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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第七章 飛鳥の憂鬱
31/52

31 副作用が気になる

お待たせしました! 31話を更新しました。前回処方されたお薬のお陰で体調が良くなった飛鳥ですが、副作用が気になるところです。果たして……


 上杉先生(うえすぎせんせい)から処方してもらったお薬で私はかなり回復することが出来ました。夜も八時間とはいきませんが六、七時間は眠れています。ですから昼間も眠気がきたり怠くなる事もなく活動出来ています。心配なのは副作用です。今のところは問題無いようですが……


 六月になりインターハイの季節です。私達は例によって学校側から運動部の応援要請があったので開会式がある総合競技場へ行きました。この大会に久美(くみ)匠君(たくみくん)も出場するとメールが来ていましたのでちょっと楽しみです。

飛鳥(あすか)おはよう、今日も元気だね!」

「うん、薬が効いているから大丈夫だよ」

「飛鳥さん、やっと逢えた!」

 そう言うとピトッと私にくっ付いて来る恵美子(えみこ)ちゃんです。

「相変わらず仲が良いのね」

 玲華(れいか)に揶揄われちょっと頬を赤く染める私ですが恵美子ちゃんは堂々としたものです。

「飛鳥さん、お昼くらいまで一緒にいて良いんですよね」

「応援ね!」

「はい、一緒に応援です」

 私は苦笑しながら……

「エンジンテストの編集は大体終わっているんでしょう?」

「うーん、半分くらいかな?」

 玲華は腕組みをして答えます。

「それじゃ、早く戻って作業する?」

「えーっ、もう戻るんですか?」

 私にくっ付いている恵美子ちゃんが言います。ちょっとだけ心地良い私です。

「まあ、そこまで慌てなくても大丈夫だけどね」

「それじゃ、午後からの作業でも良いわね」

 私がそう言うと……

「いつもの飛鳥が戻って来てなによりだわ」

 玲華に言われてしまいました。まあ仕方ないかな、みんなには心配かけたもんね。

「ねえ飛鳥、あれ匠君じゃない」

 入場行進が始まり聖華高校がメインスタンドの前を行進しています。それにいち早く気付いたのが瑞稀(みずき)です。

「確かに、そうだね! でもその二列後ろにいるのは久美かな? あの、帽子を被っているのは……」

 瑞稀は普通に手を振っていますが、周りからはあまり良い印象ではないみたいです。よその高校の入場行進だからね! でも、友達なんだから私は良いと思うけど……

 開会式が終わりいろんな競技が始まります。メインスタンド前のトラックでは百メートル走が始まります。フィールド内では走り幅跳びの準備がまじまりました。

「ねえ飛鳥、幅跳びは久美が出るよね」

「うん、でもまだ準備だし…… それより向こう側に選手が集まってるんだけど、あれ匠君じゃないかな」

「匠さんってクリスマスの時、玲奈(れいな)さんと一緒にいた男性ですよね」

 恵美子ちゃんも話に加わって来ました。

「あれは五千メートル走じゃないかしら?」

 玲華が競技場の奥を見ながら言いました。

「なんで分かるの?」

 瑞稀が不思議そうに訊きます。

「だって、五千メートルなら一周四百メートルのトラックを十二周半回るでしょうゴールはメインスタンド前だからスタート地点は向こう側になるじゃない」

 なるほどそう言う事か!

「でも四百メートル走かもよ」

 しかし、玲華はスルーしました。

「あ! スタートしましたよ」

 十人くらいの選手が走って来ました。

「あれ匠君だよ!」

 瑞稀が指を差して手を振ります。

「でも、中間くらいにいたね」

「長距離だから最初から飛ばさないでしょ」

 溜息を吐きながら玲華がそう言います。

「あ! 久美が出て来たよ」

 私がそう言うと今度は久美に向かって手を振ります。久美は全然気付いてくれませんけど……

「久美さんが跳びますよ」

 恵美子ちゃんがそう叫びますので注目します。スタートして被っている帽子を飛ばしなが跳びました。

「ねえ、けっこう良いんじゃない?」

 瑞稀はそう言うけど、久美は頭を横に振っています。あまり思うように結果が出ていないようです。

「匠さん先頭の方に上がって来ましたよ」

 恵美子ちゃんのその言葉に私達はトラックを見ます。あと一周あるみたいで匠君は快調にラストスパートを掛けます。しかし、ゴールまであと少しというところで抜かれてしまいました。

「あーっ! 残念」

 瑞稀は言いますが……

「予選だから順位はどうでも良いんじゃない」

 玲華は相変わらず冷静ですね!

