エルフ令嬢が出ると読んでもらえると聞いて
「貴方もミミズ転生していたのね」
不意に声をかけられる。
「まさか!ミミズエルフか!?」
ミミズの容姿にエルフの耳、着ている服は令嬢である。
勇者の俺よりキャラが濃い。由々しき事態だ。
「私もミミズを助けたの。三匹」
「なっ……三匹……だと」
驚愕する。
助けるのが一匹じゃ足りなかったとでも言うのか。
何故、俺にはエルフ耳が無いんだ。
ミミズ勇者?そんなものよりミミズエルフのほうが可愛い。
可愛いは正義である。
こいつ......放ってはおけない。俺の沽券に関わる。
これがっ、これが怒りか!
真っ黒な感情がわきあがる。俺は覚醒し、エルフ耳がはえた。
「勝負しろエルフっ娘。
どちらが真のエルフミミズに相応しいか。
ミミズのプライドを賭けて。
俺の地獄エルフ耳をなめるなよ?しょっぱいぞ」
俺はエルフ耳を羽ばたかせる。
俺には解る、飛べる。
ミミズが宙をまう!これぞ新技!!!!!!
ふぁいや~ぼ~る!
技名からは想像できない、全く関係ない動きでエルフミミズを翻弄する!!
「なかなかやるわね。なら私は!」
ばぎっ!ばきばき!
ミミズエルフがどんどん肥大化し、ついにはミミズ神の姿になってしまう。
こいつ、俺がミミズ神を愛してると知っていて……
これじゃ攻撃できない!
「俺の、負けだよエルフミミズ。
名前を教えてくれないか?」
認めたくないが、初の負けだった。
「私?私の名前はミミリー」
なっ!なんだと!
その名前は一話に登場して敵にやられた最愛のミミズの名前!!!!!
「そうよ、私は転生したの。
令嬢エルフミミズに!」
ヒロインかよ!
まさかの展開に驚きを隠せない。
「今夜僕のベッ土においで」
「はい、愛してるわミミガー」
グサッ
暗殺なら深夜に限る。
勝てないのなら手段は問わない。
ぼくはミミリーをころした。
あいしてるよミミミリー。
ミミリーの耳を剥ぎ取り、ぼくの耳を増やした。
ダブルエルフ。
最強の称号を手に入れたのだ。