守るべきもの
アルバイトを始めて一年が経った。
「ほいよっ、今月の給料!お疲れさん!」
おやっさんから給料袋が手渡される。
「あざーす!」
俺は無造作にポケットに終いこむ。
ミミズに銀行口座は作れない。こればかりは仕方ない。
だけど手渡しのお金には重みがあった。
「ああ、そうだ、次の現場だけどな……」
土木作業は次々と場所が変わる。
そりゃそうである。整地したらその場所は終わりなのだ。
おやっさんの言葉を聴いて愕然とする。
その住所には、関東ローム層が含まれていた。
「すいませんおやっさん、仕事辞めます」
言うだけ言ってミミガーは空を駆けた。
関東ローム層に向かって。
「建設はんたーい!ミミズだって生きているー!」
ミミガーは叫ぶ。プラカードも作った。
「お前らはミミズを追い出すのかー!」
作業をしていた奴を殴る。ぽかぽか!
粉砕した。
魔王の力はちょー強い。
「な、なんだね君は!」
現場監督らしいメガネが話しかけてくる。
「私は魔王ミミガー!!!!」
メガネしていた奴を殴る。ぽかぽか!
粉砕した。
魔王の力はちょー強い。
騒ぎを聞きつけ警官が来た。
パン!パン!
なんか撃ってくる。
「ふはははは、効かん、効かんわ!」
「MTフィールドは心の壁!!!」
キンッ!キンッ!
なんか弾く。
「ミミズ、ブゥゥゥゥメラン!」
エルフ耳を引きちぎりぶん投げる。
高速で飛んでったエルフ耳は警官の胴を薙ぐ。
「いてててて、なんだこの痛みは!
貴様らああああああ!!!」
耳があった所がジンジン痛む。
使い方を間違えた気がする。
とうとう自衛隊が来た。
戦車だ、なんか戦車。
戦車の砲身がミミガーを捕らえる。
その時だった。
「おいミミズ!危ないぞ!」
おやっさんが俺の前に躍り出た。
どーん。
砲弾がおやっさんを直撃した。
俺を守ったのだ。
「お、おやっさん!どうして!?」
「お前、家族を守りたかったんだろ?
俺もお前という家族を守りたかっ……た」
言うだけ言って死んだ。
「うわあああああああああああああ!!!」
本気出したら戦車は壊れた。
ミミック・振動で死亡
― 残り6匹 ―