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野良と駄犬のご主人様!?  作者: パンデミック二頭筋
5月だ!青春!体鍛祭!
21/27

17番


「せっ……戦争ですか…痛いのやですよ……」

「大丈夫よ。多分表立って殴り合うわけでもあるまいしね」


しかも学年対抗ということは他のクラスと協力することになる訳ですし……

嫌だなぁ……


「ほら露骨に嫌そうにしないでちょうだい、私だってあのチャラついた女に協力なんてしたくないわよ」

「…ちゃら…?まあそれはともかく戦争というなら負けたら何かあるんですかね?」

「確か…あるわね。志星はそれを決めに行ってるんじゃないかしら?」

「…なるほど…あ、私お代わり取ってきます。」

「…午後の訓練でお腹痛くなっても知らないわよ」

「ふふん、大丈夫です私のお腹は強靭ですからね」

「…よく言うわ…」


席をたちそそくさとおばちゃんのいる方に向かいます。

確か今日は肉じゃががあまり気味だった気が……お、ありますね…む?この…ぎょーざ?……量が足りませんね…いい匂いですけども。

むぅ…悩みますね。もういっその事どちらも食べますかね…?いや流石に……


…………ん?あれは…志星さん?


悩みながらもふらふら周りを見ていると食堂の入口辺りで志星さんがいるのが見えました。

あれ、もう終わったんですかね?


……え?


志星さんは俯きながら顔を拭い肩を震わせていて……


え……?志星さん…泣いてる?

あ、あ、え?

な、なんで…!


気がついたら私は志星さんの方に駆け出していましたが、動揺しているすきにもういなくなってしまい、私は立ち尽くす事しか出来ず…

……み、見間違い?もしかしたら別人だったかもしれません、でも…もし志星さんだったら……


私の中で結論はでず後で聞いてみようと思いソフィアちゃんが待ってるテーブルに帰りました。


「…あら、おかえ…………今度は何?」

「…よく分かりますね。……今見間違いじゃなかったら……志星さんが泣いてた気が……」

「志星が泣いてた?……あなた最近何かした?」

「いえ何も…」

「でしょうね、私も一緒にいたけど特に何も無かったものね……だったら…まさか体鍛祭?でもあの子がひかり以外のことで泣くかしら…?」

「私は確かに振っちゃいましたけど別に友達としては普通に接してたつもりです……」

「うーん…ま、後で聞いてみましょ。大丈夫よ、友達ってそういうものでしょ?お互い話せばいいのよ。」

「………!そうですね!よし!そうしましょう!」

「現金ね…」


そうです!友達としてお悩み相談は必須です!ちゃんと聞かせてもらいますからね!



_________



「って……思ってたのに……」

「訓練今日は違う部門だったわね…仕方ないわ部屋に押しかけましょ?」

「そうしますか…」


今日の訓練は志星さんは射撃部門にいたようで私たちの訓練所とは真逆の位置で全く会えませんでした…


もやもやしたまま訓練をして錦宍先生に頭を二三度ぶっ叩かれました…次は金的ですからね。

なんやかんやで終わり帰ったらお風呂に行ってから志星さんの部屋にどう押しかけるかソフィアちゃんと話していると、筋肉と坊主頭の筋肉が志星さんを囲んでいるのが見えました。


「…!?ソフィアちゃん!あれ!」

「!行くわよ!」

「はいっ!」


どう見ても仲良く団欒には見えません、明らかに険悪な雰囲気ですし若干怒鳴り声も聞こえてくる…刀に手をかけながら走り出します。

いざとなったらたたっ斬ってでも…!


「……………」

「だからてめーはよ!」


っ!こいつか!こいつのせいで志星さんは泣いてたのか……!


