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野良と駄犬のご主人様!?  作者: パンデミック二頭筋
第一部 距離感ガバガバ選手権
3/27

1番

煌めく校舎。

広がる並木道。

光る筋肉を携え丸太を担いだ二宮金次郎像。


今、学園を前にして感じる緊張に足が少し竦むが、嫌な緊張では無いことに安心を覚え聳え立つ校舎に目を向ける。

そして再度覚悟を決める。

そう、私はここで友人をつくる。


今までの人生で友人というもの…というかお母様以外の人に会うのは初めてになるだろう。


私、光威(みつい) (ひかり)は友人は疎か知人すらいないのである。

何故なら私は光威家で生活できるようになったのが2年前でそれからまともに外に出ていなかったからである。

そもそも私の家は私の家ではない、光威という名前もたまたま貰ってしまったもので今でも困っている。


しかし遂に家から出ることが許されたのだからお母様の言っていた事をやってみたい、そう思ってしまった。

私の知らない事をなんでも知っているお母様が教えてくれた大切な事。


桜が舞う道を歩く度に考えた事もないような想像が広がって行く。

周りを歩く少年少女筋肉を見る度きっと青い春が待っている、そう思ってワクワクする。


高い校舎を眺め、気持ちをぐっと噛み締めながら歩みを進める。

一体この先にどんな出会いが有るのだろう、上を見ながら進む、が


「わわっ!?」


そんな気持ちも急な衝撃でふっと晴れる。

校舎を気にしすぎたせいかふらふらと歩いてしまい前にいた人にぶつかってしまった。


「…あ、ごめんなさ…」

「わっあ、ごっ、ごめんなさい!すいません!ぼけーっと止まってたから!先輩ですか…?そのっ、あのっ……ごめんなさいぃ……」


私がぶつかったにも関わらず頭を下げ謝ってくる子はとても背が小さくふわふわとした髪の思わず撫でたくなる雰囲気の少女だった。


なんというか見ていると抱き締めたくなる、かつて持っていたぬいぐるみと同じ雰囲気を感じた。

しどろもどろになりながらずっと謝り続けている彼女を何とか宥めようとするも


「まさか先輩がこの時間帯にいると思わなかったんです!すみませんすみません!も、もしかして何処か痛めましたか!?」

「…その……大丈夫…」

「ほんとですか!?あっその!えーそのー……!」


なんというか彼女は一体何に謝っているのだろう……

大丈夫と言っても全然聞き入れてくれないので何とか落ち着けて上げたい。

そう思い何とか考えを絞り出そうとじっと彼女の顔を見つめる。


「……あのっ?怒ってます……?」


いけない、じっと眺めていたら怒っていると勘違いされてしまったようだ。

だが、私はここで名案が浮かんだ。


先輩とよんだということはどうやらこの子は私と同じ1年生のようだ、ならば是非私の友人1人目になってもらいたい。

うなれ私のパーフェクトコミュニケーション能力……!


出来ればあの頭を撫でてみたい……


「………そうね…」

「そうね!?」

「…あなたと…お話がしたいわ…」

「ひぃ……」


?何故か彼女は更におびえている。

だがこれも仲良くなるための第一歩だ、私の完璧完全無敵会話能力を使えば問題ないはずだ。


「……どうしたの」

「ひぃ…あの、謝りますのでっ怒らないで頂くと……その……」


ダメだったようだ。もしかして目付きが悪かっただろうか。

笑顔…笑顔を意識するのです。

あの初代校長像の煌めく肉体のような笑顔を!

まずは仲良くなる前に誤解を解くために話をした方が良いはず


「…いや、違う…」

「嫌!?あっいやっいいんですすいません私なんかが生意気にぃ……」

「…だから……違うと」

「もしかして謝る事が違うと!?わっ私何かしちゃいましたか!?そのえっとえっと、な、何をしでかしたんです!?私!?」

「…………えっと…」


おかしい。話が…通じない?

