スポーツ大会でのキズ
「嘘みたい、次決勝だよ?」
恭子が三年生との準決勝に勝ち、興奮して言う。
澤野くんのサーブだけでほとんどが得点になり、
澤野くんのアタックは、絶対にとれない。
――――本当に、なんでもできる人で…、カッコイイ…。
私のレシーブが失敗して後ろにボールが飛んでしまっても、
走ってフォローしてくれるし…。
――――好き…。
私なんかが、抱いてはいけない気持ち。
「間宮、大丈夫か?」
恭子と話していたところに澤野くんがやって来た。
「え…」
澤野くんが、話し掛けてくれた?
「さっき、膝擦りむいてただろ?」
言われて膝小僧を見ると、赤くなっている。
―――――あ……。
「あ、本当だ…」
恭子が心配そうに見て言う。
「保健室、ついていこうか?」
「ううん、全然平気だから」
二人に微笑んでみせる。
「強いな…」
澤野くんが私に寂しそうに…微笑んで言う。
―――その言葉は…私に向けられたものじゃない…。
澤野くん…、私にはすぐ分かっちゃうんだよ…?
――――隣のコートでバスケの試合をしている相田先輩を見つめてたことも。
相田先輩と、仲西先輩が仲良く話しているところを、
悔しそうに見つめてたことも…。
――――『間宮は強いな』
――――『俺は、強くない…。だからイタイしツライ。』
そんな風に聞こえて…。
「澤野くん…元気だして?」
つい、またそんな事を呟いていた―――――。