「…何してるんですか、志星さんから離れてください。今すぐに、とっとと。早く。」


いらだちを隠す気もごま隠す気もなく今すぐに斬ってやるという意志を見せつけながら話しかけます。

少しでも選択を間違えたら切ります。切れます。

ここはぎりぎり学校の空間ですから痛みだけを叩き込むことも可能ですからね。


「あ?んだてめぇ…」

「ちょっと、そこの方。筋肉も志星に何してるのかしら?返答次第じゃ然るべき対処をさせてもらうわよ?」

「んだと?」

「…離れろって言ってるのが分からないんですか?斬りますよ?」

「あ゛あ゛!?」

「…あ?」

「…っ!ひかりちゃんソフィアさん!?な、なんでここに……」


志星さんが焦ったようにこちらに話しかけてきます。

安心してください、こんなチンピラに負けるようなやわなきたえ方はしてません、声と図体だけでかいような奴に絶対に負けません。


「おい、てめぇら1年か?」

「そうよ、彼女私の友人なのだけど何してるのかしら?答えてくれない?」

「ちっ…一年坊が生意気に喧嘩売ってんじゃねぇよ俺はこの身の程知らずに話さなきゃいけねぇことがあんだよ」

「……斬られたいならそう言ってください。」

「ちょっとひかり……で?答えてくれないの?」

「…てめぇら力試点数は?」

「は?」

「力試だ力試、とっとと答えろ」

「…403よ」

「…てめぇは?」

「………496」

「は?……特待生か、てめぇらはいい、別に話す気も喧嘩売る気もねぇよとっとと失せな、このガキに現実ってのを教えてやんねぇといけねぇんだよ」

「…だからっ志星さんから離れろってっ……」

「ひかりちゃん!だめ!」

「てめぇは動くんじゃねぇ!」


っ……!この坊主っ…絶対斬ってやる!


「ひかり!抑えなさいっ」

「……………っ指1本でも志星さんに触れたら斬る。問答無用で斬る。頭から叩き割る。分かりましたか?」

「ちっ…めんどくせぇ…てめぇらとはヤル気はねぇってんのに…」


この坊主何がしたいのかも何言ってるのかもさっぱり分からないです。とっとと斬ってしまうのが早いでしょうに…


「あなた名前は?」

「あぁ…?(がく) 貂亥(てんがい)、2年、仙組。満足か?」

「そ、ありがと、私は紫条ソフィア。1年覇組よ。」

「…てめぇも覇組かよ……めんどくせぇな本当に…」

「で?何があったか教えてくれてもいいんじゃないの?」

「……このガキが俺らに生意気言ってきたから力のねぇやつがいきがったらどうなるか教えてくれてやってんだよ…………ちっ…萎えた。帰るぞ木偶」

「うっす」

「そ、もう関わんないでね、次はこっちも抵抗するわよ」

「はいはい、うっせぇな…」


よく分からない理由をつけもう帰ろうとします。何を言ってるんでしょうか…?

ダメです。道理というのは通さなければ意味が無いんですよ。


「…………おい、謝れ。」

「……あ?」

「……志星さんに謝れって言ってるんです。分からないんですか?」

「ひかり!もういいから帰りましょ!」

「…意味はわかんないですけどあなた達が志星さんを傷つけたのだけは分かりました。早く謝って下さい。ぶった斬りますよ。」

「てめぇ…さっきから黙って聞いてりゃ…そっちの紫条家のお嬢さん見てぇに賢く出来ねぇのかあぁ?」


ビリビリと肌を叩くように殺気が飛んでくる、明らかに強い…下手したら私よりも。

だとしても関係ないです、私も殺気をぶつけるように睨みつけます。

この意味不明な坊主頭をたたっ斬るまでは辞めるつもりはないですよ。

そう思っていると、志星さんが話しかけてきます。


「……ひかりちゃん、帰ろう?私のせいで怪我したら嫌です。私は気にしてませんから、帰りましょう?」

「…っ志星さん……でも!」

「いいの、ごめんね…ほら、帰りましょう?」

「………………分かりました、命拾いしましたね坊主先輩、次志星さんの前に現れたら斬りますから」

「クソガキが…まあてめぇはいい。おい、そうやって強いやつに媚びて生きていけよ!てめぇみてぇなサポーターにしか慣れねぇ様な奴はよ!」

「っ!だからっ…!」

「……ひかりちゃん!」


くそっ…!あの坊主!ほんとに!絶対斬ってやる!

