衝撃
「ちょっと聞いた?二年の相田さん…咲くんと付き合い出したらしいよ?」
「はぁ?なんで?」
「ついこないだ、ただの幼馴染みとか言ってたじゃん」
クラスが朝から騒がしい。
リーダーグループの女子たちが、そんな話で騒いでいる。
「あの女、絶対咲くんのことたぶらかしてるわ…」
「可愛いからって、調子乗りすぎだよね…」
―――それは、妬み?
私もそれなりにショックだったけど…、
でも、お似合いだな、と思う。
相田さんみたいな可愛い人なら、澤野くんとも釣り合いとれるし…。
私なんて、
まだクラスメイトとして認識すらされていないし。
笑っちゃうわ………。
こんな思いするのが嫌だから、
澤野くんなんて好きになるべきじゃないって思ったのに…。
そう思えば思うほど、想いが募っていった。
――――馬鹿みたい。恋なんて…。
「間宮さん、ちょっとこれ運んでくれる?」
クラスの女子に、職員室にノートを運ぶのを頼まれる。
―――頼まれた、と言えばまだ聞こえはいいけど、
実際は、雑用を押し付けられた…ということ。
「うん、分かった」
――――断れない自分も、悪いんだけど。
なんでこんなとき、笑顔を作ってしまうんだろう。
ノートを持って、職員室に向かう。
―――やば、両手塞がっててドア開けれない…。
「あっ」
そう思っていたとき、
ちょうどドアが開いて、私は出てきた人に思いきり当たる。
「痛ったぁ…」
「すみません、大丈夫ですか?」
尻餅をついて、ノートをばらまいたまま、私は動けなくなった。
―――だって…目の前にいたのは…本物の澤野くんだったから。