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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第八章 二年生後期と化学部部長
37/52

37 札幌、小樽と部長候補

お待たせしました! 37話を更新しました。前回からの修学旅行の続きです。いよいよ札幌へ向かいます。


 修学旅行三日目、私達は函館駅にいます。これから特急北斗5号に乗って札幌へ向かいます。函館駅を八時五十五分に出発し、札幌駅に十二時三十九分に到着する予定です。

「ねえ飛鳥(あすか)、この電車アンテナが無いよ!」

 瑞稀(みずき)がそんな事を言い出しました。

「アンテナって何?」

「アンテナって言ったら電線から電気を取り入れるアンテナだよ!」

 瑞稀は自信たっぷりに言いますが、あれってアンテナだっけ?

「それを言うならパンタグラフでしょう!」

 玲華(れいか)は額に手を当てて訂正しています。

「へえ、パンダグラフっていうの? 可愛い名前だね!」

「パンダじゃなくてパンタグラフ!」

 瑞稀はやっぱりボケボケです。

「大体、この列車は気動車だから電車じゃ無いんだよ!」

 そう言うのは弥生(やよい)です。彼女は鉄道詳しいのかな? 気動車なんて言うことは……

「大体、ガラガラとエンジン音がしてるでしょう」

 弥生がそんな事を言っています。そうなんです! 函館発札幌行きの北斗5号は気動車特急なんです。理由は函館本線と室蘭本線の一部が非電化路線だからなんです。この特急列車の指定席はうちの高校生で一号車から五号車のうち三号車のグリーン車を除きほぼ占拠しています。私達四組は四号車に全員乗ります。あと五組の男子と六組の文系クラスの一部の生徒達が一緒に乗ります。その一部の中に瑞稀と徳永さんがいます。

「ねえ男子、そこの隣の席とこっちの席変わってくれない?」

 玲華が隣の男子に言っています。

「なんでだよ! 別にこのままでも良いだろう」

「あら、札幌まで私達と一緒がいいの?」

 玲華がそんな事を言うから余計に険悪な雰囲気になるから駄目だって……

「あっ、ごめんね! 前の二人が友達なの! だから変わってもらえないかな? お願い!」

 私がそう言うと……

「ああ、そう言う事ならそう言えば良いのに……」

 そう言って、素直に応じてくれました。私は「ありがとうね!」と言って持っていたポッキーをお礼にあげました。男子も機嫌を直してくれて、私達も通路を挟んだ隣同士に六組の瑞稀と徳永(とくなが)さんとあと二人、それと玲華と弥生と私、それにもう一人四組の戸田郁美(とだいくみ)の八人です。

「あの男子はなんで飛鳥の言うことは聞いてくれるのよ! 私が言っても聞いてくれなかったのに!」

 それは玲華の言い方じゃないかな……

「まあまあ、変わってもらったんだから良いじゃない」

 郁美が玲華を宥めています。

「まあ、玲華より飛鳥の方があの子達は好みだったんじゃない」

 また瑞稀が余計な事を……

「どうせ、私は飛鳥みたいに可愛くないから……」

 私って可愛いのかな? 戸籍上は男子なんだけど…… 私は苦笑いです。

「それにしても特急にしてはゆっくり走るのね!」

「郁美が言います。

「函館本線は一部単線だからしょうがないよ」

 私がそう言うと……

「室蘭本線に入っても単線区間があるからあまり変わらないかな」

「ねえ、単線ってなに?」

 瑞稀です。

「線路が上り用と下り用と二つあるのが複線、一つしかないのが単線なの」

「それじゃ向こうから電車が来たら大変じゃん」

「だから駅で離合するの」

 瑞稀の質問に答える弥生です。

「飛鳥も弥生もひょっとして鉄子なの?」

「いや、そんな訳じゃ……」

「ただ、好きなだけだよ」

 私と弥生はそう言いますけど弥生の返事は認めてるの……

「先生、昼飯は札幌に着いてからですか?」

 男子生徒はお腹が空いたのかお昼の心配です。

「お昼は弁当です。東室蘭駅で弁当を受け取る事になってるから手伝ってくれる?」

 先生は意外と男子の扱い方が上手いですね! 男子生徒も弁当のためならと手伝いを了承しているようです。

「うわ、ここ凄い景色だよ!」

 瑞稀が車窓を眺めながら言います。大沼公園の湖です。かなり広くて綺麗な湖です。

 その後も列車は順調に走り東室蘭駅に到着しました。到着後すぐに弁当の積込みを男子生徒と先生達でやっています。男子生徒のお陰で作業もスムーズに終わり、列車はまた走り始めお昼の時間です。まだ十一時を過ぎたくらいですが十二時三十九分に札幌駅に到着なので今日は早めのお昼です。今日のお昼は海鮮弁当です。お刺身とイクラ、それに蟹とイカも入っています。かなり豪華なお弁当ですね!

