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文化祭のあとで
二学期の一大行事である文化祭も、無事に終わった。
リア充な人の分も、シフトをこなし、
ほとんどの時間、たこ焼きを焼いていただけ…だけど。
「本当ありがと、間宮さん」
「本当、おかげで彼と文化祭まわれたわー」
クラスでカップルの二人にお礼を言われる。
「ううん…楽しかったし」
――――ひたすらたこ焼き焼いて、何が“楽しかった”?
自分の発言に、苛立ちながら黙々と後片付けに取り掛かる。
私が後夜祭に出たとき、澤野くんの姿を見つけた。
――――澤野くん…、珍しいな、サボらなかったんだ…。
遠くからいつものように見つめる。
すると、バスケ部のマネージャーで同じ一年の粟野さんが、
澤野くんの腕に抱き付いた。
殴られたような、鈍い痛みがじんじんと胸の中に広がる。
―――――どうして…?なんで?
澤野くんは、相田先輩が好きなはずなのに…。
後夜祭が終わると、
澤野くんに新しく彼女が出来たという噂が流れた…。
粟野さんという、“彼女”が……。