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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十三章 プレゼントを買いに

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第95話 当たり前でないショッピング

「おい、アメリア」 


「なに?かなめちゃん」 


 さすがに今の状態で誠はアメリアを弁護することはできなかった。彼女はすでに両手に袋を下げていた。そして中身はどうやら自分でなくカウラにプレゼントする目的で買ったらしいということも分かっていた。


 右の袋の中には服が入っていた。アメリアはそれを選ぶときもカウラのサイズを事前に調べておいたらしく、徹底的に注文をつけた。生地にもこだわり、デザインも店員を泣かせるようなこだわりを見せた。ただし、そのこだわりをカウラが歓迎するのはその中身がメイド服でなかったらと言うことになるだろう。


『自分でもらったらうれしいものをプレゼントする。これが大事なのよ』 


 誠の実家を出ていつに無く張り切っているアメリアの言葉に、かなめも同意して頷かなければならなかったが、ここに来てもうかなめは呆れて口を開くのをやめた。


 そしてそのままおもちゃ屋に直行した。フィギュアを真剣な目で吟味してその中でも最近人気のファンタジーノベルのヒロインのそれを嘗め回すように見た後、店員を呼んでプレゼント用に包ませた。


「誠ちゃんはどうして買わないの?好きでしょ?こういうの」 


 店を出るアメリアに誠は言葉が無かった。


「オメエなあ、あいつの趣味くらい分かれよ。伊達に二年も付き合いがあるわけじゃねえだろ?メイド服なんぞ自分の誕生日に自分の分として買え、そんなもの」 


 まったく今の心境としては誠はこのかなめの言葉に全面的に賛成するしかなかった。だが、誠は自分の方をアメリアがじっと見つめていることに気づいて動揺した。


「うるさいのは無視して……じゃあ、聞くけど。誠ちゃんは何を買うの?」 


 そんな一言に誠は正直虚を突かれた。カウラと言えば仕事が第一である。次がサークル活動の野球も趣味の一つと言えた。そして車には結構こだわるし、愛車の『スカイラインGTR』には丁寧にワックスがけをするきめ細かな気遣いもあった。さらにいつもの彼女の姿からは想像もできないパチンコと言うほとんど依存症の趣味がある。


 まず仕事に役に立ちそうなものが思いつかなかった。万年筆などはありきたりと言う以前にカウラはあまり無用のものを持ち歩かない主義だ。そうなると文房具の類は没となる。グローブやスパイクだが先週、誠と新しいグローブとスパイクを買いに行った以上、ただ邪魔になるだけとすぐに分かった。


 車はとても手が出ない。それにワックスやオイルを誕生日にプレゼントするなどと言う話は聞いたことが無かった。アクセサリーなどカウラがつけて喜ばないことは何度と無くサラが怪しげなお守りを土産に渡すもののすぐにゴミ箱に捨てる行動からも理解できた。


 同じくカウラ唯一の趣味らしい趣味のパチンコなど、新台を自腹で購入している彼女にいまさら何を渡せばいいのか誠には分からなかった。誠にはカウラに何をプレゼントすればいいのかさっぱり分からなかった。



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