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憧れのスカート  作者: 赤坂秀一
第六章 恵美子ちゃんの受験
24/52

24 不覚な女子高生

お待たせしました。24話を更新しました。

今回は恵美子ちゃんに風邪をうつされ何をやっても上手くいかない飛鳥です。


 恵美子(えみこ)ちゃんに唇を奪われた次の日の朝、喉の調子が良くありません。何となく痰は出ていないのですが咳が出て非常に不快です。

「おはよう」

 私がリビングへ降りて来た時、母から訊かれました。

「喉の調子悪いの?」

「えっ! なんで?」

 母はどうして気付いたんでしょうか?

「あなた、さっきからずっと空咳をしてるのよ」

 私は無意識のうちにやっていたみたいです。

「ちょっと、大丈夫? 熱を測りなさい」

 私はちょっと気怠い声で「はーい」と返事をしました。

 ちょっと面倒臭いけど母を怒らせる方がもっと面倒臭いので素直に従います。

「三十六度八分!」

「大丈夫なの? ちょっと熱があるじゃない」

「大丈夫だよ、平熱だから」

 母はかなり心配そうです。

「今日もクリニックに行くからついでに美彩先生(みさせんせい)に診てもらうよ」

 母は眉間に皺を寄せ私を見てましたが、クリニックへ行くという事でいつもの優しい表情に戻りました。

「具合が悪くなったらすぐに先生に言うんですよ」

「はい、分かってます」

 母はいつまで経っても私の事は子供扱いです。


 私は朝食を済ませた後学校へ行きます。学校の昇降口に着いたとき丁度瑞稀(みずき)に逢いました。

「おはよう瑞稀」

飛鳥(あすか)、風邪?」

 何故分かったのかな? マスクとかしている訳でもないのに……

「どうして分かったの?」

 瑞稀は呆れたように溜息を吐き「どうしてもなにも『コホコホ』言ってるじゃん」

 やっぱり無意識のうちにやってたのか!

「これあげるからしていた方が良いよ」

 瑞稀に新品のマスクを手渡されました。

「ありがとう」

「うん、ところで化学室は行って来たの?」

「え! なんで?」

「飛鳥、大丈夫? 昨日作ったでしょう! バイオディーゼル」

「あっ、確認してないよ」

「大丈夫よ! 成功してたから」

 玲華(れいか)がそう言いながら昇降口に来ました。どうやら確認してくれていた様です。

「ありがとう玲華」

「おはよう、風邪引いたの?」

「うん」

「夏風邪は治りにくいから気を付けた方が良いよ」

「うん、ありがとう」

 どうも昨日、恵美子ちゃんから貰ってしまった様です。別れ際にあんな事するから……

「飛鳥! 熱があるんじゃないの? 顔が赤いけど」

「あ! 大丈夫、大丈夫……」

 彼女の事をちょっと考えただけで顔が赤くなるとは…… 私はそんな妄想族では無いと思うのですが……

「なんにしても恵美子ちゃんが悪い!」

「なに! いきなりどうしたの?」

 瑞稀と玲華が驚いた様に訊いて来ます。

「え! 何が?」

「何がじゃないわよ! 恵美子ちゃんと何かあったの?」

 玲華が心配そうに訊いています。

「でも、恵美子ちゃんは修学旅行中だよね」

 と瑞稀が確認します。

「でも『恵美子ちゃんが悪い』って飛鳥が言ったんだよ」

 私は、つい言葉にしていたみたいです。でも二人には昨日から修学旅行に行っているって言ったから二人ともそう思っているよね。

「飛鳥、どうなってるの?」

 どうしようかな…… このままだと変な事になっちゃうよ。そのとき、先生が教室に入って来ましたので続きは休み時間です。しかし、ここのところ油断しているのか全てが悪い方へ行っています。不覚です。


