い!凄いです!あ、明さんこれ、これ全部食べていいんですか!?」
「え、あぁはい、そうですよ!」
「わあ…わあ〜…ど、どれを食べましょう、悩みますね、いっそ全部食べちゃいましょうか…?」
「こらっ光威ちゃんちゃんと食べられる分だけですよ残したらダメですからね。」
「…むっ、子供扱いしてますね、私だって残すことはいけないことぐらい分かってます。」
「ほらっ、どきなさい私はもう食べるもの決めているのよ、後ろに並びなさいな。」
「…むぅ…ずるいですよ、私が並んでたのに」
「あなたを待ってたらいつまで食べられなくなっちゃうでしょ……」
しかたないじゃないですか…こんな美味しそうなものから食べれる分だけ選ぶなんて…私には出来ない…!
そうしてしばらくうんうん悩んでいたら明さんが私に素晴らしい提案をしてくれました。
「あっそうだ!光威ちゃん悩むなら私と違うのを頼んで一緒に半分こしませんか?それならお互い色んな種類が食べられますし」
「…!それ、それいいですね!なんか、こう、凄い友達っぽいです!」
「…むっ、私も、私もやるわよ。ちゃんと混ぜなさい!それならもっと色々食べれるでしょ!」
焦って話に入ってくる紫条さんを見ると何だかイタズラしたくなってきます。
昨日の仕返しです!
「………寂しかったんですか?」
「なっ!違うわよ!」
「ははーん…私は光威さんと友達レベルがアップできて嬉しいですよ〜?」
「…私はそんなに食べられないかもな〜…」
「〜〜っ!分かったわよ!寂しかったわよ!ほらこれでいいでしょ!だから仲間に入れなさい!」
「…仕方ないです…」
「あはは、可愛いですね〜…………((ボソッ食べちゃいたいくらい」
「もうっ…」
ふふふ、昨日からかわれた理由がわかった気がします、確かにこんなに可愛かったらからかいたくも……なんだろう、隣から寒気が。明さんから恐ろしい雰囲気が、なんだろう素の明さんが見えてません?
「……………紫条さんも……良いですね…………」
「…明さん?」
「どうしましたか?光威ちゃん?」
「………なんでもないです……」
……食べられる…気がしました。
い、今は私がご飯を食べる時ですから……
その後3人でわけ合いっこをしてご飯を食べました。あんなに色んな種類の料理は初めて食べましたけどはっきり分かりました…
お母様は…その……料理が下手だったのですね……
まぁ元々お湯を入れるだけの料理でしたからそんなものだったのかも。
それはそれとしてこの茶色いドロドロ!……え?かれー?なるほど!このかれーというものはとても美味しいです!
他にもお母様の作る料理ににたらーめんとかうどんも美味しくはありましたが特にかれーが美味しかったです!
こんなに食べれたのですから午後はとびきり元気に受けられそうです!
「…カレー食べたことない人って見たことある?」
「いや…初めてですけど……まあ、そんなこともありますよきっと。」
これで2日目ってマジ……?






