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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十一章 超兵器の実験

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第89話 長期休暇前の帰宅風景

「おう、待たせたな」 


 そんな様子を眺めていた誠の後頭部にかなめは軽くチョップを入れた。ハンガーから吹いている風にカウラのエメラルドグリーンの髪とアメリアの紺色の髪がなびいた。


「じゃあ、行きましょうよ。どうせハンガーを経由した通路は邪魔になるだけでしょうから。しばらくあそこがこの『特殊な部隊』の主戦場になりそうね。誠ちゃんの代わりに戦う法術師は『不死身のヤンキー』島田正人准尉。まさに彼の漢の見せどころね」 


 そう言うといかにもうれしそうにアメリアは玄関に向かう階段を降り始めた。


「でも良いんですか?本当に休んじゃって。それと後でストレスの溜まった島田先輩のはけ口にされるのはいつも僕なんですよ。それくらい考えてくださいよ」 


 誠の不安そうな顔に先頭を闊歩していたアメリアが長い髪を振るようにして見つめて来た。


「大丈夫よ!まず隊員相互の信頼関係を構築すること。そして社会とのコミュニケーションを重視すること。公僕ならば当然でしょ?それと島田君の暴力は彼なりの愛情表現だから、昔から言うでしょ『愛ゆえに殴る』って」 


「そりゃあ理屈だ。でもそれじゃあただの税金泥棒じゃねえか。それに島田の暴力は愛情表現じゃねえ、島田の暴力は生きている証だ」 


 ぼそりとつぶやいたかなめをアメリアは挑発的な視線で見つめた。


「『武悪』のお金で税金泥棒扱い?それは違うわよ。今回の『武悪』の部隊配備に関する予算はすべて嵯峨家の泉州コロニーの嵯峨家の私費から出てるのよ。技術開発目的の投資と言うのが表向きの理由。だからどこの国の税金も使ってないわけだから税金泥棒って訳じゃないわ」 


 アメリアはいつも通り屁理屈をこねてその場を切り抜けようとする。


「それも泉州の平民の血と汗を搾り取った搾取の結晶じゃねえか。泉州の叔父貴の顔を見られるレベルの偉いさんが決めた理屈だ、そんなもの。それにアタシ等の給料は税金から出てるんじゃねえのか?」 


 そんなかなめの突っ込みにアメリアは首をひねってとぼけて見せた。


「その点は大丈夫だ。全員の有給にはかなり余裕がある。私もクバルカ中佐から消化しろと迫られていたからな。どこのだれの懐も痛まない。最善の選択だ」 


 そう言ってカウラは三人を置いて夕闇の中に消えようとした。三人はとりあえずは急いで彼女についていくことにした。



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