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今日も誰かが"好き"と言う。
最近はすっかり慣れてきて、嘔吐することは減っていた。
バカだなぁ、なんて思う。
その言葉はボクには届かないのに。
その気持ちは肯定されやしないのに。
「あはは、ありがとう。」
優しく囁くように笑う。
かつて、誰にでも愛をさえずっていた時と同じように。
でもね、残念でした。
ボクは君を愛したりしない。
「ボクは、嫌い。」
照れてはにかんでいた相手は、絶望と驚嘆、それが混じった表情に早変わり。
「リディアちゃんに会いに行かなきゃ...。バイバイ、もう会うことはないと思うけど。」
今日も天使は愛をさえずる。
大好きな、赤い彼女に。