27 私立高校受験
お待たせしました! 27話が出来ましたので更新します。今回は前半が初詣で後半が私立高校受験の朝を書きました。いよいよ、恵美子ちゃんの受験も大詰めです!
年が明け新年を迎えました。皆さん明けましておめでとうございます。高校一年もあと少しです。恵美子ちゃんは高校受験まで最後のラストスパートのはずですが、またもやチャットです。
『飛鳥さん、初詣に行きましょうよ! 合格祈願したいから』
やっぱり、心配していた事が…… 恵美子ちゃんも美彩先生と同じでイベント好きなんだね! たぶん…… まあ、初詣に合格祈願だから息抜きという事でいいのかな…… そういう事で『三日の日で良ければ初詣に行ってもいいよ!』と返信しました。ここは玲華の悪知恵に乗っかる事にしました。あ、またもやチャットです。『やったー! 今から楽しみ』と返事がありました。本当、恵美子ちゃんは好きだね。
お正月三日目、私は最寄りのバス停で恵美子ちゃんと待ち合わせです。私の今日のコーデは黒のニットの上にコートを羽織りボトムスはブラウンチェックのロングスカートです。本当は振袖でも良かったんですけど、今日は恵美子ちゃんの引率なので…… あっ、恵美子ちゃんも来ましたよ! 今日の彼女はブラウンのパーカーにジーンズです。
「おはようございます。飛鳥さん!」
「おはよう、今年もよろしくね!」
「はい、よろしくです」
それでは早速バスで出発しましょう。
「今日は瑞稀さんは一緒じゃないんですか?」
「瑞稀も玲華も相手がいるからいつも一緒じゃないのよ」
「それじゃ、今日は二人きりですね!」
笑顔の恵美子ちゃんです。
「そうね、でもお参りが済んだら帰るわよ」
笑顔から一気に憂鬱な表情の恵美子ちゃんです。
「えーっ! ゆっくり良いじゃないですか」
「駄目、駄目、風邪引いたらどうするの? 私立の試験だって近いんだから……」
「えーっ! 久しぶりのお出掛けなのに……」
恵美子ちゃんは頬を膨らませます。確かに受験シーズンは仕方が無いよ…… って!!
「何言ってるのよ! 先週クリスマスをしたでしょう」
「あは! バレちゃった」
もう、危うく騙されるとこだったわ!
「でも、折角だし良いじゃないですか」
私は困り果てましたが……
「もう、分かったわよ、それじゃお昼を食べたら帰るわよ、分かった!」
「うーん、それじゃ勉強を教えて下さい」
「良いけど、私が教えてあげられるかな?」
「大丈夫ですよ、高校受験の勉強ですから」
またもや、なんだか調子の良いように付き合わされている様な……
そうこうしてる間にバスは城北神社に到着です。お正月も三日目だというのにまだまだ人は多いです。私はあまり人混みの中は得意ではないのですが…… これでも元旦や昨日からすれば少なくなったほうなんでしょうか……
「飛鳥さん、早く!」
しかし、拝殿までは鳥居の手前五十メートルくらいの列が出来ています。拝殿に辿り着くまでに五十分くらい掛かるかな?
「結構多いんですね、この神社」
「普通、お正月はどこも多いんじゃない。元旦は鳥居から百メートル以上後ろに並ぶんだよ」
「そんなにですか?」
「この辺では初詣っていったら城北神社だから、でもよその名の知れた神社だとかなり大変らしいよ」
「そうなんですね、私、初詣って初めてだからよく分からないんですよ」
それで合格祈願に来たの? ご利益あるのかな……
五十分を過ぎた頃、ようやく拝殿に辿り着きました。私達はお賽銭を入れて、見様見真似の二礼二拍手一礼でお参りを済ませます。御守りとかも有りますが、恵美子ちゃんはまず合格祈願の絵馬が最初です。私はその間に御守りを入手しました。
「飛鳥さん、これなんて書けば良いんですか?」
「だから、願い事を書けば良いんじゃない」
「それで良いんですか?」
恵美子ちゃんはちょっと不安顔です。私も絵馬とか書いた事が無いから分かりません。どうしようかな……
「恵美子ちゃん!」
うん、この声は…… 瑞稀!
