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第2の駅

 次の駅についた。


 俺は第1の駅の不可解さ、山本の話を聞いた後味の悪さが相まって、降りる気が失せていた。山本はあの後、押し黙ったままで、俺は小林が朝食をとりに来るまで、立ち尽くしていただけだった。だから小林には、助けられた形となったが、俺は何か小林を好きになれないままでいた。そんな小林が、俺のところに来て、こう言った。


「なぁ、この駅に一緒に降りてみないか」


 小林は表情を歪めながら、サラダの中に入っているレタスを、フォークで幾度も突き刺した。俺はあまりいい顔をしていなかったのだろう。小林は、そんな顔するなよ、行こうぜ、と言って、へらへらと笑いながら列車を降りた。気が乗らないながらも、俺は小林の後に続いて降りた。


 駅に降りると、そこには金髪の少女が体育座りで座り込んでいた。着ている服は、多分真っ赤なエプロンドレス。少しメルヘンチックな格好ではあるが、少女にはとても似合っているのではないか、と思った。ハッキリと断言出来ないのは、少女が座り込んでいて、服のディテールがよくわからないからだ。ベンチはあるというのに、駅のプラットホームに直に座り込むというのは、奇妙な光景だし、わざわざ綺麗な格好を汚すのはどうなんだ、と少しばかり気になった。


 少女は赤い瞳を俺たちに向けた。だが、その目には光がなく、暗い夕焼けの様な色をしていて、今にも泣き出しそうに見えた。

俺は泣いた嫁、泣いた娘を思い浮かべてしまい、何だか胸が締め付けられる思いで、少女に話しかけていた。


「こんにちは」

「何じゃオッサンこらぁ、シバくぞ」


 可愛らしい容姿と裏腹な、予想外の口の悪さに一瞬驚いたが、不思議と気分は害さず、むしろ強がる雰囲気のこの子とより話したくなった俺は、少女の横に、同じ様に体育座りで座った。小林は近くのベンチに腰掛けて、苦笑いしながら俺の目を見てきた。


 何やってんだ?と目で語りかけてくる小林を無視した俺は、少女に話しかける。


「俺は岩岡鉄朗。あいつは小林。俺達は列車に乗って旅をしてる。君も同じクチだろ?名前は?」

「うるせぇな、どっか行けボケ」

「まぁまぁ、俺は名前を言ったぞ。最低限の自己紹介ぐらいは、返してくれてもいいんじゃないか?」


 我ながらすこし面倒くさい大人だなと思いながら、俺は少女にも自己紹介を促す。少女は顔を伏せた。拒絶されたかと思ったが、少しの沈黙の後、少女は顔を上げて、横にいる俺をちらりと見た。


「……名乗る程のもんじゃねぇわ。俺は逃げてきたんだわ。そんでずっと考えてるんだわ」


 名前は言わないし、一人称が俺。色々その、何だ……ちょっとイタいかんじもしないではないし、これは、あまりかかわり合いにならない方がいいかもしれない。しかし、開けっ広げな気性をかんじ取った俺は、この娘から話は聞けそうだと思った。


「何を考えてるんだ?」

「俺は後悔してるんだわ。俺を好きだって言って来た奴を軽く突っぱねて傷つけたんだわ。オッサンならどうした?」

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