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真・ミミズ転生   作者: りょん
2/10

復讐のハイエロファント


「総員、整列!!」

 ミミズ軍曹が号令をかける。

 ここは地中第三区画、栄養たっぷりな赤土訓練場。

 通称【関東ローム層】

 総勢15匹のミミズ達が集合する。精鋭中の精鋭である。

 俺、ミミガーもその内の一匹。

 勇者の力を携えしミミズ。

「ハイール、オール、ミミズーニア!」

 軍曹の声が更に響く。気が引き締まる。

 関東ローム層の精鋭を集め、群馬帝国に攻め入る。

 第152次オケラ掃討作戦は近づいている。

 我々ミミズの生存がかかった大事な戦争だ。

 一匹の可憐なミミズが俺に声をかける。

「生きて……帰ってね……」

「大丈夫さミミリー、愛してる」

 熱い抱擁を交わす。俺とミミリーは愛し合っている。

「お腹の子供のためにも、俺は無事に帰る」

 が、愛の語らいの最中、警報が鳴り響く。 

「なっ!モグラは我々との条約を裏切ったのか!」

 ミミヤン三等兵が焦った様相で皆に伝える。

 モグラが攻め込んできたのである。

 

「我々モグラは貴様ら下等種族とは馴れ合わないモグ」

 野太い声、丸い図体のモグラが部隊員を強襲する。

「モグッ」

 鋭い爪がミミヤンを貫いた。絶命である。

 ミミズはあまりにも脆い。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 逆上した軍曹が声を荒げ、モグラに得意のローリングチクチクを放つ!

 ミミヤンは軍曹の旧友で、幼き頃から一緒に戦場に立っていた。

 旧知の仲である。逆上するのも無理は無い。

「チクチクだとっモグ!?」

 チクチクをチクチクすれば、モグラとて無傷では済まない。

 四肢を捻りモグラは回避行動に移る。

 が、そこは軍曹のダンディさが上だった。

「モグっ!?」 

 軍曹のローリングチクチクは確かにモグラの腹に突き刺さる。

 口から鮮血を垂らし、それでもモグラは口にする。

「お前が……、噂に名高い伝説のチクチクの化身、ミミリンガ……モ…グ…」

 それがモグラの最後の言葉だった。

「私の異名を聞いて生きていたモグラは居ない」

 軍曹は奇襲をかけてきたモグラをチクチク倒していた。

 俺は周りを見渡している。

 華麗な軍曹の技に見とれていたが、戦いの最中である事は忘れていない。

 残りのモグラは三匹。

「俺が、やります。」

「軍曹は皆を連れて非難を。ミミリーを頼みます。」

「ミミガー、いけるか?」

「はい、アレを使います。」

「やめろ!M・レクイエムを使えばお前もタダじゃ済まないぞ!?」

「一度は捨てた命です。この命はミミズ神のために。」

 最愛の女性、ミミリーを軍曹に託し俺は臨戦態勢と移行する。


「我、ミミガーが命じる。はいえろなんとか、その姿を表せ!」

「M・レクイエムッ!!!」


 刹那、ミミリーの身体が四散する。

 はいえろなんとかがミミリーの魂を喰らい世に姿を現す。

「ミ、ミミリイイイイイイイイッ」

 俺が未熟なばかりに……

 この力、制御しきれないのか……

「ミミリーの仇、俺が必ず討つ」

 モグラに殺意を向け、心に誓う。

「土を掘るしか脳のないやろうがあああ!よくもミミリーをおおおお!」

 心が黒く染まる。これが……、これが怒りかっ!

 我が怒りを力に変えて放つ、この一撃をっ!

「行けっ、はいえろなんとかッ!!!」

 ミミリーだったそれが、モグラたちを引き裂いていく。

 ひとつっ!

 もはや、みみえろなんとかと言ったほうが正しいかもしれない。

 ふたつっ!

 ああ、ミミリー。君は死んでも俺のみかたでいてくれるんだね。

 みっつ!!!

 モグラ三体が引き裂かれ、絶命する。 


「M・レクイエム完了……帰還します。」


 戦いが終わったとき、四散したミミリーの顔がすこし笑ってくれた気がした。

 仇は討った。

 お腹の子供と天国で、どうか安らかに……。

「俺はもう、振り向かない。次の嫁を探すよ。」

 ミミガーは血の匂いのする戦場に背を向けた。

 

 ミミリーの死、きっとそれは無駄ではなかったのだと思う。

 

 

 勇者ミミガー・三体撃破

 軍曹ミミリンガ・一体撃破

 三等兵ミミヤン・戦死

 看護兵ミミリー・戦死


 ― 以下省略 ―

 

 ・・・残り13匹



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