40 大学入学共通試験
お待たせしました!40話を更新しました。いよいよ先輩方の大学受験です。大学共通試験から始まり、前期試験に二次試験、とどめは後期試験と春が待ち遠しいです。
新年を迎えました。恵美子ちゃんと初詣に行きます…… が、瑞稀と玲華も一緒です。玲華はバスターミナルからたぶんバスに乗って来てると思います。私達三人は最寄りの城南中央のバス停で城北神社行きのバスを待っています。
「あっ、バスが来ましたよ!」
恵美子ちゃんが私の横でそう言います。玲華はたぶん、これに乗っているはずですが……
「おはよう飛鳥!」
あっ、乗ってた、良かった!
「おはよう玲華!」
「おはよう、いや、おめでとう」
玲華の座る後部座席には甲斐先輩が乗っています。
「先輩、お勉強はいいんですか?」
ちょっと心配な私です。
「偶には息抜きさせないと駄目なのよ」
私の問いにそう答える玲華です。
「まあ、この通りしっかり管理されてるから大丈夫だよ」
「大学共通試験は冬休みが終わったら直ぐですよね!」
それを聞いた甲斐先輩は……
「それを言うな!」
そう言われてしまいました。
「大丈夫だから甲斐君、やるべき事はやったでしょう! 後は神頼みだけよ」
うんと頷く甲斐先輩です。玲華が上手いこと管理してるようです。
「瑞稀の方は一緒じゃないんだね!」
私がそう訊くと……
「ううん、たぶんもう神社の鳥居の前に来てると思うけど」
やっぱり呼んでるんだ。
「大丈夫なの? 大事な時期でしょう」
「大丈夫だよ、関君は私立しか受けないから」
いや、そういう問題なの? 神社に到着してバスを降りるとすぐ側に関先輩がいました。
「先輩、おめでとうございます」
「おめでとう」
そう挨拶を交わす私達です。
「関先輩、お勉強の方は良いんですか?」
「うん、大丈夫だよ! 瑞稀がなんか言った?」
「あっ、いいえ別に……」
関先輩はあまり問題ないようです。そのあと私達は、拝殿までの列に並びます。ここから鳥居まで三十メートル、そこから更に拝殿まであります。
「相変わらず人が多いわね」
玲華が溜息を吐きます。
「でも橋本大社の方がもっと多いでしょう」
まあ、瑞稀の言う事が正しいと思います。あそこの方がちょっと有名ですからね。
「飛鳥さん、たこ焼き食べませんか?」
そう言う恵美子ちゃん!
「あっ、いいねって、もう食べちゃうの?」
「あ! あとからですよ、お参りが済んでからですよ」
なんだか怪しい恵美子ちゃん、もうお腹が空いたのかな?
「関君、合格祈願するんでしょう」
「うん、一応ね!」
瑞稀と関先輩はとても良い雰囲気ですね。
「先輩はどこの大学を目指すんですか?」
「僕は一條大学のデザイン学部だよ!」
玲華の問いにそう答える関先輩です。先輩は元々芸術とかそういうのに特化してると私は思ってました。
「飛鳥さん、この列はどこまで続いているんですか?」
恵美子ちゃん、もう飽きちゃったのかな、まったく可愛いんだから!
「拝殿までずっとだよ」
そう言って私がそっと背後からギュッと抱きしめます。
「あっ! 飛鳥さん、正面からが良いですぅ」
などと言っちゃう恵美子ちゃん!
「もう、あなた達は公衆の面前で何やってるの……」
玲華に注意されてしまいました。
「もう、飛鳥さんの所為ですよ」
「えーっ、だって恵美子ちゃんが……」
「あーっもう、うるさい! どっちとも悪い。高校生が騒ぐんじゃないの」
すると……
「玲華が一番うるさい」
ボソッと甲斐先輩が…… しかし、すぐに玲華に睨まれて黙って目を逸らす甲斐先輩です。瑞稀と関先輩はちょっと離れて知らん顔です。ひょっとして他人の振りですか…… まあ、そんな感じでようやく拝殿まで来ました。六人で二礼二拍手一礼でお参りをします。その後、甲斐先輩と関先輩は合格祈願の絵馬を奉納するみたいです。
「飛鳥さん、焼きそば!」
なんか恵美子ちゃんどうしたの?
「えっ、たこ焼きじゃなかったの? じゃなくておみくじ引こうよ」
絵馬を奉納した先輩達と一緒におみくじを引きました。
「恵美子ちゃんはどうだった?」
「私は大吉です! 飛鳥さんは?」
「私は吉だよ」
これって、やっぱりお正月だからかな? あとの二組はちょっと分かりませんでした。何故なら、瑞稀と関先輩はいい感じで邪魔出来ないし、玲華と甲斐先輩は、なんだかギクシャクしているような……
そんな訳でお参りが終わりましたよ!
