35 夏期講習と修学旅行
お待たせしました! 35話を更新しました。今回は文化祭明けで夏休み突入です。夏期講習の後、修学旅行もあります。その後、化学部長選出の話も…… 書くこと満載です。
無事、文化祭も終わりまして、夏休みです。しかしながら一週間の夏期講習があります。まあ、午前中、学校の涼しい所でお勉強出来る訳だからね! 家にいてもなかなか勉強やらないから…… いや、やるまでに時間が掛かるだけでやらない訳ではないです! はい。
しかし、今年の夏休みは修学旅行があります。うちの高校は北海道へ四泊五日の旅です。函館、札幌、小樽へ行きます。所謂道南というところですね。今から楽しみなんです。一緒の部屋には近藤弥生さんと玲華と私の三人です。弥生は一年のときから同じクラスで文化祭の時、サンドイッチを化学室まで持って来てもらったこともあります。一年の時は瑞稀と玲華と三人で一緒にいることが多かったけど、弥生とも交流はありました。本当は瑞稀や徳永さんや北野さんとも同じ部屋だと良かったんですが北野さんは二組で徳永さんと瑞稀は六組、私と玲華と弥生は四組なので仕方ないですね! でも旅の行動は一緒なので今から下調べをしなくては……
「ねえ玲華、自由時間は函館と札幌とあるんだよね!」
「なに飛鳥? もう旅行気分なの?」
「だって今のうちに行きたいところをピックアップしとかないと」
「まあ、確かにそうだけど…… 大体のところはみんな一緒に観光するんだからね!」
そう言いつつも玲華はスマホで色々検索しているみたい、本当素直じゃないね。
午前中で初日の夏期講習も終わり、食事のあと部活です。取り敢えずバイオディーゼルはやり尽くした感じなんですが秋野さんと恵美子ちゃんが一度はバイオディーゼル作りを体験したいとの事で1リットルのバイオディーゼルを作ることに! まだ、結構残っているんだけど……
「飛鳥、苛性ソーダを個別に分けたのあったっけ?」
玲華が訊きますが、どうだったかな……
「えっと、準備室の薬品庫にあるだけだよ! 瑞稀ある?」
「ないよ!」
という事は、そこからやらなきゃ駄目ってことか……
「どうするんですか?」
恵美子ちゃんと秋野さんはちょっと不安そうです。
「恵美子ちゃん来て!」
私は恵美子ちゃんの手を引いて準備室へ行きました。秋野さんは玲華と準備をしています。
「そういう飛鳥さん積極的で好きですよ」
いや、そんなつもりじゃないんだけどね…… 私はエアコンのスイッチを入れドライモードにします。
「飛鳥さん夏休みの化学準備室で二人っきりってなんだかいけない事をしてる感じでいいですよね!」
恵美子ちゃんはまた俯きながらも変なことを言い出しましたよ!
「ふふふ、それウケるね! それじゃ私は恵美子ちゃんを押し倒さないといけないの?」
恵美子ちゃんは顔を真っ赤にしながら私に抱きつきます。あっ、この感じ良いかも……
その時ドアが開いて……
「飛鳥、お楽しみのところ悪いんだけど早く苛性ソーダをお願い」
そう言うと玲華はドアを閉め化学室へと戻ってしまいました。私と恵美子ちゃんはお互い顔を見合わせて笑ってしまいました。でも玲華は何故解ったんだろう? 私達は気を取り直して……
「それじゃ苛性ソーダを個別に分けていくから」
私は恵美子ちゃんから離れて苛性ソーダを天秤で計り個別に分けていきます。
「どうして準備室でするんですか?」
「苛性ソーダが水分を吸収しやすい物質というのは知ってる?」
「はい」
「だからエアコンで除湿運転してる小部屋でこの作業をするとなるべく水分を吸収しないから研究成果が良くなるのよ!」
それを聞いて恵美子ちゃんは納得したみたいでした。
準備室から出て来た後、私はナトリウムメトキシドを作るために恵美子ちゃんと秋野さんに作業を教えます。
「恵美子、準備室でなにやってたの? 玲華先輩がなにか困った顔をしてたけど……」
「良いことよ!」
「良いことってなに?」
「それは、あとでね!」
そう言いながら彼女は笑顔でメタノールをビーカーに入れ、さっき個別に分けた苛性ソーダを混ぜます。
「あれ、飛鳥さんよく混ざらないんですけど」
私はちょっと微笑んで……
「こういう時はこの容器を使うのよ!」
私はビーカーの液体をガラス容器に移しフタをしたあとシェーカーでも振るようにシャカシャカと振りました。
「こうすると混ざりにくい物でも混ざるのよ! これがナトリウムメトキシドね!」
感心したような顔の恵美子ちゃんと秋野さんです。
「次は濾した天ぷら油を温めて、これにさっきのナトリウムメトキシドを少しずつ入れていくの、恵美子ちゃん撹拌して! 秋野さんは温度を見てて55度くらいになるようにしてね、メタノールの沸点が64.5度だからそれ以上にならないようにね!」
そう説明する私ですけど、大丈夫かなこの二人。
「飛鳥さんまだですか?」
恵美子ちゃんはハンドミキサーで撹拌していますが、ちょっとダレてきてるみたいです。
「秋野さん温度は大丈夫?」
「はい、55度以下で推移しています」
ここまではなんとか出来たみたいです。
「はい、それじゃ今日はここまでね」
私がそう言うと……
「えーっ、最後までやりましょうよ」
恵美子ちゃんがそう言いますが…… あなたはちょっとダレてたでしょうが……
「分離するのに時間が掛かるから今日はここまでしか出来ないのよ」
瑞稀がそう説明すると明日の朝確認しようと話している恵美子ちゃんと秋野さんです。一年前の私達みたいでなんとなく懐かしいかな!