もしかして私が普段行ってきた会話は会話として成り立っていなかったのかもしれない。


いや、もしかしたらこの子が特別なだけ……

そう言えばお母様は基本私と話す時はずっと喋りっぱなしだった事を思い出す。


どうやら2年間培ってきた会話術は使い物にならないようだ。


「…いや…その……まず私は、別に怒って(キーン…コーン…カーン…コーン……)


無くした自信をなんとか取り繕い話し掛けようとした途端校舎からチャイムがなる。


余鈴がなり始めたようだ、もしかしたら私は学園単位で会話が出来ないのかもしれない。

もう若干諦め気味になってきた。

それでも会話をなんとか続けたい、そう思うが会話を優先して初日から遅刻する訳にも行かない、そう思っていたら


「わわっ!?もうこんな時間ですか!?すいませんっ…!流石に入学初日に遅刻する訳にはいかないんです!あのっお説教でも罰でも何でも受けますので放課後ここでお待ち下さいーー!」


まくしたてられ彼女は凄いスピードで去っていった。


結局、私は学年も何もかも勘違いされたままのままだった。

もしかしたら彼女は会話が苦手だったのかもしれない。


「……行きますか…」


私は初日にして早速友人を作ることが出来たかと思ったが、失敗してしまったことに少し凹みながら教室に向かった。



________________



クラスにつき、チャイムギリギリという事もあり既に全員が揃っており先生が話を始めた。

入学初日という事もありどちらかと言うと事務的な内容を話していてしっかり聞かねばならないが私は他のことに気が囚われていた。


先程の少女が隣の席だったのだ。


しかもその少女はなんか、もう気の毒になってくる位に怯えていた。


(ひょあぁぁぁぁまさか同い年だったなんて……うわあああああどうしよおおおお……)


いや気の毒だ間違いなく。

小声でずっと何か話しているし椅子ががたがた言い始めてるし加えて先生もなんだが怪訝な顔でこっちを見ている。

私がどうにかするしか……


「……あの」

「ひぃっ!?なっ何です!?あっあっいやっその!先輩って言ったことは謝りますし!その!お、お金!?お金で許してくれますか!?」


もうダメかもしれない。


先生が完全にこっちを睨んでるし周りの生徒もこっちを凄い見てくる。

主に私を。


違うんです、私はただ仲良くしようとしただけで。

その、少し失敗したかもしれないが仲良くしようとしただけです。


「おーい、そこの…えー、光威さんと明さん?もう仲良くなった…?のかもしれないが今はホームルーム中だよぅ、イチャイチャするなら後にしてくれよー」

「わわっ!?ひゃい!すみません!」

「……すみません…」


初日にして先生に怒られてしまった、これは俗に言う不良というものなのかもしれない。でもそういった学園生活も少し楽しそうだ。


そしてこの少女は明さんと言うのか、彼女らしい明るくていい名前だな、下の名前も是非知りたい。


それにしても……今仲良くなったと先生は仰っていたな。

もしや周りからはそう見えている?つまり…怯えているように見えて私と友人になってくれたのでは?


成程、それなら納得行く、これが普通の友人関係というものなのだろう。

成程成程。これが友情表現と言うやつなのか、私は基本が分かっていなかったのですね。

つまりパーフェクトコミュニケーションは成功していたのです。

それにしても明さんは私がしたかったことをあっさり成し遂げてくれるとは……うん、嬉しいな。


つまり勘違いしていたのだ、なら友人としての友好を深めるのが大事だろう。


まずは挨拶から


「……よろしく…ね?明さん…」

「……きゅう……」


私の気持ちを込め、精一杯の笑顔でその一言を発したら少女は白い肌を更に真っ青ににして気絶してしまった。


慌てて揺さぶるも起きても私に怯えているし……こんな調子で友達100人作ることができるのでしょうか?

まだ1人目で手一杯だなんて少し不安になってきました……





(……ふふふ、もうちょっとだけ虐めてから…ですかね?)


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