 午前の授業が終わり、お弁当を持った玲華と瑞稀が来ました。

「ねえ飛鳥! 私達に何か隠してるよね」

 玲華にそう言われ、瑞稀は私の事をずっと見ています。もう万事休すです。

「分かったから……」

 私は勘違いをしていて彼女の修学旅行が今日からであること、昨日クリニックで恵美子ちゃんに逢ったことを話しました。

「それじゃ、昨日喧嘩したんだ!」

「だから喧嘩はしてないよ」

 瑞稀の問いに否定する私です。

「それじゃ何故、恵美子ちゃんが悪いのよ」

 玲華からの追求に私はもう逃れられないです。本当に万事休すです。私は顔を真っ赤に染めて俯きながら小さな声で白状しました。

「ええ! キスしたの?」

「声が大きいよ瑞稀……」

「何故そうなるのよ?」

 玲華は冷静に訊いて来ます。

「だって、帰り際にいつもの様に抱きつかれて、私に顔を近づけたと思ったら……」

「恵美子ちゃんからキスされたの?」

「…… うん」

 もう、私は俯いたまま顔を上げることが出来ません。顔は熱を帯びてるので真っ赤だろうしとても恥ずかしいです。

「それで恵美子ちゃんが悪いのか!」

「恵美子ちゃん風邪気味でクリニックに来てて、それでずっと側にいて帰り際にそんな事になったから……」

 私はもう、小さい声ながらも全て白状しました。

「それで風邪も貰っちゃった訳ね」

 私は小さく頷きました。

「でも恵美子ちゃんも積極的だね、受験大丈夫なの?」

「うん…… 成績は大丈夫みたい、学年トップを狙うためにはこれくらい勉強しないとって言ってたし」

 玲華は呆れて溜息を吐いていました。

「飛鳥、どれくらいの間キスしたの?」

 瑞稀の問いに私は慌てて「一瞬だよ! 一瞬ちょっと触れただけだから……」と答え、また真っ赤になってしまいました。もう熱いです。

「それより玲華は昨日どうなったの?」

 私はちょっと強引に話題を変えました。

「私達はあれからお茶しながら話したわよ!」

「どんな話をしたの?」

 今度は瑞稀が興味を持ちました。

「だから、部長になることを何故話してくれなかったのかを聞くと、自分でもどうしていいか分からなくなったみたいで…… とにかく色々考えていたら話すのを忘れてたんだって」

「そうだよね、部長になるって部の運営とか予算とかもあるし来年の新入部員の確保とか大変だろうね」

 でも、来年の前期終了前には私達の中から部長を決めなきゃいけないんだよね……


 放課後、今日は活動日では無いので昨日作ったバイオディーゼルの精製だけして帰ることにしましたが、結構時間が掛かるので一度不純物を取り除き二度目はきちんと沈殿させるため明日の朝にすることにしました。