部活が終わり、今日は大学病院へ行く日です。病院で受付をして精神科の外来へ行く時でした。
「あの、すみません」
私に話し掛けてくる女性が……
「この間、城南高校で叔父を助けてくださった方ですよね」
そう言われて、文化祭の時に救急搬送された人だと気付きました。
「その節はありがとうございました」
そう丁寧に頭を下げる女性です。
「あ、いえ」
「お陰様で、叔父はなんとか助かりました。ありがとうございました」
「あっ、そうですか良かった、ちょっと気にはなっていたんです」
「叔父は心臓に問題があったみたいで……」
「心臓ですか?」
「ええ、ブルガダ症候群という病気で手術が必要なんです」
「そうなんですね……」
私はその話を聞いてなんと言って良いか分かりませんでした。
「あっ、すみません引き止めてしまって……」
彼女はそう言って頭を下げながら病棟の方へ行ってしまいました。
「やあ飛鳥君、夜はちゃんと眠れているかな?」
早速、上杉先生の問診が始まります。
「はい、大丈夫です」
「うん、顔色も良いし問題ないようだね」
「あの、先生!」
私はさっきの事を訊いて見ることにしました。
「どうかしたの?」
「ブルガダ症候群ってどういう病気ですか?」
「ブルガダ症候群は心臓の病気だよ。確か特発性心室細動という突然死を起こす不整脈の疾患だよ! その病気がどうかしたのかい?」
「この前の文化祭で救急搬送された方と一緒だった女性と会って病名がブルガダ症候群だったと聞いたんです」
「そうか…… 救命救急科の吉永先生にお願いしたっきりでその後のことは何も訊いていなかったな」
上杉先生は頭を掻きながら話しています。
「この病気は治るんですか?」
「この病気は心臓の右室のイオンチャンネルという遺伝子のバランスが、なんらかの原因で崩れると心室細動という致死性不整脈を起こしてしまうんだ。だから自動除細動器と呼ばれてるペースメーカーを鎖骨の下に植え込む手術が必要な場合があるんだ」
「それがあると不整脈は起こらないんですか?」
「うん、自動で電気ショックをしてくれるんだよ。この病気はスペインのブルガダ兄弟の報告によって認知された病気だからこういう名称が使われているんだ」
「手術、上手くいくと良いですね」
「そうだね! ところで飛鳥君は来週から修学旅行じゃなかったかな?」
「はい、北海道の函館、札幌、小樽に行って来ます」
「そう、それじゃズワイガニを買って来てよ」
「タラバガニじゃなくていいんですか?」
「あれは、爪と足しか食べるとこがないからね」
「そうなんですか?」
「タラバガニはヤドカリの仲間なんだよ、爪と足は美味しいけどね」
そう言って先生はカニの代金を私に渡しました。
「クール便でクリニックに送ってもらえばいいからね」
「はい! あっ、クリニックって何番地でしたっけ?」
そんな話をしながら治療は終わりました。その後クリニックでは美彩先生からタラバガニの爪と足のみのセットを頼まれました。話によると美彩先生はタラバガニ、上杉先生はズワイガニが好きなんだそうです。私はどっちも好きかな…… でも、この夫婦はいつも別々に頼むんですよね!
そして、私達は今、函館空港に到着しました。これから五稜郭へ向かいます。
「ねえ、五稜郭って昔、奉行所だったんでしょう」
私はネットかなんかで見たことがあったので訊いてみました。
「箱館奉行所の移転先じゃなかったかな?」
そう言うのは弥生です。彼女はどっちかというと歴史が好きみたいです。
すると玲華が……
「五稜郭は函館山の麓に置かれた箱館奉行所の移転先として築造されたんだけど完成からたった二年で江戸幕府が崩壊して箱館府が短期間の間使用したんだけど箱館戦争で旧幕府軍に占領されたんじゃなかったかな?」
玲華も弥生も実に詳しいなぁ! 勉強して来たのか、知識として知っているのか…… そんな話をしているうちに五稜郭に到着です。
私達は北野さんや徳永さん、瑞稀と合流して六人で見て周ります。
「ねえ、五稜郭ってお城なの?」
瑞稀は何も知らないようです。そこで北野さんが説明してくれてるみたい…… みんなで五稜郭公園を散策中に……
「ねえ、五稜郭タワーに行かない?」
私がそう提案すると……
「なに飛鳥、もう飽きたの?」
玲華から冷ややかに言われてしまいました。
「でも、私もタワーに行ってショッピングとかしたいかな!」
瑞稀もそう言っているのでみんなで五稜郭タワーの方へ行くことにしました。
「うわー! 本当に星形だよ」
タワーの展望台から見た景色は写真とかで見たそのものです。とても感激しました。でも、角のところは結構尖ってなくて丸みがあるんだね!
その日は取り敢えず一旦ホテルに行き、早めの夕食です。えっ、何故かって! それは函館山からの夜景を見るためです。夕方の六時半くらいからロープウェイで山頂へ行き、クラスごとに夜景をバックに記念写真を撮ります。
「でもさ、私達にピントを合わせたら夜景が綺麗に撮れないと思うんだけど……」
瑞稀がそう言います。流石は関先輩の彼女、少しは写真に興味を持ったのかな!
「まあ、プロが撮るんだから撮れるんじゃない」
玲華がそう言っていますがどうなんでしょうね! どっちでも良いけど私は、百万ドルの夜景を見るのがちょっぴり楽しみです。
お楽しみの函館夜景! 私も昔行きましたげど、百万ドルの夜景と言われるだけあってとても綺麗でした。




