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 停車した列車の、プシューという音で、俺は目が覚めた。

 外を見るともう朝になっていて、朝靄(あさもや)が視界を覆っていた。

 俺は出勤しなければと思い、列車の外に出て、反対側のホームへ急いだ。


「何だよ、これ……」


 列車から降りた俺はがく然とした。

 駅のホームは上りの片側しかなく、線路は単線である。次の駅はUNKNOWN、前の駅には岩岡鉄朗の昨日と記されてある。

 俺の背後で声がした。


「あなたの願いを叶えました。もう帰らなくていいのです」


 俺は怪訝な顔をしていたとは思うが、車掌はそんなことは意に介さず、能面の様な顔のまま、俺に対して言葉を続けた。


「この世界ではあなたは不老の存在となります。そして自分の新たな場所を探し続け、気に入った場所で途中下車して頂きます。そしてあなたは、そこで永遠に生き続けるのです。私はその案内役をさせて頂きます、久遠と申します」


 あまりの突飛な話に、俺は呆然とした。いつの間にか靄は霧散しており、不自然な程、強く太陽が照りつけていた。帽子に黒服姿の車掌はあっという間に汗だくになり、アゴからぽたぽたと汗をしたたらせているが、微動だにしない。じりじりと照りつける太陽は陽炎を生み、周りの景色を揺らめかせた。そして揺らめく景色の中で、車掌だけがくっきりと浮かび上がっている。俺はというと、急な温度変化と陽炎のせいか、頭の中まで揺らめいている様な錯覚に陥り、何も考えられなくなっていた。

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