坊主頭はそのまま笑いながら筋肉を連れ校舎の方に去っていきます。

後に残ったのは行き場のない怒りを抱えた私と呆れているソフィアちゃんと……落ち込んでいる志星さんの3人だけでした。


「…はぁ…とりあえず帰りましょ。私お風呂入りたいわ」

「……そうですね!ほら帰りましょう、ね?ひかりちゃん」

「…………はい…」


…何があったのか詳しく聞かないと…



__________



あの後部屋に一旦戻りお風呂で集合したところです。

志星さんが明らかに誤魔化そうとしているので2人がかりで聞こうとして体をもみくちゃに洗ってやります。


「志星ちゃん、何があったか教えてもらうわよ」

「…そうです、早く教えてください。あの坊主に何されたんですか!」

「んぷっちょっと!あ、頭はやめてっ…っ!?ソフィアさん!どこ触ってるんですか!」

「胸よ」

「そんな堂々と!」

「…!私よりありますね!」

「ほっおっ、あっひかりちゃん…触ら……うへへ…」

「一瞬で溶けたわね。今のうちに洗っちゃいましょ、ほら頭流すわよー」

「私下半身洗ってあげます」

「あっこら、ダメよ。今は可哀想だからやめてあげなさい」

「……?じゃあ背中洗って…あ、ボディタオル忘れちゃいました。手で洗ってあげます。」

「あっひかりちゃっだ…ひんっ!?あっ…あ、あっ……あ〜……」


ふふふ、気持ちよさそうにしてますね、ついでにマッサージもしてあげちゃいます。

私のマッサージは凄いですよ!爺やにしてあげたら一日中腰が抜けて使い物にならないくらいでしたからね!


「あ〜……ほおっ!?だ、だめ!ひかりちゃん!それ以上は…………あ……あぁ……」

「わ、凄いわね。後で私もやってもらおうかしら」

「ふふふ、いいですよ。志星さん?そんなに気持ちいいんですか〜?もっとやってあげます!」

「…ひっ……か、勘弁してくださ…あひっ…」

「…………違う意味で気持ちよくなってるわね?」


ふふふ…私はなんでも出来ま…あ、いや勉強以外、勉強以外ならなんでも出来ますからね!マッサージなんてお手の物ですよ!


本当なら太ももとかもやってあげたかったのですがソフィアちゃんに止められたので大人しく洗い流して終わりにしました。


腰が抜けてる志星さんを抱えて浴槽に浸かりながらソフィアちゃんの手をマッサージしてあげます。二の腕が少し突っ張ってますね…


「あ〜…確かに…凄いわ……絶妙にくすぐった気持ちいい……」

「こ、腰が…まだ余韻で…」

「私にかかればこんなものです。ふふん」

「はいはい…………で?何があったの?そろそろ答えて貰うわよ志星。」

「……誤魔化せませんか…」


……や、忘れてないです。

ちゃんと覚えてましたとも、えぇ、楽しくなっちゃって忘れたとかないですよ?


「…う〜…その、そんなに気にすることじゃないんですよ?ただ…」

「…嘘です。またですか?もう分かってるって言いましたよね?」

「…はい…いや、その、実はあの人体鍛祭の実行委員の1人なんです。」

「あら、あの人が?」

「はい、それで…実行委員会で…」



話を聞いたところ、どうやら実行委員会に志星さんが行った時何か意見を出したらしい、志星さんは頭がいいので何かいい策を思いついたのでしょうね。

それで話したところ…


「…あの人にお前見たいなまともに戦えない奴には発言権はないって……久々に言われましたね、この学校に来てからは無かったんですがやっぱり何処にも力関係が第一の人は居ますね…それに本当の事ですから何も言えず……」


その後は会長が止めてくれるまで一方的に怒鳴られていて、終わったあともそもそもこの学園でかなり重視されているらしい体鍛祭の実行委員に相応しくないとかいって止めさせようとしてきたらしい。


「それで、その…売り言葉に買い言葉で思わず言い返したら……お前のようなサポーターにしかなれない奴に人権なんてあるわけない…とか何とか言われて……」


本当に力社会の悪いところです。私は自分でも多少は頭が悪いことを自覚しています、多少は。

ですから自分で動くより志星さんに動かしてもらった方がきっともっと働くことが出来ます。

所詮脳筋が蔓延る世の中ですからいかにその力を使えるかが、この先で問われると言いそれを育てる為の学園でサポーターをバカにするんですか…


(注釈……サポーターとは所謂頭脳係です。国会の中枢である大胸筋のサポーターだったら大胸筋サポーターと呼ばれたりします。忘れても大丈夫です。)


「……わ、私は…分かってるつもりでしたけど…そう面と向かって言われると……流石に、その……ショックで……私…何も言い返せなくて………」


そういいながら涙を見せないように顔を拭いながら話を閉めました。

ふんふん…なるほどつまりは……


「…あのハゲたたっ斬ってきます。」

「ちょっと待ちなさい、この…ちょっと!?本当に聞こえてないの!?と、止まりなさい!このっ…しほ!やっちゃって!」

「あ、わっごっごめんひかりちゃん!(ピギッ)」


あー!?足首に意味不明な痛みが!?




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