「これからどうする?」

 瑞稀が訊いています。

「私は電車の時間が少しあるから駅周辺をぶらつこうかな」

 玲華は電車通学なので仕方がないですね。

「飛鳥は?」

「私は、風邪が酷くならない様にクリニックへ行くよ。あと試験勉強もしないとね」

「瑞稀、関先輩(せきせんぱい)は?」

 玲華は瑞稀のことがちょっと気になる様です。

「関君なら今日も城北川に行ってるよ」

「え! 昨日もじゃなかった?」

 私はちょっと驚いて訊きます。

「うん、いい写真がとれなかったんだって…… だから今日も遅いかな? 昨日もLINEがあったのが夜の十一時だったから……」

 写真部も色々と大変そうです。


 私は昨日と同様北条(ほうじょう)クリニックに来ました。

「飛鳥さん、ちょっと待っててね! まだ診療中だから」

 受付でそう言われましたが……

「私も、診察をお願いしたいんですけど……」

「風邪?」

「はい」

「それじゃ、お熱を測って待っててね!」

 私は待合室で熱を測りながら順番を待ちます。と言っても待合室は私ひとりなんですけど。

「飛鳥さん診察室へどうぞ」

 そう呼ばれ、私は美彩先生(みさせんせい)が待つ診察室へ行きました。

「飛鳥さんどうしたの? 昨日はなんともなかったみたいだけど」

「はい、今朝起きたらちょっと怠くて少し咳が出てたから」

「熱は三十七度二分か…… 口を大きく開けて」

 先生は喉の様子を見ています。

「ちょっと炎症があるね、胸をちょっとだけ開けるよ」

 そう言って服の下に聴診器を忍ばせます。

「うん、問題は無いみたい。今日の勉強はどうする?」

「勿論、やりますよ」

「大丈夫?」

 美彩先生はちょっと心配そうです。

「先生、注射とか出来ますか?」

「うーん、普通はお薬を処方するだけなんだけどね」

 美彩先生は、ちょっと困った顔をしています。

「風邪の注射って別に無いんだよね。ただカロリーの素となるブドウ糖やナトリウムなどの電解質が入っていて自己治癒力の手助けをするだけなのよ」

「でも風邪薬ってありますよね」

「そうね! 今日も処方するけど、あれは風邪のウイルスに効くんじゃなくて風邪の症状を楽にしてくれるものなの、例えば喉が腫れて痛い時は炎症を抑えて痛みを鎮めるとかね」

「風邪のウイルスに効く薬は無いんですか?」

「残念ながら無いね! 注射をしても良いけど勉強が終わった後にしようか! ただし、注射をしたらすぐに家に帰って早く寝て下さい! 分かった?」

「はい」

「どうやら恵美子ちゃんに貰っちゃったみたいだね!」

 そう言われ、私は俯きちょっとだけ頬が赤くなりました。

「あれ、熱は無かったよね」

「あ、大丈夫です。待合室で待ってますので……」

 そう言って診察室を出た私です。なんだか恵美子ちゃんの名前を聞いただけで反応してしまう私、なんだか恥ずかしいよ……

「あら、今日もお勉強なの?」

 華奈代(かなよ)さんです。

「華奈代さん終わりですか?」

「うん、今日は珍しくうちの人が早く帰って来るから夕飯をね!」

 そう言って華奈代さんは嬉しそうに帰って行きました。

「飛鳥さん、リビングでやろうか?」

 美彩先生から呼ばれたので「はい」と返事をしてリビングへ行き美彩先生特製の問題集に取り掛かりました。

 その時、誰かが来たみたいです。

「先生、勉強良いですか?」

「あ! 久美(くみ)だ」

「あれ、飛鳥! そうか、期末試験だよね」

「うん、久美は?」

「私は定期的に見てもらってるの、最近は部活で遅くなって来れないこともあるけどね」

 久美は問題集をもらって勉強開始です。

「あ、久美! あまり近付かないでね、風邪気味だから」

「え! 大丈夫? 体調管理はきちんとしないと駄目だよ」

 久美に怒られてしまいました。これも恵美子ちゃんの所為だ。

「あっ! 文化祭のメールもらった?」

「うん、匠君(たくみくん)から来てたよ! 丁度秋休みだから瑞稀と一緒に行くから」

 すると、美彩先生も聞いてたみたいで「私も行くからね」と言っていました。美彩先生も好きだよね。クリニックの方は大丈夫なのかな……

 私は勉強が終わったあと注射をしてもらい家に帰りました。その日は軽く夕食を食べたあと薬を飲んですぐに休む事にしました……


 翌朝、昨日早く休んだおかげでスッキリ目が覚めて回復することが出来ました。美彩先生凄い!

何をやっても上手くいかない日はありますよね! それを風邪をうつされたからと言って全て恵美子ちゃんの所為にする飛鳥…… でも、美彩先生に治療をしてもらい回復したら、いつもの飛鳥に戻っていたみたいです。めでたし、めでたし!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恵美子ちゃんからもらった物なら風邪でもかわいい…。 …という訳ではないみたいですね。まだちゃんと分別があって良いのかな、なんて思います。 恵美子ちゃんも舞い上がっている様子でも、しないとい…
2020/09/27 11:53 退会済み
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