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銃と光剣、そして小林

 俺は、小林と完全に打ち解けた。なので小林に聞いてみた。


「何で銃と光剣を奪い返すのに必死だったんだ?」


 小林は淀みなく色々と教えてくれた。


「自分の時間に帰った時に、大切なものを失うことになるからな」


 俺は自分の銃と光剣を見つめた。嫁と娘のレリーフが目に入った。小林は言葉を続ける。


「いらないものだと思ってたんだ。けどな、なくしてから気付くってやつさ。ま、俺達の時間は止まってる。俺はここに来て50年だ。そのうち、銃と剣を盗まれて20年。それだけの時間さまよってれば、考えも変わるさ。俺はな、何も変わらない、俺の昨日に帰るぜ。50年前にな」

「やっぱり帰れるのか?」

「あぁ」

「久遠は何も教えてくれないよな」

「当たり前だろ。あいつはこの世界の管理人で、切符がないからな」

「帰るにはどうすればいいんだ?」

「切符が切れ端でもあれば、久遠に言って切符を切らせればいいのさ。そして、次の駅に降りれば、昨日へご帰還だ。こないだのガキみたいにな。必要なら、銃と剣も持って帰ればいい。それで連れて来た魂も元通り、何もかも元通りだ」

「小林の銃と剣も、大切な誰かなのか」

「あぁ。親父と兄貴だ」

「何があったのかは知らないけど、心の中で消化したのか?」

「あぁ。も う50年会ってないしな。少し恋しくなっちまった」

「そうか。ここは何なんだ?」

「俺にもわからん。本当なら、まだまだ研究したいんだがな。前は佐山って奴がいてな。そいつが言うには、自分を見つめ直す為の世界らしい」

「何でその佐山は、そんなこと知ってるんだ」

「ここの回数券を持ってるらしい。2年ぐらい前にも来たぜ。オッサンになっててな、メチャメチャ太ってて笑えたぜ。おい久遠!」


 小林は通りがかった久遠と何やら話し、切符を切らせた。俺は自分が来た時間と場所をメモし、小林に手渡した。その時、俺を睨む久遠と目が合ったが、俺は何も教えてくれない久遠にいい感情を抱いておらず、すぐに視線を外して、小林に笑いかけた。


「俺も少ししたら帰るからさ、俺の昨日に会いに来いよ」

「岩岡お前、なかなか面白い奴だな。まぁ、帰る気になったんなら、それが1番いいと思うぜ。じゃあ、俺が生きてたら、お前の昨日に会いに行くさ。早く帰れよ?」

「あぁ、世話になった。楽しかったよ」

「あー、喋ったら小腹が減ったな」


 小林は食堂車に消えた。その後、いつの間にか俺は寝ていた。そして俺が寝ている間に、小林は、自分の昨日へ帰ったらしかった。

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