13番(前半)
楽しくないので短めです。前後にわけるよ
さて…ソフィアちゃんとももっと仲良くなれたし。
田谷さんとも角時さんとも仲良くなれました…うん!これで万事解決ですね!
「光威ちゃん?準備終わったので連れていきますね」
……万事……解決……
「…その、明さん」
「なんですか?」
「…このまま終われば、ハッピーエンドだと思うんです。」
「そうですね」
「…あの……だから……今すぐその縄を閉まってくれませんか…!」
「嫌です」
「明さぁん……」
うう……私なにされるんでずが……
「…………それより、紫条さんと何お話してたんですか?」
「……え?」
「…その…何だか仲良さそうにしてたじゃないですか。」
「…ああ…その呼び方を変えよう…って。ソフィアちゃんにそう言われたんです」
「…っ!そ、そうですか……」
うう…何されてしまうんでしょう……
やたら積み上がった…なんですかね?あれ?おもちゃ?
え?ほんとに何されるんです?
「…あ、あの。明さん…」
「志星です」
「…え?」
「志星って呼んでください。」
「…え、あ…その…志星さん?」
「……私はちゃんずけじゃ無いんですね」
な、なんだろう…これは…怒りじゃない、悲しみ、そんな表情だ。
「…仲良くなったのは、私が先じゃないですか…なんで…」
「…あ、あの……」
「…今回も…私も協力するって言ってたのに……なんで……1人で……」
「あ、し……志星さん……!?」
「好きになるように……奪っていいよって……言ったじゃないですか……」
「…う、あ…な…泣かないで…」
「なんで!なんで光威ちゃんが私の事を……蔑ろにするんですか……私の…やってることは……無駄なんですか……?」
「…ち、ちが……」
泣き始めてしまったあ…志星さんは思いの丈をぶつけてきます。
まさか、そんな風に思ったなんて…考えていませんでした。
確かに、私は私が志星さんを好きになるようにしてくれと……言いましたし、許して拒絶しないで…そのままにしてしまいました。
どうなるかなんて考えていなくて、きっと結局は友達関係のままで終わるんじゃないか…なんて…思っていました。
だから…私は、志星さんの事もただの一友人として判断していました。
頼りすぎてもいけない、頼られすぎてもいけない…つかず離れずの関係。
でも、それは志星さんを苦しめるものだったなんて。
「…どうして…頼ってくれなかったんですか…私は……あなたが欲しいと言いましたよね…?そのためなら!なんだってするって!……言いました…」
「……」
「…心配しましたし、ショックでした。私は光威ちゃんにとって頼って貰えない、その程度の関係なのかって!」
ポスポスと布団の上の私の胸を叩いてくる。怒ってる時の力でも私で楽しんでる時の力もない…1人の悲しんでる女の子の弱々しい拳で……
外は曇り空になっていき部屋も暗くなんの音も…志星さんの泣き声以外聞こえなくなってくる。
「わ、私は!もっと頼って欲しい!もっと甘えて欲しい!でも分かってるんです!光威ちゃんに…女の子と付き合う気も…友達以上になる気も……………私みたいな人の事……正直引いてるって知ってるんです……!」
「…!そんなこと……!」
「気づいてないだけです!わ、私と友達になってから…っ…無意識に私に対して、距離を離してます、確かに私はおしおきも…お説教もします…最初はそれで紫条さんの方に逃げてるんだと思っていました…いいえ、思っていたかったです。でも!今日確信しました…光威ちゃんは……紫条さんの方が……」
「………………」
…私は……志星さんの言う友達以上と私の思う友達以上が違うことは何となく分かっていました。
志星さんは本当に私の事が…その……好きで…きっと独り占めをしたいんだろうと、なんとなく、分かっていました。
……私はそれに気がついた時……逃げました。
志星さんの思う友達以上が、想像できなかったこと。
そして…………嫌なことを思い出すから…思い出しちゃうから。
私は……逃げました。
ソフィアちゃんは…私と同じで純粋に友達が欲しい、その先にも親友として仲良くなりたいんだと。わかります。
だから、直ぐに仲良くなれました、同じ気持ちだったから。
でも…私は志星さんの……考えてることが分からない。想像できない……したくない……!
「……欲しかった…それを許してくれた…なのに拒絶するなら、最初からしないでくださいよ……」
「…っ……」
「…ごめんなさい、八つ当たりなのも、身勝手なのも分かってます。だけど…!1度認めてくれたあなただけには…否定されたく無かった……」
「…ぅ…あ……志星さ……」
「…もう……近ずかないですから……光威さんの為にも……私の為にも」
「あ……まっ待って!いっ!?……ぅ……まっ……て……」
傷がじくじくと痛み始めベッドから追いかけようと不安定な体勢の体は滑り落ちてしまいます。
早く、走って、逃げてしまう。追いかけなきゃ、追いかけて……追いかけて、私は……
私は…………
「……どうすればいいの…………?」
今の私に、明さんを追いかける力も勇気も……資格も何もかも無かった。
ただ痛み始める傷と窓を叩き始めた雨の音が私を責めているように…聞こえた。
______________
「ちょっと!?何があったの!?」
「………………あ……ソフィア……ちゃん………」
「!?顔真っ青じゃない!傷ね?今先生を呼んでくるから……先にベッドに入れるから」
「…だい……じょうぶ……」
「そんなわけないでしょ!まさか悪化するなんて…」
「……ほんとに……だいじょうぶ…だから……」
「…本当にどうしたのよ?分かったわ。先生は呼んでこないから、話してみなさい?さっき明さんが泣きながら行っちゃったから……それよね?」
「………わたし……明さんを……泣かせちゃった……」
「そう…だからってあなたまで泣いてどうするの…」
「……でも…!わたし……こわいの……!明さんが…………お父さんに……似てて…………」
「……お父さん?……あなた口調が…」
「こわいよ…くらいのもやだ…いたいのもやだ……おなかがへるのもやだよ……」
「…!ひ、ひかり?ちょっと!?私よ!?こっち見て!」
「……おねがい……お父さん………わたしは…………」
「ひかり!……あぁもう!今先生を…でも……くっ…」
「…………私は…………父の……もの……………藍丈家の……刀です……………」
「……!?藍丈!?ちょ、ちょっと!しっかりしなさい!ひかり!ひかり!?」
……私の昔の話をさせてもらいます。
少し…嫌な話。
私に友達がいなかった理由。
私が…………お母様に会うまで。
ずっと…外を知らなかった話