「瑞稀、なんでここにいるの?」
「三日の日に初詣に行くんじゃないかって玲華から聞いていたのよ!」
「一人なの?」
「ううん」
瑞稀はそう言って振り返ります。そこには関先輩がいました。
「明けましておめでとうございます」
「あ、おめでとう合格祈願の絵馬を書いていたの?」
恵美子ちゃんは困惑顔でどうしたら良いのか分からなくなっている様子です。でもその仕草がなんとなく可愛くて仕方がないのです。
「絵馬は裏の方、絵が描いてない方に願い事を書くんだよ」
関先輩がそう教えてくれました。
「え、あ、ありがとうございます」
そう言って恵美子ちゃんは願い事を書き始めました。
「あの、住所とか名前も書くんですか?」
「いや、名前と年齢で良いよ! 流石に住所まで入れると詳しい個人情報になるからね」
関先輩はそう教えてくれました。その後絵馬を掛け合格祈願をする恵美子ちゃんです。
「よし、これで大丈夫! 飛鳥さんおみくじ引きませんか?」
おみくじか、修学旅行の出雲大社以来かな。私はそう思いながらおみくじを引くために恵美子ちゃんの元へ、それを瑞稀が微笑ましく見ています。
「やった! 大吉ですよ!」
「わあ、凄い! これで合格間違いなしじゃない」
瑞稀は嬉しそうにそう言いますが瑞稀が試験を受ける訳じゃないんだけど……
「お正月だから大吉がちょっと多めに入っているんじゃないのかな……」
私はそう言いながらおみくじを引きましたが…… 中吉!
「飛鳥さん、どうでしたか?」
「うん…… 中吉」
「意外と中途半端だね」
瑞稀に言われてしまいました。
「私が受験をする訳じゃ無いからいいのよ! そう言う瑞稀はどうなのよ?」
「私は…… 小吉、だね……」
瑞稀は申し訳なさそうに言いました。
「まあ、そんなもんだよ! 普段より少しは多いかもしれないけど」
そう言いながら関先輩もおみくじを引きました。
「吉だ! やっぱり大吉を出すのは難しいようだな」
「ねえ、なんて書いてあったの?」
瑞稀は関先輩のおみくじを横から覗き込んでいます。
「それは別にいいだろう」
「見せてくれても良いじゃない」
この二人はとても仲が良さそうだ。
「ところで恵美子ちゃんはどこの高校を受験するんだい」
関先輩が訊きました。
「城南高校ですよ!」
「そうか、後輩になるんだね」
「関君知らなかったのね」
「あ、ひょっとして知らなかったのは僕だけなんだね……」
関先輩はちょっとだけ淋しそうだけど……
「恵美子ちゃん、私立はどうするの?」
瑞稀に訊かれて、そう言えばあれ、どこだっけ? 私も訊いていない事に気付きました。
「私立は城南女子高校の特別進学コースです」
「それって、普通科なの?」
「はい、普通科の特別進学コースです」
「凄いな! 僕には無理かな……」
「いや、女子高だから関君は行けないよ」
関先輩はなんとなく恥ずかしそうです。恵美子ちゃん、私立は女子高なんだね。
「あ、そうだ! 恵美子ちゃんこれ」
「なんですか?」
「学業成就の御守り、受験頑張ってね」
そう言って御守りを渡しました。
「飛鳥さんありがとうございます。私、頑張りますね」
その後、私達はお昼を一緒に食べた後、瑞稀達と別れました。恵美子ちゃんとは一緒に勉強するつもりだったんですが図書館は今日までお休みです。だからといって恵美子ちゃんの家に正月早々お邪魔することは出来ないので帰ることになりました。恵美子ちゃんはとても残念そうです。私はホッとしたような、でも残念なような複雑な気持ちです…… そして、短い冬休みは終了しました。
明日は私立高校の受験の日です。まあ、大丈夫だと思うけど、恵美子ちゃんに応援チャットでも入れとこうかな!
「飛鳥、明日寒いみたいだから暖かくして寝なきゃ駄目よ」
母からそう言われました。
「えーっ! 寒いの嫌だな」
どうして受験の時って寒いんだろうね、本当嫌になっちゃう恵美子ちゃん大丈夫かな……
翌日、天気は雪です。積雪は十センチ程ですが私達の街ではほとんど雪が降らない地域なので大変です。
「お母さん、取り敢えずバスは動いてるみたいだから行くね」
私はバス停へ行きました。道路はチェーンを巻いた車がゆっくり走っています。バスも時間通りには来てくれません。かなり遅れているようです。その時、スマホが鳴りました。恵美子ちゃんです。
『もしもし恵美子ちゃん』
『飛鳥さんどうしよう、試験に間に合わないよ』
恵美子ちゃんは相当動揺していて今にも泣き出しそうな声です。
『恵美子ちゃん大丈夫だから、中学校に電話して事情を話せば大丈夫だからね、通常じゃないからなんとかなるから』
『はい…… 分かりました……』
『落ち着いてね! 大丈夫だからね』
通常の恵美子ちゃんだったらこんな事で動揺する事は無いんだろうけれど、高校受験に遅れると思うとやっぱり焦ります。それがたとえ私立高校の受験だとしても…… 恵美子ちゃん大丈夫かな……
大体、受験の日ってなんらかのトラブルがあったりするんですよね! たいしたことが無いといいんですが、今回みたいに雪が降ってとなると学校側もなんらかの措置を取ってくれると思いますけどね……




