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野良と駄犬のご主人様!?  作者: パンデミック二頭筋
第一部 距離感ガバガバ選手権
18/27

14番

わあああ!皆ありがとー!やる気出たのでもうちょいこのペースで頑張ります。

あ、今回は紫条さん視点です



「ひかり!しっかりしなさい!!ひかり!」

「……………………」

「ああもう!なんでこうなるのよ!」


どうしてこうなっちゃったのよ…本来ならもうお説教も終わって明さんのお説教に付き合うか止めるかして平和に一日が終わるはずだった。

というか、実はひかりは3日ぶりに目が覚めている。矢が中途半端に刺さってしまった内蔵が空間での致命傷判定にならず残ってしまったのだ。

これ以上の昏睡は勘弁してもらいたい……

しかも……


「……ゎ……ごめ……ゅる……」

「何言ってるのよ……!?」


明らかにおかしくなってるし!ああもう!本当にどうしてこうなるのよ!

とりあえず…


「もしもし!?ごめんなさい角時さん?私の部屋にくるか治療科の先生呼んでくれないかしら!?」

『え?何か…光威さんですか?とりあえず分かりました!呼んできます!』

「ありがとう!頼んだわ!」


まずは先生を呼んで置かないと……それより、気になることがある。


藍丈。


その名前がこの子から出てくるなんて思っていなかった。その名前は……


「……ぅっ……あ……!」

「!?今度は傷の方!?もう大忙しね!?治ったら覚悟しておきなさいよ…!」


ぺしぺし頬を叩きながら痛み止めを無理やり飲ませ、睡眠薬もついでに飲ませておく。

仕方ないですわ……


「紫条さーん!お待たせしました!先生連れてきましたよー!」

「角時さん!ありがとう、今眠らせたところで…痛み止めも飲ませました。」


現状をとりあえず伝え処置してもらいます。内蔵のダメージが普通より酷いとか何とか……空間内で負ったにしては酷すぎるらしい。

どういうこと…?


先生に聞くとどうやら稀にいる空間同調能力が高すぎて戦闘用の空間内…例えダメージがない状態でも、その空間内でおった傷を自ら再現してしまうらしい。死ぬことは無いがそれ相応のダメージとして現れると……

めちゃくちゃじゃない!

もー!?なんでこんなに私が大忙しなんですの!?


