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真・ミミズ転生   作者: りょん
1/10

~ミミズ神に惚れた俺は世界を救う~


 俺は37歳無職、絶賛ニート中の自称ナイスガイ。

 彼女居ない暦37年になる。魔法は習得している。足りないのはMPだ。

 人生に絶望してる。正直死にたい。

 飯を食ってクソして寝る。うんk製造機と呼ばれる所以だ。

 もしかしたらうんkが本体なのかもしれない。

 こんなはずじゃなかった……。何度も何度も言葉にする。

 絶望した俺は今決断した。ふう○くで卒業すると!


 親が俺に用意した金を握り締める。

 軍資金だ。これで二週間、飯が食えなくなる。

 構わない。

 「俺は漢になるッ」

 意気揚々と家を出る。風が心地いい。

 外に出たのは何年ぶりだろう……。

 解き放たれた気がした。俺は風になれる!

 道を駆ける。風俗店に向かって!!

 待ってろおっぱい。待ってろまだ見ぬ俺の嫁!


 横断歩道に差し掛かる。

 いかにナイスガイの俺でも車には勝てない。

 信号が青に変わるのを待つ。

 ふと目に留まる生物。

 咄嗟に口にしていた。 

 「おい!そこのミミズ危ないぞ!」

 身体が勝手に動く。歩道に居るミミズを助けるために。

 気がついたらミミズをその手に抱え、横断歩道を突っ切る。

 (よかった……ミミズは無事だ……)

 安堵した途端、世界がスローモーションに変わる。

 パァアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 走行中のトラックのクラクションが鳴り響く。

 俺はミミズを庇うように抱え込み、背中をトラックに向けた。

 ミミズだけは!

 ミミズだけは!

 俺の身体は吹き飛ぶ。

 意識が朦朧とする。

 よかった……ミミズは無事だ……。

 ミミズの温もりを手のひらに感じる。

 ふうぞくなんてもうどうでもいい。

 ミミズ、お前さえ無事ならば……。

 俺は……どうなっても……。

 ここで意識が途切れた。

 

 「起きなさい、ミミズの救世主よ」

 優しい声が聞こえる。

 普段は親からの罵声しか浴びせられない俺に。

 目をゆっくりと開けると、そこには純白のドレスを着た巨大なミミズが佇んでいた。

 美しい……。俺は思わず感嘆の声を上げる。

 俺はミミズに惚れてしまった。

 これが一目惚れというやつか……。

 彼女はこの世の美の化身だ。

 「貴方は我が眷属のミミズを助けました。」

 「助けられたミミリーちゃんもきっと喜んでいます。」

 「貴方に能力を授け、転生させて差し上げます。」

 ミミズ神と目が合う。優しげで、つぶらな瞳。

 何度でも言う。美しい……。

 彼女はニッコリと微笑み俺に言う。

 「あなたに名前を授けます。今日からあなたはミミガー。」


挿絵(By みてみん)


 「さあ、生きなさいミミズの救世主。あなたはきっと、いいミミズになれるわ。」

 身体が優しい光に包まれる。

 ああ、これが母親になってくれるかもしれないミミズの温かさか……。 

 

 俺はすでにミミズに変わっていた体で精一杯の礼を捧げた。

 


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