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臆病な姫君
ニシキヘビは少女のすぐそばまで来ていた。後ろにのけぞりになる少女。思わず少女は目をつむった。すると、
「えいっ!」
と男の子の声が。
「あ~、ちくしょう!あっちいけって!」
テオはそういうと、右手に持っ木の棒を、蛇の近くの地面を叩きつけた。少女は覆った指の隙間からその様子を眺めていた。
「ふう。ったく、よくこんなところに出てきたなぁ。」
ヘビが去ったことを確認すると、
「大丈夫?」
そう言って少年は少女に手を差し出した。ゆっくりと目を開けた少女は、差し出された手をとった。
「あ、ありがとう!」
ペコッと頭を下げながら少女は礼を述べた。
「俺はテオ。君は?」
テオはそういうと、少女の手を握ったまま訊ねた。花は静かに揺れていた。優しい風は二人を包み込むように吹いていた。木々も葉を揺らして、鮮やかに音を奏でていた。
「私はエレーナ。」
「よろしくね、エレーナ。」




