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真・ミミズ転生   作者: りょん
3/10

覚醒の時


 ミミズ、宇宙へ。

 M・レイクイエムにはこれ以上頼れない。

 俺は仲間思いのミミズだ。

 仲間を危険に晒すわけにはいかない。

 宇宙にいくと、ミミズ神がいた。新しい技をもらった。

「勇者よ。この技を使いなさい。」

 白いドレスが漆黒の世界によく栄える。

 相変わらず人外的な美しさだ。


 習得後は宇宙を漂った。

 無重力は心地がよかった。ここでなら悟りが開けそうだ。

 今までの人生を思い起こす。


 ミミズ。


 それ以上でも以下でもなかった。

 悟りが開かれる。

 俺はミミズなんだ……。それで良かったんだ。

 

 オケラの本拠地に向かい急降下する。

 大気圏?そんなものがミミズを止めれるはずがない。

 戦地へ、一秒でも早く。

 俺が行かなきゃ誰がオケラを倒す?

 否、俺が殺る。


「負傷ミミズは後方に下がれ!」

 軍曹の指示が飛ぶ。

「このままじゃ全滅してしまいますぅ。」

 ミミコが弱気で言う。

 オケラの軍勢は圧倒的だった。

 圧倒的数の暴力。

 30匹近いオケラが12匹のミミズを襲う。

「僕が足止めします、皆さんは退避を」

 ミミスケ伍長が皆に語りかける。

「死ぬ気か?ミミスケ……」

「僕だって男なんでね。最後くらい格好つけさせて下さいよ」

 軍曹はミミスケの言葉に頷く。

 そして死を覚悟したミミズの背中を見送った。

「ミミスケ、突貫します!」

 身体をうねらせオケラの集団に高速で突っ込むミミスケ。

 これがミミスケの必殺技。

 高速うねうねだ。

 早く移動できる。すごい。だがそれだけだ。

 オケラの刃のような腕がミミスケの胴体を―――

「殺らせねぇよ……誰一人としてな」

 切り裂く直前にミミガーが大地に立つ。

 その姿はまさに勇者だった。

 一回り大きくなり、漆黒のコートを纏うその姿はまさにミミズ神様の伴侶にふさわしい。


「ミミスケ無事か?」

「ミ、ミミガーさん!?」

 コートをたなびかせ、見えた背中には漆黒の翼が映えていた。

「話は後だ、新しい技を見せてやる」

「行くぞッ!ミミズ奥義!」


 その勢いはまさに流星っ!

 これが、これが!ミミガー、後に英雄となる男の奥義だぁ!

 

 「流星ッ」


 時空が振動する。

 周囲の土壌が柔らかくなる!

 そしてオケラの大群にミミスケが降り注ぐ!!

 そして貫く。

 何匹も何匹もミミスケが降り注ぐ。

 降り注ぐミミスケはどこか満足げな表情をし、散っていった。

 オケラの大群を道連れに。

 

「ミミスケェェェェェ!」

 これがっ...これが怒りかっ!

 ミミスケを殺された怒りに我を忘れる。

「許さん、許さんぞ!」

 俺は、この怒りを誰にぶつければいい?

 ミミガーは、身近にいたミミコを両断した。

 ミミコオオオオ!これがっ!これがこれがこれがこれが!憤怒かっ!

「許さん、許さんぞ!」

 ミミコを殺された怒りに我を忘れる。

 俺は覚醒した。総数百の足が生えたのだ。

 漆黒の百足ミミズとして生まれ変わる。

 俺はもう、ミミズであってミミズではない。だが、それでいい!みんなを守れるなら!

「ミミガー、もういい。よくやった」

 軍曹が俺の肩に頭を置き言う。

 そこで我に返った。

 

 オケラ掃討作戦は、多大な被害のもと成功したのだ。

 ミミスケ、ミミコの死は、無駄ではなかったのだと思う。


 ミミガー・30匹撃破

 ミミリンガ・負傷

 ミミスケ・死亡

 ミミコ・死亡


 ― 残り11匹 ―



 

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