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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第九章 高校生最後の年
44/52

44 恵美子ちゃんの憂鬱

 お待たせしました44話を更新しました!


 恵美子ちゃんの転校を聞いた飛鳥は複雑な気持ちみたいです。おまけに口止めされているので、玲華達にも言えないので…… 恵美子ちゃんは秘密にしてるので自分自身を追い込んでいる様で辛そうです。


 恵美子(えみこ)ちゃんの留学というより転校を知り、ちょっとショックを隠し切れない私ですが、この事は、もうしばらく他の人には伏せて欲しいと彼女からの要望です。私、顔に出なきゃ良いけど……

飛鳥(あすか)、昨日星の観測やったんでしょう?」

 玲華(れいか)からそう訊かれました。えっ、やった事はやったんだけど…… 観測どころじゃ無かったから……

「うん、やったんだけどね……」

 私はちょっと俯きます。

「飛鳥、どうかしたの?」

 瑞稀(みずき)は何か感じたのか私に声を掛けます。

「えっ! あっ、いや、なんでもないよ」

 まあ、その慌てぶりがなんでもない訳無いって言ってるようなものなんだけど…… 瑞稀がもう一度私に声を掛けようとした時、玲華がそれを制止しました。まあ、取り敢えずこれで良いかな…… たぶんあとで色々訊かれると思うけど。

 部活も終わり化学室を出ようとしたとき……

「飛鳥、なにかあった?」

 玲華と瑞稀が私の側に来ました。

「ううん、何も無いよ! どうかしたの?」

 玲華も瑞稀も黙って私を見ています。

「飛鳥さん、一緒にカフェに行きませんか?」

 恵美子ちゃんも何か思ったのか、あの事が気になったのか私の側に来てくれました。

「ねえ恵美子ちゃん、私達も一緒でも良いよね!」

 玲華がそう言うと……

「別に良いですよ!」

 恵美子ちゃんは、ちょっと表情を変えながら言いました。たぶん、色々訊かれるんだよね…… そう思いながら私達四人は駅のカフェに行くことになりました。カフェに到着早々……

「まあ、結局のところ恵美子ちゃんと二人きりだったからまともな観測が出来なかったんでしょう」

 呆れ顔で玲華に言われてしまいました。まあ、反論したいところだけど仕方ないか…… 恵美子ちゃんもその辺心配そうだしね。

「飛鳥も恵美子ちゃんも後輩が見てるんだからちゃんとしてよ」

 まあ、玲華は部長だから立場的にそうなるよね!

「飛鳥はとくに副部長なんだからね!」

「うん……」

 そうでした……

「でもさ、新入生も色々あったけど翔馬(しょうま)君を含めて五人来てくれたから良かったよね」

 瑞稀が話題を変えようと私達を見ながら言います。

「まあ、そうなんだけど一年の男子二人は気を付けないと、なんだか合コン気分だからね」

 瑞稀の話に玲華が付け加えます。

「大丈夫ですよ! 悠真(ゆうま)君がその辺ちゃんと見てるから」

 恵美子ちゃんは玲華を見ながらそう言います。

「まあそうね、しっかり者の悠真君が見てくれてるなら間違いないかな」

「でも、(あきら)君は災難だったよね、本当は雛乃(ひなの)ちゃんと星の観測をしたかったと思うけど」

 瑞稀は何かと彰君よりの考えです。

「彰君がいつまでも、もたもたしてるから悪いのよ、さっさと観測班に来てれば良かったのに」

 それに比べ玲華は手厳しいなあ……

「まあ、そうだよね! もともと雛乃ちゃんは宇宙観測に興味があったんだから」

 私もそう答えるしかありませんでした。

「結局、男子二人がバブル班になっちゃったね、珠里(じゅり)ちゃんは女子の後輩が欲しかったんじゃないかな?」

 瑞稀はそう言うけれど珠里ちゃんは翔馬君が来てくれて嬉しいみたいだけどね!

