30 飛鳥の異変
お待たせしました! 30話を更新しました。憧れのスカートの連載を始めて半年が過ぎて30話を迎えることが出来ました。皆さんからご愛読されているおかげです。これからももう少し続く予定ですので、お付き合い頂けると幸いです。
恵美子ちゃんが入学して一か月、毎朝一緒に学校へ行ってます。最初はバス停で待ち合わせていましたが、最近は彼女が私の家に迎えに来るようになりました。
「飛鳥、恵美子ちゃん来てるよ」
母からそう言われ急いで準備をする私です。
「飛鳥、最近元気がないようだけど大丈夫なの?」
ちょっと母も心配してくれてるみたいです。ただ最近はあまりよく眠れないのです。
「大丈夫だよ! 行って来ます」
そう言って恵美子ちゃんと二人で手を繋ぎバス停へ向かいます。
「飛鳥、恵美子ちゃんおはよう! 朝から仲が良いね」
別のクラスになった瑞稀です。
「揶揄わないでよ瑞稀……」
私は頬を赤くして俯きますが恵美子ちゃんは満更でもなく……
「おはようございます瑞稀さん」
と堂々としたものです。
「瑞稀、新しいクラスはもう慣れた?」
「うん、最初は男女混合で戸惑ったけどね、でも彩乃ちゃんと同じクラスなんだよね」
同じ化学部の徳永彩乃さんが文系だったとは……
「彩乃ちゃん達は文化祭に向けて石鹸作り大変だってさ!」
そうか、文化祭か…… 今の私にはちょっときついかな? 七月だからあと二か月はあるけど……
「飛鳥さん聞いてますか?」
「えっ! なに?」
「なにボーッとしてるの! 大丈夫?」
「うん……」
「文化祭で発電機回すんでしょう?」
「うん、そのつもりだけど……」
「それじゃ、お爺ちゃんも来るんでしょう」
瑞稀がちょっと期待して訊いています。
「あっ! そうだ連絡しないと」
「飛鳥、まだ連絡してなかったの?」
「うん……」
「飛鳥さん、大丈夫ですか?」
そこで話は終わり続きは玲華も一緒に話をする事になりました。
学校に到着して瑞稀と恵美子ちゃんが同じ教室にいる様ですが……
「飛鳥、どうかしたの?」
「玲華?…… 大丈夫だよ」
そう言って私は机に突っ伏しています。
「飛鳥さん文化祭の話は?」
恵美子ちゃんがそう言いますが私は眠いのです。なんで今頃眠気が来るんだろう。
「瑞稀も恵美子ちゃんも飛鳥がこれじゃ話にならないから話は放課後にしよう」
私がこんな感じだから瑞稀も恵美子ちゃんも呆れたように自分達の教室へ行ってしまいました。
「飛鳥、昨日は眠れなかったの?」
玲華が心配して色々訊いて来ますが……
「うん、恵美子ちゃんの事とか、文化祭の事とか色々考えちゃって……」
「そうか! でも、もう起きないと授業が始まるよ」
一時間目、国語の授業が始まりました。
「今村、理系だからといって唯一の国語の授業で居眠りするんじゃない」
「あ! すみません……」
「普段真面目なおまえがどうした?」
「はい、すみません」
クラスのみんなからも笑われてしまいました。でも、先生の授業が子守唄に聞こえるんだよね……
放課後、部活です。朝言っていた文化祭の話をしないと……
「お疲れ様です」
そう言って化学室に入ります。
「飛鳥、大丈夫? 今朝は教室に行くなりすぐに寝ちゃうから……」
「うん、大丈夫最近眠れなくてね……」
「何かあったの?」
「うん…… 色々考えちゃって眠れないの」
取り敢えず文化祭の話を…… 発電機は私の祖父から供給してもらいエンジンの整備も担当してもらうので顧問の古澤先生を通じて学校側に来校の許可を貰わなければいけません。これは私がやる事になりました。なんたって私の祖父ですから…… 燃料となるバイオディーゼルは四十リットルあるので作る必要は無いでしょう。
