表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/29

澤野くんの想い

「ありがとう、これで全部だわ」

相田先輩がホッとしたように微笑む。


―――うわ…可愛い…。

微笑んだだけで、相田先輩の後ろに花が見えましたよ…。



女の私でも見惚れてしまうのだから、

男が放っておくわけないよね…。


それに……、

魔性だとか小悪魔とか淫乱とかさんざん陰口言われてたけど、

私には、やっぱり透明感のある純真無垢な人にしか見えない…。



「あ、おはようサクちゃん」

相田先輩が気まずそうに挨拶して、

私は初めて後ろに澤野くんがいたことに気付いた。


「なんで茗子が二年の廊下歩いてんだよ」

澤野くんが相田先輩にぶっきらぼうに言う。


「ほら、私はもうマネージャー引退だから、凜ちゃんに…」

「へぇ?」

たいして興味がないとでもいうように、澤野くんが言いながら、立ち去ろうとする。



「―――ねぇサクちゃん…凜ちゃんとは…」

相田先輩が引き留めるように話し掛ける。


「茗子には関係ないでしょ?――――大丈夫だよ、航先輩から茗子を奪おうとか、全く考えてないし」

澤野くんが振り返らずにそう言うと、足早に行ってしまう。

「サクちゃん…」

相田先輩が澤野くんの背中を見つめながら呟く。



ーーーまるで、ドラマのワンシーンを間近で見てる感覚で、

私は暫く立ち尽くしていた。



「おい間宮、遅刻すんぞ?」

教室の前に着いた澤野くんが、遠く離れた私を呼んでくれる。



「あ、は、はい」

なぜ澤野くんが私に声をかけてくれたのか…、

全然分からなかったけど、それだけでスキップしたくなるぐらい、私は上機嫌で廊下を走る。



――――相田先輩(あのひと)のことは、もう吹っ切れたのですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