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助けたあの子は拳闘士ダークエルフでした

皆さんこんにちは!メタボディでも武術は出来る男、丸井媛です。

いやぁ、異世界って凄いですねー。鎧着た人物助けたら、鎧越しにキスを迫られて 「これ何て罰ゲーム?」 って思いながらキスしたよ。そうしたら中から綺麗なおねーさんが出てきたじゃないですか!!??異世界凄い!

ボン!キュっ!ボン!と素晴らしきスタイル!お召し物は胸と股間の布のみですよありがとうございます!白ふんどしとサラシが浅黒い肌に良く映える!

よくよく見たら耳が長いぞあのお姉さん。え?もしやエルフ?いや、肌の色からしてあれはダークエルフか!

そして極めつけにすごいと思ったのは、


「ドラゴンに丸腰で……!?無謀じゃないか!?」


その時、視界の中にウィンドウが現れた。コマンドを見ると『あいてのすてーたすをみる』がある。

どれどれ、ドラゴンのレベルは?え、50!?思ったより低いな。あ、お嬢さんのも見える。こっちは……え?ちょっと待て、ちょっと待て見直す!え?え?どゆこと?この人、レベルが60ですとぉぉぉぉぉぉ!!??

しかもなんと、称号付いてますよ?『拳闘士』ぃ!やだ……カッコいい……!

いやいや、普通エルフって魔法属性だよね?ダークエルフって攻撃魔法特化だよね?なのに拳闘士という事は拳にステータス全振りしてんのか?俺のファンタジー知識がおかしいのかしら?


「かかって来い、お前の相手は私だ!!」


勇ましく吠えると、胴体を薙ぎに来た巨大な爪を飛んで躱す。そしてその前足に着地するとそこからドラゴンの体を駆け上っていく。

僅かに顔をしかめると竜がググっと顔を反らす。あ、あれもしかしてブレス吐こうとしてないか!


「せいっ!!」


掛け声と共に、その喉元に拳がめり込む。ドラゴンは吐き出そうとした炎のブレスを天へと勢いよく噴き出し、赤い炎が渦を巻いて空へと消えていく。うわ、すげー!

現実世界のVRゲームでも味わえなかった迫力のトンデモファンタジーな光景にいちいち動揺している俺と違い流石は現地人。勇ましいお嬢さんは間髪入れずにドラゴンの鼻先に飛び乗るとそこからドラゴンの目間に強烈な踵落としを喰らわせた。


「あれは人間でも痛いぞ……」


杖術でも急所である鳩尾の他に目間を狙う技がある。基本の構えの時点で既に杖の先は相手の目の高さを狙っているもんな。


グオオォォォォォっ!!


耳をつんざくような咆哮とともにドラゴンの体がぐらりと動いた。ふらついたようだが、何とか踏みとどまって体勢を立て直す。そして未だ空中にいるダークエルフに頭突きをぶちかました!


「しまっ……!」


受け身も取れず、彼女はそのまま地面へと叩きつけられた。


「やばいっ!」


叫ぶや否や俺は槍を手に駆け出していた。ドラゴンと真っ向からやり合う気は毛頭無い、再び彼女を連れて逃げる為だ。

走っている間にも竜の顎は彼女へと迫っている。間に合え、間に合ってくれ!


「あ……」


だが、無情にもダークエルフはドラゴンの巨大な口に飲み込まれてしまった。


「あ……あぁぁぁ……」


ドラゴンの喉元が塊を嚥下するのを見て、俺は膝から崩れ落ちた。嘘だ……俺がもっと速く走れていたら、俺が彼女を一人で戦わせなければ、いや、俺がもっと強ければ……。

ぐるぐると思考が回る。どうすればよかったかなんて答えは出ないにもかかわらず、もはや意味のない『たられば』ばかり浮かんでしまう。


俺は、どうすれば良かったのか。


呟いても返事などない。


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