「玲華達はどうしようか?」
「私達は去年作った製造工程の資料を作り直すよ、ちょっとボロボロだしね」
瑞稀が提案します。みんなは一応に首を縦に振ります。
「去年のエンジンテストの映像を流そうか」
玲華の提案です。
「あ、それいいね!」
玲華の提案はみんなに支持されました。
「それじゃ、資料作成とテスト映像の編集よろしくね! 私はエンジン供給の準備とお爺ちゃん来校の許可を学校側にお願いするから」
部活で活動している時はなんとか元気なんだけどそれが終わるとなんだか身体が怠くてやる気が出ないです。
「今村さん!」
私を呼ぶのはバブル班の北野班長です。
「文化祭の時はバイオディーゼル班も化学室を使うよね」
「うん、そうだね、でも今回は中庭で発電機を回す計画があるから製造工程の資料を展示するスペースと去年のエンジンテストの映像を公開するからそのスペースだけあれば充分かな」
「じゃあ、半分は使っても大丈夫だよね」
「うん、他の班が使わなければ……」
「他の班からは許可を貰っているから」
北野班長は楽しそうに微笑んでいます。
「今年も手作り石鹸の販売をするんだよね、新入部員も三人バブル班に入ったしね!」
「うん、これでバブル班は存続出来そうだけど」
「うちは、ほとんど研究成果が出たからね……」
「恵美子ちゃんはどうなるの?」
「天気図を描くのが気に入ったみたいでそっちの研究を考えてるみたい」
「今村さんはやらないの?」
「最初はそのつもりだったけどとても難しいし、瑞稀も玲華もやる気が無いみたいだから」
話し込んでたら部活終了の時間です。なんとか今日一日を乗り切る事が出来ました。今晩はしっかり睡眠を取って明日に備えないと……
しかし、翌朝やっぱりあまり眠れませんでした。時間にして四、五時間くらい眠れたかな! 身体が怠いです。
「飛鳥さんおはようございます」
恵美子ちゃんは今日も元気です。しかし私は、身体の怠さと思考力も低下しているような…… しかし、学校へは行かないと…… 恵美子ちゃんと二人でバスに乗りなんとか学校に到着する事が出来ましたが昨日同様に机に突っ伏してしまいました。これにはさすがに恵美子ちゃんも心配しています。
「飛鳥、保健室に行こうか?」
玲華が心配そうにそう言っています。恵美子ちゃんも一緒に行きたいみたいですが授業があるので教室へ行ってもらいました。その後私は、玲華に保健室へ連れて行かれました。保健室ではぐっすり眠れ、私は二時間目の授業が終わった頃教室に戻りました。
「飛鳥、もういいの?」
玲華が心配しています。
「うん、大丈夫」
そう答えたものの眠気は取れたけど身体の怠さは残ったままです。玲華は心配そうに……
「学校が終わったら上杉先生のところに行こう」
玲華がそう言いますが……
「病院には行かなくても大丈夫だから」
私は病院へ行くのを拒みましたが…… 上杉先生からメールが来ていました。
「どうして?」
「飛鳥が辛そうだったから上杉先生に連絡したの」
玲華はそこまで私の事を心配していたようです。
「ありがとう…… 玲華」
放課後、私は玲華に連れられて大学病院へ行くためにバス停へ向かいます。しかしそこには一台の赤い軽自動車が止まっていました。
「あの車なんでバス停に止まっているんだろう、邪魔だな」
玲華はそう文句を言っていますが、あの軽自動車は何処かで見た事が…… 思考能力が働かず思い出せません。私達がバス停に行くと……
「飛鳥さん、玲華ちゃん」
私達の名前を呼んで手を振る女性が……
「美彩先生! バス停は駐車禁止ですよ」
えっ! そこなの玲華?