「よし、恵美子ちゃん焼きそばだっけ?」
私がそう声を掛けると恵美子ちゃんは…… 向かい側のカフェを見ながら……
「サンドイッチが良いです」
なんか、さっきから食べたい物が変わってない? そういう事で、カフェに行きました。お正月も三日目ということもあって、カフェは営業していました良かったです。それにしてもさっきから様子が可笑しかった恵美子ちゃんですが、昨日の晩に夜更かしをして寝坊したため、そのまま朝食抜きで来てたみたいです。早く言えば良かったのに……
冬休みも終わり、今週末は大学入学共通試験があります。私達は土日なのでお休みなんですが、甲斐先輩は試験です。玲華は気が気じゃないみたい……
「玲華大丈夫?」
私が声を掛け我に戻ります。
「あ、だ、大丈夫よ、でも、自分で受験した方が楽かもね」
玲華、慌てなくても来年は嫌でも私達の番だから…… しかし、共通試験でこの状況じゃ私立の前期、国公立の二次までもたないんじゃないかな?
「ねえ飛鳥、玲華はどうしたの?」
瑞稀が部活に来るなり私に訊きます。
「瑞稀も少しは関先輩の心配したら……」
「えーっ、だって関君は共通試験は受けてないから……」
瑞稀はお気楽ですね!
「私も早く試験を受けたいです」
ポツリとそんなことを言う恵美子ちゃんです。
「恵美子ちゃんはまだ一年だからあと二年あるよ」
私がそう言うと「そうですよね……」と何処となく淋しそうです。どうしたのかな?
「恵美子ちゃん、何かあったの?」
「えっ、なんでも無いですよ!」
なんだか慌てる恵美子ちゃんです。
一月下旬、玲華と甲斐先輩はとても穏やかに笑顔です。
「なにか良いことあったの!」
瑞稀がそう訊きます。
「ううん、たいしたことじゃないのよ…… 甲斐君が共通試験でA判定だったのよ!」
凄い、北山大学医学部でA判定とは…… 甲斐先輩は頭が良いんだね! これで少しは余裕が出来た甲斐先輩です。あとは、前期と二次試験ですね!
そんなある日、私と瑞稀は手作りチョコを作ります。先輩達に頑張って欲しいから……
「玲華も一緒に作らない?」
「うん…… やった事ないからな」
「簡単だから大丈夫だよ」
「飛鳥、教えてくれる?」
「もちろんだよ!」
そう言って私も瑞稀も微笑みます。
放課後、恵美子ちゃんと悠香ちゃんも誘って材料を買って来ました。
「板チョコを使うの?」
「うん、これを溶かして型に入れてオリジナルのチョコを作るの!」
瑞稀は楽しそうに言います。
「でも、男子の中にはあまり甘くないビターチョコを好む人もいますよね」
確かに、恵美子ちゃんが言うように私もビター派です。
「恵美子ちゃん誰に渡すの?」
ちょっと気になるけど……
「ねえ、悠香は誰に渡すの?」
恵美子ちゃんは悠香ちゃんに話を振りました。
「私は義理チョコと友チョコをばら撒くだけよ、それでお近付きになれたらなあって……」
悠香ちゃんはこれから見つける手段なんだね! そんな話をしながら早速チョコ作りです。
「飛鳥、どうやって溶かすの? 電子レンジとか……」
「そうじゃなくて、湯煎で溶かした方が失敗しないと思うけど」
私がそう言うと……
「湯煎ってなに?」
そうだ! お嬢様は知らないか! ということで一緒に作ります。
そして、それぞれの思うチョコが出来ました。
「飛鳥はホワイトチョコでなんて書くの?」
瑞稀、そこは訊かないで…… 本命がすぐそこにいるんだから……
「うん、ちょっとね……」
「瑞稀はどうするの?」
玲華が気になるみたい。
「私はあまり細かい事は無理だから英語でLOVEだね」
流石、英語が得意な瑞稀です。あんまり関係ないか。
「飛鳥さん、私のどうですか?」
恵美子ちゃんは『好き』とストレートに書いてます。これ、誰に渡すの? ちょっと複雑です。
「はい、飛鳥さん。私の気持ちです」
あっ、ここでもう渡しちゃうのね!
「ありがとう! じゃあ、私も!」
私のチョコは、一文字だけ『愛』を入れて見ました。
「あっ、飛鳥さんありがとうございます。なんだか勿体無くて食べられないですね」
恵美子ちゃんに言われてしまいました。
「結構器用に書くのね、飛鳥って」
玲華がそう言います。
「飛鳥は昔から細かい事するのが好きだよね」
瑞稀はそう言うけれど、私はあまり自覚がないんだけれど…… 悠香ちゃんは義理チョコと友チョコの小さいのを沢山作っていました。
「私のも出来た!」
玲華も出来たみたいです。玲華のチョコはちょっと歪な大きいハートのチョコで『いちず』と平仮名で書いてあります。なんだか重そうなひと言だね…… 私と瑞稀はそう思いました。
前期試験が終わった次の日がバレンタインデーです。この日、玲華と瑞稀は先輩方にチョコを渡して一緒に過ごしたみたいです。私と恵美子ちゃんは二人で作ったチョコを分け合って楽しく過ごしました。
前期試験まで終わり、ここでバレンタインデーでブレイクです。甲斐先輩はA判定をもらい調子がいい様です。関先輩も問題無さそうです。あとは甲斐先輩の二次試験です。