「そんなことないですよ、珠里は翔馬君と一緒で楽しそうですから…… ただ男子二人は黒鉄(くろがね)君のプレッシャーに耐えられると良いですけど」

 恵美子ちゃんもその辺はちゃんと見てるんだね。

「まあ、大丈夫でしょう北野(きたの)さんもいる事だしね! 恵美子ちゃんも色々よく見てるね、来年は恵美子ちゃんと黒鉄君で部長と副部長をやってくれると化学部も安泰なんだけどね」

 玲華が何気なく言ったことに恵美子ちゃんは俯いてしまいます。

「私は、部長とか無理ですよ……」

 恵美子ちゃんは俯いたまま小声で言いました。まあ、確かに転校するからそうだよね……

「あっ、別にそうだったら良いなって思っただけだよ」

 慌てて玲華が付け加えます。

「もう玲華は気が早いよ」

 瑞稀もフォローしますが……

「……」

 恵美子ちゃんも玲華達に早く話せば良いのに、いつまでもこの状態は辛いだけだと思うけど……

「…… 飛鳥さん、すみませんけど先に帰ります。お疲れ様でした」

「あっ、恵美子ちゃん?」

 玲華が声を掛けるけど恵美子ちゃんはカフェを出て行ってしまいました。

「私、なにか悪いこと言ったかな?」

 玲華は頭を抱えながら言います。まあ、玲華も瑞稀も知らないからね……

「ごめん、悪いけど私も行くね、恵美子ちゃん、ほっとけないから」

「うん、飛鳥ごめん」

 私もカフェを出て恵美子ちゃんを探します。たぶん、バスで帰るんだからバスターミナルにいると思うけど…… そう思いターミナルを探します。あっ、いました。待合室のベンチにひとり淋しく座っています。

「ねえ、彼女ひとり? 一緒にお茶しない?」

 私がそう言うと……

「あっ、飛鳥さん!」

 恵美子ちゃんは一言そう言うと私に抱きつきました。

「もう、仕方ないな」

 私も、彼女を抱き寄せ背中をさすります。

「ずっと、このままでいたいです」

 そう恵美子ちゃんが……

「仕方ないな」

 そう言って私は彼女をギュッと抱きしめます。

「あ、飛鳥さん苦しいよ!」

 恵美子ちゃんはそう言いながら私の背中をポンポン叩きます。私が腕を緩めると……

「死ぬかと思った」

 そう言ってホッとする恵美子ちゃん!

「もう、オーバーなんだから」

「だって…… 本当に……」

 そこで私と恵美子は吹き出して笑ってしまいました。

「何処かで甘いものでも食べる?」

 私がそう訊くと……

「別にカフェとかじゃなくても家でコンビニスイーツでも良いかな」

 そういう事で私達はバスで家へ帰ります。恵美子ちゃんが少し元気になって良かった!

