48 引退
お待たせしました48話を更新しました!
前回、飛鳥と気まずい事になっていた恵美子ちゃんが修学旅行から帰って来ました。なんとなく落ち着いたのか、ひさびさに飛鳥の元へ……
恵美子ちゃん達が修学旅行から帰って来ました。彼女は何食わぬ顔で私の側へ……
「飛鳥さんお土産です」
恵美子ちゃんは私だけに小樽ガラスで作ったキーフォルダーを買って来てくれました。ガラスの中には花が咲いて蝶が飛んでいる情景が小さく作られています。
「うわーっ、綺麗! 何だか可愛いね」
「はい、飛鳥さんはこっちですね、これは私のです」
恵美子ちゃんのキーフォルダーは桜の花と鳥の情景が作られていました。
「飛鳥さんって、こういうの好きだろうなって思って! これお揃いですからね」
「ありがとう、恵美子ちゃん」
でも、これってお揃いになるのかな…… 同じ様なものではあるけど、まるっきり同じじゃ無いし…… それにしても旅行に行く前はあんなに私のことを避けてたのに…… でも、また一緒にいる事が出来るからいいかな! あっ、でも向こうで雛乃ちゃんがこっちを見てます。
「雛乃ちゃん、こっちでお土産食べようよ! 白いカップルがあるよ」
雛乃ちゃんは、そっと私の側に来てお土産の白いカップルのチョコクッキーを食べてますが…… 恵美子ちゃんのことは警戒してるみたいです。
「飛鳥先輩、大沼公園の湖はとても綺麗でしたよ」
突然、珠里ちゃんが瞳を輝かせて言います。
「あっ、うん! 私達の時も湖面がキラキラしてて綺麗だったかな、列車からの風景だったから少しの間しか見えなかったけどね」
「えっ、飛鳥先輩達は行かなかったんですか?
珠里ちゃんも恵美子ちゃんも残念そうに私を見てます。
「私達のときは函館から札幌まで特急列車で移動だったから」
「そうだったんですか、今回はバスで高速道路を使っての移動だったので大沼インターから乗る前に大沼公園に寄ったんですよ」
と珠里ちゃんが説明します。
「でも、湖のクルージングは楽しかったね」
「ちょっと待って、恵美子は乗ったの?」
悠香ちゃんが何だか羨ましそうです。
「悠香も探したんだけどいなかったから珠里ちゃんと乗ったんだよ」
恵美子ちゃんは平然と言いますが…… 悠香ちゃんは残念そうです。珠里ちゃんはなんとなく気まずそうですが……
「朝霧先輩、お土産ありがとう」
あれ、翔馬君!
「うん、気に入ってくれた?」
「うん、とっても綺麗だから使うのがもったいないかな……」
「でも、折角だから使ってね!」
あっ、そうなんだ! 珠里ちゃんはやっぱり翔馬君のこと…… まあ、仲が良いみたいだから良いかな! そんな風景を一年生の香織ちゃん、鈴夏ちゃん、雛乃ちゃんはチョコクッキーを食べながらジッと見ています。やっぱり女の子は気になるみたいです。
「来年は雛乃ちゃん達だね」
私が言うと少しづつ話に加わって来たかな…… そんな感じです。
夏休みももう後半、お盆の時期です。盆提灯を飾ったり、フルーツとお花と酸漿でお仏壇を飾ります。
「裕子さん、今年もまたお世話になりますよ」
お爺ちゃんとお婆ちゃんが来てくれました。いつもお盆とお正月は来てくれます。
「飛鳥は受験の方はどうじゃ?」
「うん、少しづつだけど勉強してるよ、今日も新しい問題集を買いに行こうと思ってるんだけど」
「ひょっとして恵美子ちゃんと行くの?」
姉の唯香が茶々を入れて来ますが……
「違うよ、瑞稀と行くの! それに恵美子ちゃんはまだ受験生じゃないでしょう」
「はいはい」
お姉ちゃんは気楽でいいな!
「こんにちは、飛鳥いる?」
瑞稀が来たみたいです。
「それじゃ、ちょっと行ってくるね」
そう言って瑞稀と書店に向かいます。
「飛鳥は杵島キャンパスになるんだよね」
「いきなりなに!」
瑞稀が突然訊いて来ました。
「北山大学にお互い合格してもキャンパスは違うよねってこと」
確かに、私と玲華は医学部志望だから合格出来たら大学病院がある北山大学杵島キャンパスで瑞稀は教育学部だから本城キャンパスになる訳です。
「そうだね、北と南で分かれてるもんね、でも同じ城南市だし会おうと思えばいつでも会える距離だよ」
「まあ、そうなんだけどね……」
まあ、そんな話をしながら書店の中へ…… 専門書のコーナーには高校受験から大学受験や資格試験の参考書や問題集が取り揃えてあります。
「飛鳥はどうするの?」
「私は数学と英語を重点的にだから、通常の五教科と別に二冊。瑞稀は?」
「私も数学と社会、特に政治を主にやらないとだね」
瑞稀も流石に受験スイッチが入ったみたいです。
「瑞稀は個別教室にも行ってるんだよね」
「うん、もちろん!」
「私も行こうかな、個別教室……」
「それだったら紹介するよ」
私もやっぱり塾を考えた方が良いかも知れません。
お盆が過ぎ、あっという間に夏休みも終わってしまいました。前期定期試験があります。それが終われば、化学部も引退です。ここまで来るとなんだか淋しくなります。引退したらおよそ四ヶ月後に大学共通テストがあります。それまでにどれだけ勉強して成績を上げられるかです。本腰を入れて勉強しなければ……
「飛鳥、今日一緒に試験勉強しない?」
玲華からの誘いですが……
「うん、良いよ!」
「夕方も美彩先生の所に行くんでしょう」
「うん、定期試験のときはいつもお世話になってるから」
「私も良いかな?」
まあ良いとは思うけど玲華は塾とか行ってないのかな?
