表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十三章 プレゼントを買いに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/200

第98話 待ち合わせの昼食時に

「アメリア……」 


 駅前の下町の風情のある洋食屋。スパゲッティーナポリタンを食べ終えたカウラは、好物のメロンソーダをすすりながらあきらめたように目の前に置かれたアメリアの荷物に向けてつぶやいていた。


「だから言ったんだよ、アタシは」 


 ようやくステーキを食べ終えたかなめが皿を下げる店員をやり過ごしながらつぶやいた。フィギュアの入っている袋からカウラはその中身が何かを想像できていた


「だって!やはり自分がもらってうれしいものが……」 


「相手がもらってもうれしいとは限らないのよ。ねえ、ベルガーさん」 


 カウラの隣に座ってオムライスの乗っていた皿が運ばれていくのを見ながら薫がつぶやいた。さすがに薫の言葉にはアメリアも愛想笑いで自分の失態を認めて見せなければならなかった。


「それにしても今度はなんだ?夏はスクール水着だったが……」 


 次にカウラの視線は目の前の見たことの無いブティックの袋に向かっていた。誠もかなめもそれについては何も言う気は無かった。


「セーラー服か?巫女装束か?」 


 ストローから口を離してカウラはそうつぶやいた。


「惜しい!」 


「全然惜しくないわ!」 


 アメリアの隣に座っていたかなめが思わず突っ込んだ。後頭部を叩かれてアメリアは思わず店員が運んできたコーヒーに顔から突っ込みそうになった。


「危ないじゃないの!」 


「危ないのはテメエの頭だ!メイド服なんていったいどこで着るんだ?かえでの屋敷か?あそこには確かにメイドが居るが、テメエみたいなおばさんのメイドは居ねえぞ」


「かなめちゃん、一遍死んでみる?30歳をおばちゃん扱いするのはいい加減にして頂戴ね」 


 かなめの剣幕とアメリアへの侮蔑の言葉。そしてアメリアの静かな怒り。二人のやり取りにカウラは呆れてものも言えない状態だった。気まずそうにコーヒーを並べながら店員はすごすごと引き上げていった。さすがにとめるべきかと迷う誠を薫が制した。


「意外と誠はそう言うの好きなのよ。小学校の時からそう言う絵を描いていたじゃないの」 


 それは事実なだけに誠は何もいえない。そんな彼をかなめがタレ目ながらも明らかに恫喝している視線を送って来た。おずおずとカウラを見た誠だが、興味深そうな純粋な視線を誠に向けてくるカウラの姿がそこにはあった。


「そう……なのか?」 


「食いついたよこいつ!良いのか?それで良いのか?」 


 かなめを無視してカウラは視線をアメリアの買い物袋に移した。それを見て得意げに胸を張りながらアメリアはコーヒーをすすった。


「私も考えたのよ。今度のフェスは一般客として行く予定だけど、一人ぐらいコスプレする人がいても良いんじゃないかと思って」 


 いかにもアメリアは得意げだった。カウラは袋と誠を見比べながらしばらくじっとしていた。手にしていたメロンソーダのストローがゆっくりと指先から離れていく様を誠はじっと見つめていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