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『天使さん』
この前傷つけた子とは違う女の子。
一途で思い込みが激しい子。
ほんのり頬を染めている。
可愛らしい唇が開いて、次の言葉を紡ごうとしている。
やめて聞きたくない。
汚い気持ちを伝えないで。
「うぇっ……、ぃ゛ッ……やぁ゛」
あぁ、吐き気がする。
ボクが好きなのは彼女だけ。
ボクに好きと言っていいのは彼女だけ。
小さく漏らした嗚咽は女の子には聞こえなかったみたい。
『天使さん』
やめて。
『天使さん、愛してる』
ぎゅっと胃が鷲掴みにされた気がした。
嗚咽と一緒に涙と胃酸がこみ上げてくる。
「や゛ッ……、お゛ぇっ……きらいッ……」
汚いものは吐いてしまおう。
"嫌い"なんて汚い気持ち。
全部、吐き出さないと彼女に嫌われちゃう。
「だいっきらい……」
前の子よりも傷ついた顔の女の子。
それでも関係ない。
ボクが好きなのは彼女だけ。
「リディアちゃん……すき……」