「えーっ、五千メートル十四分だって、五キロだよ! 信じられない。私は歩くのだって無理だって」

 瑞稀はそう言いますが、それは私も無理です。その後、久美も何度か跳んでリズムを掴んだのか、なんとか予選を通過する事が出来たみたいです。

「陸上って結構きつそうだね」

「瑞稀の場合運動は何でもきついでしょう」

 玲華の突っ込みに半分照れ笑いの瑞稀です。この後匠君は走り高跳び、久美は三段跳びの予選があるみたいですが……

「そろそろ戻ろうか! お昼の時間も取らないといけないから」

 本当はもう少し見たかったけど…… 私達は後ろ髪を引かれながらも競技場を後にしました。


 化学室に戻ると北野さん達が文化祭用の石鹸作りに追われています。

「北野さん、今年はどれくらい準備してるの?」

「去年と同じ二百個だよ! まだちょっと足りないんだよね」

 北野さんはそう言って苛性ソーダに植物性油を混ぜています。

「ねえ、瑞稀も一緒に作らない?」

 彩乃さんに誘われていますけど……

「ちょっと、彩乃さん!」

 私が真面目な顔をして言うと……

「飛鳥、なに本気にしてるの!」

「えっ! ……」

 みんなに笑われてしまいました。

「今村いるか?」

 古澤先生が化学室に来るなり私を呼んでいます。

「先生、どうかしたんですか?」

「ああ、お爺さんの件だけど学校から許可してもらったから」

「あっ、ありがとうございます」

「うん、車は中庭に止めてもらうようにしてるから、その方が便利だろうから」

「はい、そうしてもらえると発電機とかの移動も楽ですから」

 これでほぼ準備は出来ました。あとはテスト映像の編集が終われば完了です。

「お爺ちゃんにメールを送っとこうかな」

「飛鳥さんはお爺ちゃんのこと好きなんですね!」

 恵美子ちゃんはちょっと羨ましそうにそう言います。

「うん、大好きだよ! いつも私の味方になってくれるし、良き理解者だから」

「良いな飛鳥は、そんなお爺ちゃんがいて」

「瑞稀のお爺ちゃんは?」

「私のお爺ちゃんは県外に住んでるから滅多にあえないもん。でも、偶に逢うと優しいんだよね」

「いいわね! 二人共優しいお爺ちゃんがいて……」

 玲華が羨ましそうに言いました。

「玲華さんのお爺ちゃんは、やっぱり県外にいらっしゃるんですか?」

 恵美子ちゃんはちょっと興味があるようです。

「近くにいるわよ、いつも顰めっ面で家族と言い争いしてるわ。大学はどこに行くんだとか北山大学くらいは行けよとか大きなお世話だっていうの」

 まあ、玲華の家は総合病院だから色々と大変なんだろうと思います。しかも家族全員が医師な訳だし、医療と経営と考えると難しい顔にもなるだろうと思います。しかし、家族で言い争いはどうなんでしょうね……


 部活も終わり今日は大学病院へ行く日です。例のお薬も残り少ないので貰わないといけません。

「飛鳥君、調子はどうかな?」

 上杉先生の最初の言葉です。前回心配されて怒られましたからね。

「はい、お陰様で夜はよく眠れていますし、昼間も眠たくなったり怠さを感じることもありません」

 それを聞いて上杉先生はホッとひと安心のようです。

「いや、良かった。効き目が無ければお薬を変えないといけないと思ってたんだけどね、いや良かった」

「先生、お薬はまだ続けた方が良いでしょうか?」

「そうだね、そんなに悪いものじゃないし、もう少し続けようか!」

「でも、副作用とか大丈夫なんですか?」

「うん、さっきも言ったように、そんなに悪いものじゃないから大丈夫だよ」

「でも、睡眠の方の薬はそうでもないけど朝から活動出来る薬ってかなり副作用があるみたいなんですけど……」

「うーん、結構勉強したんだね」

「はい……」

 まあ、先生を信用してない訳では無いけど、私が飲むお薬ですからね。

「まあ、今回のお薬は飛鳥君が思っているようなお薬じゃ無いから取り敢えず文化祭までは続けようか」

 私は、ちょっと不安でしたが今まで上杉先生は私の事を考え心配して治療していただいた先生なのでこのままお薬を続ける事にしました。

「はい、ありがとうございました」

 お薬ももう少し続けることになり私はホルモン治療を終えて、クリニックへ行きます。文化祭の前に中間試験があるので美彩先生(みさせんせい)頼みです。


「先生こんにちは!」

「こんにちは、どうぞ! 久美さんも来てるわよ」

「やっほ、飛鳥」

「久美は元気だね、今日見てたよ」

「えっ! 見てたの」

「うーん今日は調子がイマイチだったんだよね」

 そう恥ずかしそうに首を振る久美です。

「駄目だったの?」

「なんとか予選は通過したけど、明日の決勝でどれくらい順位を上げられるかな……」

 久美はなんとなく自信が無いみたいですが……

「大丈夫だよ! 久美なら出来るよ」

 まあ私にはこれくらいの事しか言ってあげられないけど……

「有難う! 明日も頑張るよ」

 久美は笑顔で答えてくれました。

「でも、飛鳥さん元気になってくれて良かった! お薬はまだ飲んでるの?」

 ちょっと心配気味の美彩先生ですが……

「はい、今日病院へ行って来たんですですけど、上杉先生は別に悪いものじゃないからもう少し続けようかと言われましたけど」

「まあ、そうでしょうね」

 美彩先生は小さな声でボソっと言ってますが、なんなんでしょうか?

「飛鳥、薬飲んでるの? どうかしたの?」

「うん、でももう大丈夫だから」

 久美もちょっと心配してくれてるみたいですが、薬のお陰でなんとか普段通り生活出来ているし、副作用も問題ないと上杉先生は言ってますので大丈夫でしょう。話はこのへんにして私は試験勉強に取り掛かりました。


 六月も下旬になり空は雨模様! この時期はジメジメして気が滅入ってしまいます。そんな中、中間試験が始まります。試験は問題無く出来たと思います。お薬のお陰でしっかりと試験勉強も出来たし、美彩先生の問題集と似たような問題が出ていたので今回は良いとこいけるんじゃないかな!

 匠君と久美は今回のインターハイでかなり上位にいけたみたいです。この分だと来年は全国が目指せるかもと意気込んでいました。中間試験が終わればいよいよ文化祭です。それが終わる頃にはお薬に頼らなくて良くなっていれば良いですけど……

お薬のお陰で普通に生活が出来ている飛鳥ですが、副作用も出て無いので大丈夫なのでしょうか! いよいよ文化祭です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] インターハイに学園祭の準備に…。 何とも高校生活ですね~。 それぞれに活躍しているようで何よりです。
2020/11/15 16:00 退会済み
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