 その後列車は順調に走り定刻通り札幌駅に到着しました。列車を降りた私達はすぐにバスに乗りそのまま小樽へ向かいます。所要時間は一時間くらいです。

 バスの中で玲華の様子が可笑しいです。どうしたのかな?

「玲華、どうしたの?」

「えっ、なにが?」

「なんだかずっと難しい顔をしてるけど……」

 玲華は無理に笑顔を作って「なんでもないよ!」と言っていますが…… なんか無理してる。列車に酔っちゃったかな?

 程なくして小樽に到着です。札樽(さっそん)自動車道を通ったので、ちょっとだけ早く着いたみたいです。小樽は散策道路と石造り倉庫群の間にある運河が有名です。そこには街灯もあるんですが、これガス灯なんです。夜には独特なレトロ感たっぷりの灯りで一味違った雰囲気の夜景スポットになるそうです。

「小樽運河って凄く良い景色だね」

 瑞稀はまた、写真を撮り始めました。

「うん、ここで風景画とか描きたいね!」

 弥生がそう言って瑞稀とはしゃいでいます。しかし、玲華はここでも沈んでいます。私は玲華のことが心配で側へ行きました。

「なんかあった?」

「あっ、ごめん! なんでもないから」

 無理に笑顔を作る玲華です。

「なんでもない訳無いでしょう、バスの中でも難しい顔してたくせに、札幌に着いてから可笑しいよ」

「うん、ごめん……」

「私にも言えない事?」

 私が玲華にそう言うと彼女は言い辛そうに口を開きました。

「実はね、私…… 部長に指名されたんだけど…… 自信が無くて」

 昨日まで元気だったのにいきなり?

「昨日から判ってたの?」

「ううん、札幌に着くちょっと前にメールが入っていて……」

「それって決まりなの?」

「そうじゃないけど…… でも、飛鳥も北野さんも一年の後期から班長をやってるでしょう」

「でも、瑞稀や徳永さんだっているんだし」

「まあ、そうなんだけど……」

 玲華はまた、言い辛そうに……

「瑞稀も徳永さんも文系に行っちゃったから言い辛いじゃない」

 でも私は、こう言う大事なことは皆んなで話し合って決めるべきだと思いました。

「玲華、取り敢えずこの話は保留にしよう! 旅行から帰ってみんなで話をしよう」

 私がそう言うと玲華はちょっと気が楽になったのか笑顔を見せてくれました。

「もう、ひとりで抱え込まないでよ! あんまり役には立たないかも知れないけど話してくれれば一緒に考えられるでしょう!」

 玲華とそう話していたら、北野(きたの)さんが私達の側へ来ました。

「ねえ、化学部の部長の話聞いた?」

「北野さんにもメールが来たの?」

 私と玲華は困惑しました。どうなっているの?

「私に部長をして欲しいって甲斐(かい)君からメールがあったんだけど」

 北野さんはびっくりして……

「私にも部長をして欲しいって副部長から……」

 その話を聞いて私と玲華もびっくりしました。

「なんだか可笑しいね、それ」

 どうやらはっきり決まった話では無いようです。これは今考え無くても良さそうです。

「ねえ、その話はみんなで話し合おうよ!今の話じゃ部長の話しか出てないし、副部長だって決めなきゃいけないんだから」

「そうだね!」

 私がそう言うと二人も納得してくれたみたいです。

「三人でどうしたの?」

 瑞稀と弥生が私達の側へ来ました。

「ううん、なんでもない!」

「それよりさ、小樽ラーメン食べない? 醤油ラーメンだって!」

 それを聞いて私達五人は誘惑に負けてしまうのでした。もちろん、その日の札幌での夕食は、なかなか食が進みませんでした。やっぱり変な時間に食べたら駄目ですね!

「ねえ玲華、明日は市場に行くんでしょう」

「あっ、そうだ!」

「ひょっとして忘れてた?」

「そんなことは…… でも大丈夫よ! 連絡はしてるから」

「それじゃ自由時間にだね!」

「いいや、朝の六時から行くよ! もちろん先生達には内緒で」

「札幌から遠いの?」

「ううん、すぐそこだけど歩くのは無理だからタクシーでいくからね」

 お嬢様はタクシーなんだね……

「何人行くんだっけ?」

 取り敢えず、私と玲華と瑞稀は確定、あとは弥生はどうするのかな? 部屋に戻ると弥生と北野さんと郁美の三人がいました。

「明日早朝から市場に行くんだけどどうする?」

 私がそう誘うと……

「私はパス! 早朝は無理」

 弥生は即座に返事をしました。

「私もちょっといいかな……」

 そう言うのは北野さん!

