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スポーツ大会

「では、スポーツ大会はこのメンバーになります」

クラス委員の佐々木さんが、仕切る。


私は、バレーボールになった。

――――もちろん、未経験者。



メンバーは、

バスケ部の武田(たけだ) (まもる)くん、鈴木(すずき) 将太(しょうた)くん、佐藤(さとう) (たくみ)くん、サッカー部の山口(やまぐち) 朝陽(あさひ)くんと私とバスケ部の牧田 恭子さん。


私以外、皆スポーツ部の人だ。


「宜しくー」

牧田さんが皆を集めて言う。

「俺はバスケが良かったのに…」

山口くんがブツブツ文句を言う。


「山口くん、バスケ得意なの?」

牧田さんが聞くと、

「いや、得意じゃないけどさ…」

山口くんが口ごもる。


「あ、分かった!お前、相田先輩目当てだろ」

鈴木くんが言うと、山口くんが赤くなる。

「先輩いつもスポーツ大会はバスケだからなぁ」

佐藤くんが言うと、

「お前らストーカーかよ」

山口くんがツッコむ。


「俺らは、ファンなの!お前こそ、ストーカーかよ」

武田くんが言い返す。


――――皆、相田先輩が好きなんだ…。


私が会話に入らずに、黙って聞いていると、


「山口、俺替わろうか?」

そんな声がして、バレーボールメンバー全員で顔を向ける。



―――澤野くん…、なんで…?


「お、マジで?」

山口くんが嬉しそうに澤野くんの肩に手をかける。

「サンキュー」



「えぇ~、せっかく澤野くんと同じにしたのにぃ」

佐々木さんと粟野さんが不機嫌になる。


「ねぇ、間宮さん!私と替わってよ」

粟野さんが言う。


「いや、私と替わって?」

佐々木さんが粟野さんの前に立つ。


「えっと…」

――――いつもなら、断れない私は絶対どちらかに譲ってた。


でも…。



二人を見ながら、私は決意して口を開いた。

「ごめんなさい、譲れません…」


「「はぁ?」」

逆らうと思っていなかった二人は、目を丸くして固まる。



「―――だって!私も、間宮さんとバレーやりたいから、ここは遠慮してくれる?」

牧田さんが私を援護するように言う。



クラスの空気もあってか、

二人はそれ以上しつこく言うことなく、苛立ちながら席に戻った。



「ありがとう…牧田さん。」

「恭子でいいよ、私も、葵って呼ぶし」

恭子が優しく微笑んで、私は救われた気持ちになった。



そして、澤野くんと同じチームになるという、

初めての“接点”が、突然訪れた。






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