 最寄りの城南中央のバス停で降りてコンビニへ行く途中美彩先生(みさせんせい)がいます。

「美彩先生!」

 恵美子ちゃんが声を掛けると……

「あら、今帰りなの!」

「はい、飛鳥さんと一緒に」

「そう、良かったら寄っていかない?」

「クリニックは良いんですか?」

 私がちょっぴり心配そうに訊きます。

「ええ、今日はお昼から休診なの、だから買い物にも行けたんだけどね」

 その後、私達は三人でクリニックへ行き奥のリビングへ通されました。

「ケーキがあるんだけど食べる?」

「はい、食べまーす」

 本当に恵美子ちゃんはゲンキンです。

「それじゃ、コーヒーを淹れますね」

 私がそう言うと……

「お客さんは座ってて」

 そう言われましたが、美彩先生と二人でコーヒーを淹れました。

「それで恵美子ちゃんは何処に留学するの?」

 美彩先生がコーヒーを飲みながら尋ねます。

「えっ、飛鳥さん話したんですか?」

「あっ、だって恵美子ちゃんの様子が可笑しいけど何も言ってくれないから先生に相談したんだよ」

 ちょっぴり慌てた風に私は説明しました。

「もう、大変だったんだよ! 飛鳥さん元気がなくて落ち込んでるし……」

 美彩先生、そこまで説明しなくても……

「飛鳥さん……」

 恵美子ちゃんは申し訳なさそうに私を見ます。

「恵美子ちゃん、もう大丈夫だから、でも、みんなにもちゃんと話した方が良いんじゃない?」

 私は彼女を見ながらそう言いました。でも彼女は目を逸らします。

「みんなにはまだ言ってないの?」

 美彩先生が恵美子ちゃんに尋ねます。

「ええっと、二年生には言っているんだけど……」

「でもそこは、はっきりさせた方が良いよ」

 美彩先生もそう言ってくれました。

「それで、どこに留学するの?」

「いえ、留学じゃなくて転校なんです。アメリカのロサンゼルスなんですけど……」

「えっ、カルフォルニア大学にでも行くの?」

「いえ、ロサンゼルスですから」

「だから、カルフォルニア州のロサンゼルスでしょう! それならカルフォルニア大学ロサンゼルス校が有名どころじゃない?」

 恵美子ちゃんはちょっと困った表情です。

「一年間はハイスクールに行かないと行けないから」

「それなら高校を卒業して、日本で大学受験をしてからでも良かったんじゃないの?」

「でも、それだと一年間は一人暮らししないといけないし、父が反対すると思うから……」

 まあ、いろいろ事情があるんだと思うけど……

「もし、そうならうちに居てくれても良いよ! 部屋だって空いてるし、どうせ秀一(しゅういち)さんと私の二人だけなんだから」

 でも、恵美子ちゃんの気持ちは変わらない様です。

「そう言えば、美彩先生と上杉先生(うえすぎせんせい)の二人だけですもんね」

 私がそう言うと……

「うん、そうだよ!」

 そう言って美彩先生は微笑みましたが、ちょっと表情が暗いかも、ひょっとして私、地雷を踏んだかな…… 夕暮れ時ひとときの時間でした。


 六月になりインターハイの季節です。そのまえに前期中間試験がありますけど…… 匠君(たくみくん)久美(くみ)は今年は調子が良いからいい結果が期待出来るかもと意気込んでいます。私達は文化祭に備えて観測結果をまとめます。

「七月の文化祭に観測結果を掲示するからまとめてね」

 玲華からそう伝えられました。

「でも、星座の観測は冬と春しか出来てないんだよね」

 悠香(ゆうか)ちゃんがそう言ってます。

「それだけで充分だよ、それにISSの観測資料もやらなきゃいけないんだから」

 恵美子ちゃんもちょっと愚痴ってるかな?

「恵美子ちゃん、ISSは一年生にお願いしようか! 私が一緒にやるから」

 恵美子ちゃんにそう提案すると彼女は……

「えっ、大丈夫かな?」

「そうしてもらえると助かるかな」

 ちょっと心配そうな恵美子ちゃんと手伝ってもらえるなら嬉しい悠香ちゃんです。

「とにかく手分けして描いた方が良いよ」

 そう悠香ちゃんが言います。恵美子ちゃんは腕組みをして考えますが……

「うん、しょうがないですね! 飛鳥さんお願いします」

 ということで私と香織(かおり)ちゃん、鈴夏(すずか)ちゃんと雛乃ちゃんの四人でISSの軌道を描いていきます。方眼の模造紙にISSの曲線を日付を付けて描き入れます。

「同じ用紙に一ヶ月分まとめて描くとなんとなくだけど似たような飛行をしているのが分かります。それでも少しづつズレているかな?

「飛鳥先輩、私達が描いたのが文化祭で飾られるんですか?」

 香織ちゃんが不安そうに言います。

「そうだよ、恵美子ちゃんと悠香ちゃんの二人だけじゃ、あれもこれも出来ないからね!」

「なんだか責任重大ですよね」

「責任感を持つ事はいい事だよ」

 私は、先輩らしい事を言いながら作業を進めます。

「飛鳥」

「あれ、瑞稀は恵美子ちゃんとこを手伝うんじゃなかっの?」

 瑞稀は溜息を吐いて……

「あの二人の間に入って作業出来る?」

 真剣な眼差しの二人がお互いに意見を言って描いています。瑞稀の居場所は確かにないかもです。


 今日はインターハイの応援に行きます。総合競技場に私達三人は遅れて行きました。文化祭のレイアウトを考えていたら遅くなってしまいました。みんながいるスタンドに着いた時、うわっと歓声が起きました。

「飛鳥、あれ、あなた達の友達じゃなかった?」

 北野さんがそう言います。するとフィールド内で笑顔で手を振っている女の子が……

「あれ、久美だよね!」

 私が瑞稀に言うと……

「なになに、どうしたの?」

 なんだかよく分からなかったのですが、久美が自己ベストで三段跳の予選を通過した様でした。トラックの方でも五千メートルの予選があっていて、ここでも匠君が良い位置につけているようでした。

「うちの学校は陸上部ってどうなんだろうね?」

 瑞稀がそんな事を言っていますが、まえに何かの記録保持者がいるとかいってなかったかな? 確か瑞稀が言ってたよね!

 そう思っていたとき五千メートルで匠君がトップで予選通過を決めていました。あの二人も頑張っているので私達も負けられませんね!

六月のインターハイと文化祭の準備、これが終われば夏休みに入り、あっという間に飛鳥達は引退になりますが、恵美子ちゃんはどうするのかな……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 転校というだけでも大事ですのに、外国ですものねえ…。 確かに映像通話も簡単にできるようになったとは言っても、直接触れ合えないのはやはり寂しいものですし。 せめてそれまでの時間、悔いなく過ご…
2021/02/06 22:02 退会済み
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