「たぶん起きれなくてみんなに迷惑を掛けるかも知れないから」

 あら、北野さんは結構朝は強いと思っていましたけど違ったみたいです。

「郁美はどうする?」

「私もやめとくわ! 自由時間にその辺で買うから」

「それじゃ三人だけか!」

 玲華がそう言うと……

「徳永さんは?」

 北野さんが訊きました。

「徳永さんは私が訊いとくよ」

 瑞稀が同じ部屋だからね!

「オッケー、それじゃ準備をしとかないとね!」

 そう言うと玲華は部屋を出て行きました。さっきまで沈んでいた玲華だったけど元気になって良かった。


 次の日の早朝、私達三人はロビーに集合しました。

「結局三人なんだね」

「徳永さんも無理なんだって」

 瑞稀はそう話します。

「それじゃ行くよ」

 私達三人は予約していたタクシーで札幌二条市場に行きました。

「ここの川本商店とは昔から家と付き合いがあるの」

「あら、お嬢様いらっしゃい」

「ご無沙汰しています! 今日は友達を連れて来ましたので」

「有難うございます」

 玲華の家は改めて凄いんだと思いました。私は上杉先生と美彩先生に頼まれたタラバ蟹の爪と足とズワイガニをクリニックへ送る手配をしました。私の家にもタラバ蟹の爪と足セットとホッケなどを買って送る手配をしました。取り敢えず海産物のお土産はこれでオッケーです。

「折角だから味見して行ってね」

 そういわれ私も瑞稀も北海道の魚介を堪能しました。

「もうそろそろ戻るよ」

 玲華に言われ私達はホテルへと戻って来ました。

「あの市場は楽しかったね!」

 はしゃぐ私と瑞稀です。

「うん、魚介だけじゃなくていろんなものが揃っていて凄かったね!」

 私もまだ、興奮さめやらずといった感じです。

「あら、あなた達おはよう」

 うっ! 先生とホテルのロビーで鉢合わせです。

「おはようございます」

 私達はとにかく堂々とした態度で……

「何処かに行ってたの?」

 そう訊かれドキッとしました。

「朝の早い時間に大通り公園をちょっとだけ散歩して来たんです」

 玲華がそう誤魔化します。よくそういうことが思いつくなぁと感心します。

「そうなの! でも朝食が始まっているから早く行きなさい」

 そう言われ、私達は「はい」と返事して朝食へと行きました。ちょっとだけドキドキしました。


 自由時間、私達は札幌駅周辺を散策しました。まずは札幌時計台です。

「意外と小さいのね!」

 私の感想です。ガイドブックとかで見るとかなり大きい建物だと思うんですけど…… でもみんなと一緒に写真を撮りました。

 その後、市内を散策、地下鉄を利用して札幌芸術の森へ行きました。ここは玲華が行きたかった場所です。自然の中でアートを楽しむ野外美術館や制作体験が出来る工房が森の中に点在していて、私も瑞稀もゆっくり楽しむ事が出来ました。

 その後は市街地に戻り定番の札幌ラーメンを堪能しました。これで函館、小樽、札幌と美味しいラーメンを食べることが出来ましたと恵美子ちゃんにチャットしたら、ラーメン食べ歩きの旅行だったの? と返事が戻って来て玲華と瑞稀に笑われてしまいました。こうして四泊五日の北海道旅行は無事終了しました。もちろん、化学部の先輩、後輩にお菓子のお土産を買って来ましたよ! 恵美子ちゃんにも忘れずにお揃いの毬藻のキーホルダーを買って来ました。

「うわーっ、可愛い!」

 そう言って喜んでくれた恵美子ちゃんは、私に抱きついて来ました。まあ、いつもの光景だけど私にとってはとても心地良い瞬間です。

今回で修学旅行も終わりました。化学部の部長を決めなくてはなりませんがあのメールは何だったのでしょうか? 部長は玲華が、もしくは北野さんが、それとも瑞稀や飛鳥なんでしょうか? 次回を楽しみに‼︎

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― 新着の感想 ―
[良い点] 鉄子な私は「ああ、キハ261系は789系電車とよく似ているからねぇ。」などと思ってしまったのでした。 飛行機で函館まで来たのですから、789系電車に会っている訳が無かったのですけれどね…。…
2020/12/27 17:23 退会済み
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