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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第十六章 いつものような飲み会

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第61話 神前家のクリスマス

「そんな人の話は良いとして神前君の話を聞きましょうよ。今回のクリスマスは神前君の家でやるんでしょ?ホストの話を聞かなきゃ話にならないじゃないの」 


 春子は弱り果てていた誠を見つめた。誠は照れてかなめ達に目をやってすぐに後悔した。春子に色目を使っていると誤解した三人はかなり苛立っていた。ともかくこの場を収めなければと言う義務感が誠を突き動かした。


「まずはケーキですね」 


「それなら私が手配するわよ。なんと言ってもカウラちゃんの誕生日なんだから」 


 ようやく落ち着いてアメリアが自慢げに語るのにかなめが白い目を向ける。カウラはどうでも良いというように突き出しを突いている。


「それとチキン。まあ地球では七面鳥を食べるところもあるそうですが」 


「動物ならかえでに頼むか?ああ、アイツに頼むと山鳥とか雉とかになるな。アイツの趣味は狩猟だから」 


「クリスマスに雉の丸焼きって聞いたことが無いわよ」


 かなめの言葉にアメリアが大きく首を横に振った。確かに狩猟が趣味でそちらの人脈もあるかえでなら話を聞いてくれそうだった。時にはこのあまさき屋にもイノシシや山鳥などの猟で取れた肉や、どこから手に入れたのかわからない珍しい鶏の卵などを持ってくることもある。だがかなめ命で自分主催の夜会を断られたかえでにジビエの下処理を頼むほどアメリアも鬼ではなかった。


「普通の肉屋で売ってる鶏肉で良いんじゃないのか?そんな珍しいものは必要ないだろ」 


 烏龍茶を飲みながらカウラがつぶやいた。アメリアはその言葉に納得するように頷くと誠の次の言葉を待った。


「ツリーとかはどうします?」 


 誠も久しくクリスマスらしいものとは無縁なので、そう言ってアメリアを見た。アメリアはぐっと右手の親指を上げて任せろと目を向けた。


「勝手にしろ!カウラの誕生日なんだろ?ツリーなんていらねえだろうが」 


 そう言うとかなめはグラスを口に運んだ。


「他にシャンパンは……」 


「スパーリングワインでしょ?」 


「どっちでもいいよ。でもテメエ等は飲むな。後片付けが面倒だ」 


 かなめが誠とアメリアに目を向けながらそう言った。自分の酒癖を自覚している誠とアメリアは苦笑いでそれに答えた。


「なんだか愉しそうね。うちも店を閉めて神前君のところお邪魔しようかしら」 


 そう言って微笑む春子にかなめがタレ目で空気を読んでくれと哀願するようなサインを送る。


「冗談よ、冗談。うちが店を閉めたら島田君や西君達まで押し寄せるわよ。たぶんこの店であの人達はクリスマスパーティーをするつもりでしょうから」


 島田は日中で『青春ごっこ』をサラと済ませて西達整備班を引き連れてここ月島屋を訪れることになるだろう。そう計算する春子の顔はすでに商売人のそれになっていた。 


「それはちょっと勘弁してもらいたいですね。特に島田先輩は人の物を勝手に持っていったりするので迷惑なんで」 


 誠はその騒動を思い浮かべて愛想笑いを浮かべた。そんな彼の視線に一人で腕の端末に何かを入力しているアメリアの姿が目に入った。


「何をしてるんですか?クラウゼ少佐」 


「ん?」 


 誠の言葉にアメリアの行動を見つけたカウラが端末の画面を覗きこむ。そこでアメリアはメモ帳のアプリに熱心に何かを打ち込んでいた。



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