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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第二十章 超兵器到着

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第82話 いつも通りでいつもと違う勤務

「ちょっとついてきてくれ」 


 カウラは実働部隊の部屋の前でかなめと誠に声をかけた。いつもなら反応するアメリアだが、額に濡れタオルを当てたままぼんやりした表情で廊下を更衣室へと歩いていった。


「おう、来たか」 


 誠達が所属している機動部隊の隊長の机にはちょこんとランが座っていた。昨日、日本酒の量ならばかなり飲んでいたはずだというのに平気の体で端末の画面を覗き込んでいた。


「ハンガーのあれのことだろ?言わねーでもわかるよ」 


 そう言いながらランは苦笑いを浮かべた。


「オメー等は良いねー平和で。アタシは発狂寸前だよ。あんな化け物二度と乗りたくねーと思ってたが、そうもいかなくなってきたらしーわ」 


 先手を打ってランはそう言って笑った。


「……やはりクバルカ中佐の機体も押し付けられたんですか?」 


 カウラの一言にランは誠を見つめた。なぜ自分に視線が飛んだかわからない誠は茫然とランを見つめていた。それを見てランは大きくため息をついた。


「まあ同盟厚生局の事件が今回の急な搬入の直接のきっかけだな。厚生局とつるんでクーデターを画策していたシンパが芋づる的に見つかってな。特に東和軍はひどい有様だ。表には出ていないが内部調査で士官の10パーセントが何らかのつながりがあるという結果が出た。来年までにその全員が諭旨退職処分になる予定だ」 


 自分が動いた結果で起きた大変な事態。誠はそれに打ちのめされたように顔を青く染めていく。そんな誠の肩をかなめが叩いた。


「そりゃあ人件費が浮いていいことなんじゃないのか?」 


 そのままランの机の端に腰掛けてかなめはにんまりと笑う。ランは大きくため息をついてかなめを見上げた後、そのまま話を続けた。


「同盟加盟国では東和の二の舞を避けようと内部調査を実施したんだ。遼帝国の反地球運動とつながっている連中、甲武の貴族主義のはねっかえり、西モスレムの原理主義者、ゲルパルトのネオナチ、遼北の左翼教条主義者。どれもまあシンパと思える連中のよく見つかること……」 


 あきれたような調子でランは画面を切り替えた。そこには次々と各国の軍幹部の経歴書が映し出されては消えた。


「つまりそいつ等に持たせとくとあの化け物を実際戦場で使っちゃいそうだからうちで引き受けたわけか……迷惑な話だな」 


 かなめの言葉にカウラも頷いてみせた。ランもまた複雑な表情で誠達の顔を見渡した。


「まったく迷惑な話だぜ。アタシ機体はできればどこぞの海にでも沈めたいのが本音だが……えらいさんは許さないだろうからなー。特に西園寺、あれはオメエの伯父を殺した機体だ」 


「西園寺さんの伯父さんを殺した機体……」


 誠はランの言うことの意味が分からず、その言葉を反復するだけだった。



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