「どうして美彩先生が……」
「いいから乗って、早くしないとバスが来ちゃうから」
「一応バスの時間は見てるんですね」
そう言いながら玲華と私は美彩先生の車に乗りました。
「でも、先生どうして?」
玲華が不思議そうに訊きます。
「秀一さんに頼まれて迎えに来たのよ。なんだか凄く心配そうだったけど」
「あっ、すみません、ありがとうございます」
私は俯きながらお礼を言いました。
「何かあったの?」
美彩先生は不思議そうに訊きますが……
「別にたいした事じゃ…… それより先生クリニックはいいんですか?」
玲華は話を変えてくれました。
「今日は午後から休診なのよ! だから迎えに来れたのよ」
「でも先生、車とか持っていたんですね」
「失礼ね、玲華ちゃん! 私だって車くらい持ってるわよ」
「でも、何故軽自動車なんですか? 上杉先生は外車の格好良いのに乗ってるのに」
「秀一さんは小ベンツくらい乗れば良いのにって言ってくれたのよ! でも私はあまり車に乗らないから軽自動車を買って貰ったの、でも色は赤色が良いって言ってね」
「なんで赤なんですか?」
玲華の問いに美彩先生は黙り込んでしまいました。
「上杉先生と同じですよね」
私がそう言うと美彩先生は……
「秀一さんが真似をしたのよ、私が最初に赤色にしたんだからね」
美彩先生、顔を真っ赤にして言わなくても…… そう話をしているうちに大学病院に到着です。
私は二人に連れられて上杉先生のもとへ連れて行かれました。
「どうしてもっと早く来なかったの? 玲華ちゃんから連絡があってびっくりしたんだよ」
「すみません」
あの優しい上杉先生から到着早々に怒られてしまい私は俯いてしまいました。
「それで、昼間は眠気があるの?」
「はい、あと怠さがあってやる気が出ません」
「うーん、これはお薬を処方しないと駄目だな」
そう言って電子カルテになにか書き込んでいます。
「一応検査もするからね」
私は看護師さんに連れられてMRI検査と血液検査を受け結果が出るまで、しばらく待合室で待つ事になりました。その時、母が大慌てで病院へやって来ました。
「お母さん…… ごめんなさい」
私は母の顔を見てまた俯いてしまいました。
「大丈夫なの?」
「うん、今、検査の結果待ち」
すると母は急に顔をしかめて……
「飛鳥、気づいてあげられなくてごめんね」
母は私を抱きしめながら涙を流しています。母のこの姿を見るのが私は一番辛いです。
美彩先生も玲華もそっと見守ってくれています。
「今村さん、中へどうぞ」
看護師さんに呼ばれ診察室へと入って上杉先生の説明を聞きます。
「取り敢えず、異常は見られなかったけど、お薬を処方します。それで様子を見ましょう」
「先生、ホルモン治療の方は?」
母が心配そうに訊きます。
「そっちは今まで通りで大丈夫ですよ」
母は少し安心したようでした。
「飛鳥君、二種類のお薬を処方します。ひとつは夜寝る前飲んで下さい。これを飲めば良く眠れます。もうひとつは、朝食後に飲んで下さい。これは朝からきちんと活動出来るお薬です。これを一錠づつ飲んでね、いいかな、絶対に忘れないでね!」
そう上杉先生から釘を刺されてしまいました。
「先生、これって副作用があるんですよね?」
「うん、少しはね! でも今は飲まないとね、成分の調整はしてあるから…… それと、調子が悪い時は早く病院に来る事!」
そう言われて私達は診察室を出ました。待合室へ戻るとちょっと力が抜けて座り込んでしまいました。
「飛鳥、大丈夫なの?」
「うん、お薬を貰いに行かないと」
すると美彩先生が……
「私が貰って来ますのでお母さんは飛鳥さんの側にいてあげてください」
美彩先生は処方箋を持って薬局へ行きます。その時、処方箋を見て、なんだか含み笑いをした様に見えたんですけど……
その後、美彩先生が薬を持って戻って来ました。
「飛鳥さん、こっちが夜飲む分で、こっちが朝飲む分だって忘れないようにね」
そう言って渡してくれました。お薬の袋にも朝と夜と大きく書いてあります。
「飛鳥、迎えの車が来たから帰るけど乗って行く?」
玲華からそう言われたけど……
「飛鳥さんとお母さんは私が送るからいいわよ!」
美彩先生が言ってくれました。玲華には悪いけど母と一緒にあの高級車はちょっと…… その後、私と母は美彩先生の車で家まで送ってもらいました。
その日の夜、私は薬を飲んで部屋へ行くと恵美子ちゃんからチャットの着信があります。
『放課後どこにいたんですか? 教室まで行ったんですけど……』
どうやらずっと私の事を探してたみたいだね。
『ごめんね! 大学病院へ行っていたの』
『えっ、病院! 大丈夫なんですか?』
『うん、お薬をもらったからもう大丈夫だから』
『最近、可笑しかったからちょっと心配だったんですよ』
恵美子ちゃんは心配してくれてたんだね! ありがとう。もう少し話をしてあげたいけど薬を飲んだ私にはもう無理でした。
『ごめん! おやすみ……』
お薬のおかげでしっかり眠れる事が出来ました。
とうと、飛鳥にもお薬を処方されてしまいました。まだまだ苦難があるみたいです。




