表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

第4話 ご主人様の役目

「ちょっとウチのカラダ触ってみ! どこでもいいから、ね!」


 ギャル天使の小悪魔攻撃炸裂!


 えっ、いいんスか? まぁ、俺の花嫁だし……、じゃ、遠慮なく。


 ソォーと左手をギャル天使様の胸元に伸ばす。いや……、しそいうになったが、姉妹の皆様がいらっしゃるので、一番近くにある彼女の太腿に人差し指を近づけた。

 なんか変態行為みたいになっちゃってる。俺の花嫁なのに。


 あれっ? 触れない。


 そのまま左手の人差し指をグッと押し付けようとしたが、ギャル天使様の太腿の肉に指が埋まっていく。埋まるとういうか、そこに何も実在しないのだ。まるで3Dホログラムに触ろうとして、何も感触が無いという、あのパターンだ。


「なに、これ?」


 恥ずかしながら、結構なアホ面だったに違いない。


「ごめんねぇ~、そゆこと」


「どゆこと?」


 すると、ずっと黙っていたモジモジ天使様が初めて口を開いた。


「んっ、触れない……」


 かわゆぃぃぃぃぃ~! なんてかわいい生き物なんだ。こんな生物、地球上に存在するんスか!? ってか、俺の花嫁じゃん!

 おっと、話が前に進まんぜ。


「ど、どゆことなのかなぁ~」


「アタシらの体は、ほら、アレよ! 実態がないってこと!」


「アストラル体ってやつですかね?」


「そぉ、ソレよ! ジュン、頭いいじゃない!」


 女王様は常に正しい。


 ってか、何じゃそりゃぁぁぁぁ~! じゃ、エッチなことなんもできんじゃん! 俺の花嫁なんスけどぉ!?


「ウチらの方からは触れんのよねぇ~。でもぉ、ジュンちゃんからは触れないってルールなのよぉ、ゴメンねぇ~」


 ギャル子さんがパチッと小悪魔ウインクをした。


 もう一度言う。何じゃそりゃぁぁぁぁぁ~!


「でも大丈夫! あっちの世界に行ったら、キミもちゃんと戦えるから」


 クール系ボーイッシュ天使様がフォローしてくれた。

 ん? あっちの世界? ってか、それ、フォローなんスか?


「あっちの世界とは?」


「その話も準様にしないといけませんわね」


 CA天使がニコッと微笑む。


「どの話っスかね?」


「ご主人様の役目ですわ」


 CAスマイル継続。


「役目……」


「ジュン、あなた、アタシらの花婿なんだから、花嫁の言う事はきかないと駄目ってことよ! 頭、鈍いわね!」


 女王様は常に正しい。


「まぁ、異世界に来たら、普通は冒険者として戦うってのが筋っスけどねぇ~。じゃ、その“あっちの世界”とやらに、今から行く、みたいなことッスか? 俺の花嫁さんたち?」


「ピンポ~ン! 正解ぃ! ジュンちゃんエラい!」


 さっきからギャル子さんが俺の二の腕にしがみついていたのだが、ビックな柔らかい物体の感触が再び舞い戻った。

 なるほど、男を言いくるめる時だけ、肉体接触が発動するわけだ。


「正確には必要な時だけですわ。それに戦う時は、相手に触れないと倒せませんので」


 お姉様天使が丁寧に説明してくれた。もしかして、考えてること全部伝わってる?


「はい。準様のおっしゃる通りですわ。天使ですから」


 なんだか、少し不機嫌になってきた。

 俺の異世界転生ドリームが叶ったはずなのに、なぜかしっくりこない。こんなはずじゃなかったと、魂が叫んでいる。


 ギャル天使が俺の腕から離れたので、胡坐あぐらをかいたまま後ろを向いて黙り込んだ。


「あ~あ、不貞腐ふてくされちゃった……」


 ギャル天使がつぶやいた。



 ◆   ◆   ◆



 しばらく俺はベッドの上で沈黙していた。黙っていても頭の中読まれちゃうので、ほとんど意味は無いが。


 誰も話し掛けてこない。それどころか、気配すら感じない。

 少し放置プレイが長いと感じて、ソロォ~っと後ろを振り返る。


 五つ子の小悪魔たち、もとい、天使様たちが円陣を作ってなにやら相談事をしている。

 腕組みをしている女王様天使の不機嫌な態度、モジモジ娘の困ったような表情、クールに髪をかき上げるボーイッシュ天使。

 そして、姉御肌と思われる長女のイチノがギャル子を指差した。


 まぁ、いっか! 的なノリがうかがえる。彼女のコスチュームがピッチピチのレオタードなので、遠目からでも身振り手振りがわかりやすい。ってか、反則気味に色っぽいぞ!


 お尻を向けていた、もとい、背中を向けていたギャル子がこちらを見ると、ヤッホーと手を上げ、ゆっくりと近付いて来る。


「ジュンちゃ~ん、今の見てた? じゃ、もうわかるよねぇー。シーちゃん担当になりました! テヘッ」


 なんか、嫌な予感しかしないが……。


 ギャル子がベッドの上で胡坐あぐらをかいている俺の隣にピタっとくっついて女の子座りした。

 あっ、肌の感触! て、照れるぜ!


「ジュンちゃんのお役目なんだけどさぁー、暗黒大魔凶王“ダイサイヤク”をやっつけちゃってほしいわけ。サクッと! もう、メッチャ余裕だし?」


 なぜ、最後が疑問形?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