表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/19

【第6話】再会と決意

──あの夜、すべてが変わった。


Project Mnemosyne脱出作戦は、結果的に「事故」として処理された。


研究施設は爆発、数名の研究員が死亡、逃走した個体Mn-13の行方は不明。

クロエ・ナガセは「殉職」と記録され、その詳細は公にされることはなかった。


生き残った者はふたり。


──リタと、レオ。



クロエの遺志を受けて脱出に協力したレオは、リタを連れ出し、国家の監視網をかいくぐって逃げた。


だがその過程で、リタは頭部に銃撃を受け、意識を失った。


「……助けてくれ。こいつの記憶を……クロエのことだけ、消してくれ」


レオは、地下のブローカーを頼り、闇の記憶医療技術者に接触した。


「記憶の削除に副作用はあるが……今なら可能だ。だが一度消したら、二度と戻らんぞ?」


「いい。頼む。あいつには……これ以上、背負わせたくないんだ」


そして、リタは目覚めた。


クロエのことを知らず、Mnemosyne計画のことも忘れた少女として。


だが、どこか空虚なまま。

名前だけは口にできた。レオが教えたのか、それとも――残っていたのか。



「……気がついたら、あなたがいて。私には銃があって、ただ戦っていた」


現在。


リタは静かに、レオに向き合っていた。


「クロエを忘れていたのは、あなただけのせいじゃない。私自身が、記憶を“捨てたい”ってどこかで思ったのかもしれない。

 でも、今はもう違う」


レオは黙って聞いていた。


「私は、あの人から名前をもらった。“人間”として、世界に立つための名前を。

 だから、過去を取り戻したい。自分を取り戻したい」


レオはうなずいた。


「……ああ。だったら、俺はもう止めない。

 クロエの願いも、お前の願いも、背負って生きていく」



ふたりは、新たなブローカーに接触する。

古い軍事データの中に、「ミューネモシュネ」の名を見つける。


そこには、国家機密級の記録が多数存在していた。


そして、ひとつの名前が浮かび上がる。


──アイン。


「こいつが……プロジェクトの責任者……?」


「会わないといけない。全部、知るために」


銃を背負い、リタは立ち上がる。


「今度は、自分の意志で戦う。

 私の“記憶”を、誰にも奪わせないために」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