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005 吾輩、戦う
吾輩、見習い探索者に拾われた、艶ある木の剣である。
ここは迷宮、来るものは拒まないが、それでも深層に至るには相応の準備が必要なのである。
そんな中でなんの装備もない見習い探索者が戦うということはほぼない。
故に吾輩、そのまま迷宮の外に行くのかと思ったのだが、この見習いは上昇志向が強かったようである。
探索者について次の階層への入り口にてお役御免となった見習いは、同じく帰るだけとなった見習いたちと4人ほどと合流したのである。
人数が増えたことでいつもなら一目散に出口に向かうところをモンスターに挑戦することにしたようである。
さすがに来た道を外れるようなことはしないようだが、見つけたモンスターに吾輩を使って挑むことにしたようである。
そして出会ったスライム。 見習いはほかの探索者を見て学んだのだろう、用心深くスライムの核に向かって吾輩を突き刺したのである。
スライムの核を割った吾輩、今度は溶けることはなかったのである。