「うん、美彩先生に訊いてみるね」
そして、授業が始まります。
放課後、私達はまず図書館へ行きます。ここの図書館ももう常連です。大体三人で勉強するときはここでしたからね、そう言えば恵美子ちゃんに告白されたのはここの図書館だったかな、何だか懐かしいな……
「飛鳥、美彩先生どうだった?」
「OKだって!」
「ねえ、瑞稀も行くでしょう?」
玲華がそう訊くと……
「ごめん、五時から個別教室に行かないといけないから」
そうか、瑞稀は塾だったね……
「飛鳥、個別教室の先生に訊いたんだけど、いつでも入会出来るし、担当になる先生が空いていればその日からでも授業をしてもらえるんだって」
「飛鳥も塾に行くの?」
「うん、そろそろ本気でやらないとね……」
「そうか、私も考えようかな……」
玲華は私より成績が良いから問題ないような気がするけど…… その後、瑞稀は一足早く塾へ行き、私と玲華は閉館時間まで勉強をして、クリニックへ行きました。
「こんにちは、美彩先生」
「いらっしゃい! 二人ともリビングで待っててね、すぐ行くから」
私達がリビングで参考書を見ていると美彩先生特性の問題集が来ました。
「玲華ちゃんは初めてだからこれをやってね、飛鳥さんは昨日の続きね!」
そうして試験勉強に取り掛かる私達です。
「でも飛鳥、数学はどうするの? 美彩先生は確か無理だよね」
私は玲華の顔を見て微笑みます。
「数学の先生はもうすぐ帰って来るよ!」
そう話していたときです。
「ただいま」
数学の先生のご帰宅です。
「お帰りなさい秀一さん」
その時玲華を見た上杉先生は……
「えっ! 玲華ちゃん?」
「お邪魔してます」
「う、うん…… いらっしゃい! どうしたのかな今日は……」
上杉先生は苦笑しながらリビングへ……
「今日は試験勉強です。優秀な数学の先生がいるって訊いたので」
「玲華、私はそんな事言ってないからね!」
そう言いながら私達は数学の講義を受けます。
「上杉先生に教えてもらったときは解っているんだけど、テストだと駄目なんですよね」
「飛鳥君、それは何回も何回も反復練習しないと駄目だよ、そうしないとなかなか覚えられないからね」
やっぱり数学は厄介です。
今日の講義も終わり玲華はお迎えの車が来るのを待ちます。私の家はすぐそこなので歩いて帰ります。
「ありがとうございました。お疲れ様です」
この後も家で夜遅くまで勉強です。
前期定期試験もなんとか終わり今週末は終業式です。前期が終わります。私達もいよいよ化学部引退です。
「ところで、部長はどっちがするの?」
瑞稀が訊いています。そう言えば訊いてないね……
「悠香ちゃんが部長をするの?」
玲華が尋ねます。どっちにしろ役員の仕事を引き継いでもらわないと……
「部長は黒鉄君だよね」
「いや、悠香ちゃんが良いんじゃない?」
二人でなんだかやり合ってますが……
「それじゃ、みんなで決めよう! 黒鉄君が良いと思う人」
二年生は全員と三年生も史華を初め過半数を越えています。
「悠真、あとはよろしくね!」
史華が悠真君に熱烈なラブコールをしたことで、ほぼ強引に部長が決まりました。副部長は悠香ちゃんです。
「本当は恵美子が部長だったはずなのに……」
そう言う悠香ちゃん!
「今更言ってもしょうがないでしょう」
恵美子ちゃんはそう言って微笑みました。これで私達は化学部を引退することになりました。まだ卒業する訳じゃないけどなんだか淋しいですね! これから試験勉強も本番です。個別教室も瑞稀と同じ所に決めましたので今日から通うことになります。気合いを入れないと……
化学部を引退した飛鳥達、受験勉強も本格的に始めます。瑞稀がやっている個別教室も始めました。今から試験が終わるまでは勉強漬けになります。大変だ!




