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まだプロローグの段階ですw

 ◆


(次も上等な酒を待ってるぞ)


 爺さんは姿を消す。



 この地の下には神竜が眠る。

 幾多の時代を生き抜いてきた正真正銘の化け物が。


 己が定めた聖域を侵害されない限り、不干渉を一貫する竜が。




 太古の森を抜ければ、


 そこから先は無秩序が並ぶ。



 太古の森とは違い、樹齢数億を越す老樹はない。


 若々しい木々が無造作に立ち並び、日の光を遮る。


 ジメジメとした湿地が続く。




 道なき道を突き進む。


 あの老竜との長話のせいで無駄に時間をとられてしまった。



 まあ、興味深い話ではあったけどな。


 魔法と機械は相反した存在だった。

 一つは世界の法則に従い、その理論を技術体系を確立し。

 一つは世界の法則を捻じ曲げ、幻を現実と化した。



 機械の国の最終兵器。

 現代の王国ならば、非人道的だとして表立っては決してやらないだろうが………機械と人間の融合か。その技術が本当に確立していたならば、不老不死の法もそこにあるだろうな。

 簡単な話。

 人間の体もとい機械にしろ、必ず時間の経過と共に劣化していく。

 人間ならば秘薬を用いて、細胞を一時若返らせ、老いを抑えようとするが。

 機械ならばどうだ。

 単純に考えれば劣化してきた部品を新品に取り換えればいい話なのではないだろうか。


 素人目線の話なのだから、必ず何かしらの不都合があるとは思うが。






 あの老竜は、俺という人間を一つ勘違いしている部分がある。

 俺の能力は並の人間と変わらず。

 才能もない。

 魔力も平均値。

 身体能力も平均値。


 それはギルドなど各機関に置かれている計測器による判定を見れば明らかだ。

 逆に言えば、よくもまあ、この並の平均値でギルドランクCまで到達したというべきだろう。


 改めて、ギルドランクの説明をするとこうだ。


 SランクからFランクまでがある。


 Sランクは単独で竜種を討伐できる者たちだ。その実力は=国家戦力と見なされ各主要国家から勧誘を受け、手厚く保護される。

 現在では7名がSランクの認定を受け、各国家が一人、Sランカーを保有している状況が続いている。


 A・Bランクについても同じく国家戦力として見なされ、その生活地盤は盤石なものとなる。

 実力的に言えば、複数で竜種を討伐できるものたちだ。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ここからが境界線になる。


 Cランクのものは、プロの冒険者として見なされる。

 生存を第一に考え、攻略不可能な依頼ならば、ギルドへその情報を売り渡し、生計を立てるギルドの手足となる者たちだろう。


 D~Fランクは初級、中級、上級と別れる。


 なお、ギルドランクCまでならば、ギルドのこれまでの依頼達成率、貢献度、これまで討伐してきた魔物達により年に3回昇進制度があり、ギルド長と各課長達が評議し、それが決定する。


 *B~Sランクに関しては、国家枠となり、ギルド推薦により、国家試験に挑み、合格した者のみBランクに昇進し、それから国家の貢献度に応じてランクが上がっていくシステムとなっている。





 俺は弱い。


 Aランカーの魔法を受ければ、骨も残らず消え去るであろう。

 その圧倒的攻撃力を受ければ、全身の骨が砕けるであろう。


 魔法の教養も。

 戦闘の教養も。

 知識も全てが独学によるものだ。




 ただ一つ――――――――――――――俺が持ちえた才能は【不屈の精神】なんだろう。


 その結果、【神さえも殺せる力】を手に入れたのだろう。






 ◇



 目的地手前でキャンプをとる。

 リュックから結界石を4つ四方に置き、ハンモックを縛り付ければ終了。

 ハンモックには独自に作り出した虫除けの香料を使い、快適に寝ることができる。

 リュックから燻製に処理した肉とビールを飲みながら、横になる。


 本来ならば不眠で周囲を警戒しなければならないが、長年この稼業についてると、いやでも眠りにつき、直感が目覚まし時計の代わりとなる。




 反射だった。

 横に転がり、空中からの襲撃を避ける。


 高度な結界を見破る魔物か。



 獰猛な牙に、鋼の鱗………間違いなくワイバーンだろ。

 ドラゴンには劣るものの、地竜より遥かに強いそいつの討伐推奨ランクはA+。

 面倒な奴に嗅ぎ付けられたものだ。


 雄たけびをあげる。


 その鳴き声に釣られ、近隣のワイバーンが集まってくる。



 美味しい獲物が近くにいると。

 そう仲間に教えたのだろう。


 基本、人間は複数の群れをなして行動する。


 俺以外にも人間が隠れていると概ね思っているのだろう。



 鞘から銘の無い刀を抜く。

 その刃は獰猛に、血に飢えてるかのように怪しく放つ。


 3歩。


 3つ歩き、ゆったりと刀を上段から振り下ろす。


 シュッと。


 ワイバーンの首が落ちる。


 それで終わった。


 ワイバーンはまだ自分が死んだことに気づかず、俺の方に目を向け、大きな口を開けようとするが。


 止まっていた時間が戻ったかのように、大量の血が噴き出る。


 刀を鞘に戻し、上着の内から携帯していた回転式拳銃リボルバーを抜き、上空からこちらへ接近する雑魚ワイバーンに狙いをつけ、撃鉄を放つ。


 轟音が鳴り響く。


 凶弾は意図も容易くワイバーンの心臓を食い破り、遥か上空にまで貫通する。


 突然の轟音と仲間が突然死んだことにより、ワイバーンは一斉に反転し、戦域から離脱する。



 回転式拳銃をホルスターに戻し、今先ほど殺したワイバーンをリュックごと突っ込む。

 リュックには空間魔法や時間停止魔法、強化魔法とうあらゆる魔法が半永久的に施されている。

 これだけの機能を備えるリュックなど他にないだろう。普通のリュックならば、その強力過ぎる魔法の重ね掛けに要領がオーバー。もし、仮にこのリュックが競売にかけられることがあるならば、人生7回は遊べられるだけの大金を得られるはずだ。



 さて、2度寝でもするか。



お読み下さってありがとうございます。

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