「……っ!とりあえず!あっちは何とかしてあげるから!早く治しなさいよバカ娘!」


私が今気にかけなくちゃいけないのはもう1人いたわね……



____________




「…………光威……ちゃん…………」


…居たわ。

まさか本当にここにいるとは思わなかったわよ……


「ひかりの部屋で何やってるの?明さん。」

「……!?し、紫条さん…なんで……」

「こっちのセリフよ……」


ひかりの部屋の中で泣きじゃくりながら座っていたのは明さんだった。

そもそもなんで泣いてるかも、何が原因かも分からない…けど、私は人助けを辞める訳にはいかないのよ。


「…何があったか、教えてくれる?」

「……っ嫌です!紫条さんには絶対話しません!……私は……もう……」

「…ひかり」

「……っ」


私のひかり呼びに反応する。

怒ってるわね……もう、頭固いんだから。


「やっぱりね。呼び方…いや、もっと根本的にかしら?……ねぇ、明さん。」

「…………」

「あなた、ひかりの事好きなんでしょ?」

「っ……あなたには話さないです。」

「それもライクじゃなくてラブなんでしょ?」

「……もう話しかけないで……」

「で、呼び方を変えた私に……嫉妬して、かな?」

「……っ!あなたに何が!」


まあ、そうでしょうね。何となく分かってたわ明さんは明らかにひかりに対してだけおかしかったしね。

…ちょっとだけ悔しいわね。私も混ぜてもらいたいくらいなのに。


「今ねひかりが泣いてたわよ」

「……………………」

「あなたを泣かせちゃったってね、バカね…ほんと惚れられてその子に一方的に振られて?それで自分を責めてるなんて。」

「………………」

「……何とか言ったら?」

「………光威ちゃんは…私より、紫条さんとの方が仲がいいですよね…」

「…そうね」

「っ……!どうして……!どうして私じゃなくて紫条さんを!私は…こんなにも好きなのに……」

「私、その理由分かってるわよ。」

「!?…………」


びっくりした顔しちゃって……当たり前じゃない、好きだから特別扱いなんて…1番悪手でしょうに、ひかりに対しては。


「教えて欲しい?」

「…聞くわけないでしょう」

「じゃあ私が聞くわ、あなた、欲しいものの事を考えたことはある?」

「…………は?ちゃんと考えてるに決まってるでしょう!欲しいからその人の事をみて、たすけて、それで……」

「あなたもバカね」

「なっ!?」


はぁ……心配して損した。ただの勘違いと痴話喧嘩じゃない……もう……


「それは違うわよ。欲しいものがあるなら、それを最大限尊重するんじゃなくて対等にならなきゃ行けないのよ。」

「……っ」

「あなたのはただの餌付けや囲い込み……懐かせるだけよ。それじゃあ、あなたのものには絶対ならない」

「…!そんなの!わかんないでしょ!私は今までそうやって手にしてきたんだ!今更言われなくても……!」

「…で?実際ひかりはあなたのものになりそう?」

「……っ!うるさい!うるさいうるさい!私は……もう彼女が欲しくない!もう否定されて……終わったんだから……」

「…それがあなたの素ね、いつもより好みよ。……そうやって誤魔化すの?なんで否定されたかもハッキリさせずに?」

「……そんなの…女の子同士が嫌なだけ、それか私が嫌だったのか、それか……」

「ひかりがそんなに考えてるわけないじゃない。あの子は嫌なことは嫌、やりたいことはやる。そういう子でしょ?」

「……でも……」

「それに、彼女は1度言ったことを決して曲げたりしないわ。私はそんなひかりを信じてるもの。」

「…………」


実際、理由はそれじゃないだろう。もっと根深い、少し触られただけで昏睡してしまうような。


「ひかり、今傷が悪化して昏睡してるわ…あなたとの口論の後。」

「っ!?」

「…起きてから真っ先にあなたの事を考えるでしょうね。自分の怪我を二の次にして明さんにどう謝ろう……ってね」

「……なんで…謝るなんて……」

「あなたが傷ついてたからよ。簡単でしょ?」

「…………」

「分かった?彼女はあなたの事を否定したんじゃないわ。ひかりの悩みを解決するのは……私には難しいけど、それはあなたにとって諦める理由になるかしら?」

「………………ううん」

「そ、ならさっさと行きなさい。私は後で行くわ……疲れた……」

「…………ありがとう…ございます……」


頭の固いヤンデレも大変ね……もっと自由にすればいいのに。


「あ、それと。」

「……?」

「私あなたにも聞くつもりだったのよ?」

「……何を?」

「ねえ、明さん、あなたの事志星って呼んでいい?」

「……!……ソフィアさんはずるいですよ。」

「お互い様よ。志星ちゃん」


私はちゃんとあなたの事も友達だと思ってるもの。

頭が良くて、少し頑固で、それなのにひかりに関してはポンコツになって……ちゃんと友達に優しい。

私は志星さんの事も親友になれると信じてるもの。


「ソフィアって呼ぶのを許してあげるわ」

「上から目線ですね!ソフィアさん!気になりますが私はここで止まってる場合じゃないので行ってきます!」

「そ、頑張りなさい」


うん、元気になったみたいだ。

……これで少しは暴走癖を治してくれるといいんだけどなぁ……


…………またソフィアって呼んでくれる、呼ばせてもいい友人が増えたわ。

あの2人には絶対言わないけど……私、いま人生で1番嬉しいかもしれないわね。


はあ……それにしても……


「疲れましたわーーーーー!!」


……今日はどこで寝ますかね……




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