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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第十二章 優先される事項

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第47話 隠し事をする『駄目人間』

『なんだよ……反応薄いじゃないか……実はうすうす察してた?』 


 突然スピーカーから声が聞こえてきた。しかしその声に驚く人物は部隊にはいなかった。


「叔父貴。盗聴とは趣味が悪いぞ」 


 呆れたようにかなめは戸棚の隣のスピーカーを見上げた。


 嵯峨が部隊のあちこちに隠しカメラや盗聴器を仕掛けていることは公然の秘密だった。


『ようやく満足が出来る設定になったって開発チームから連絡があってさ。とりあえずそれなら俺が見てやるから持って来いって言う話になったんだよ。それで明日、新港に到着するように泉州には手配してある。まあ、その手続きの面倒なことときたら……全く嫌になるよ』 


 ぼんやりとした嵯峨の顔が想像できて誠はついニヤつく。だが、隠しカメラの存在を思い出してすぐにそれを修正した。


「だったらランの姐御の機体を用意した理由はなんなんだ?」 


 いつも叔父に対して挑発的な口調になるかなめは言葉を発した後、誠の視線に気づいたかなめは気まずそうに剥いたみかんを口に放り込んだ。


『まあ……ランの05式先行試作に付けた法術触媒機能がいま一つ相性が悪くてね。ひよこの奴がどうしても『方天画戟』の触媒システムの稼動データが取りたいって言うんだ。今の機体は十分な実験データが取れていない状態で実働部隊に使用されていること自体が異常なんだよ。まあこれからも運用は05式で行くつもりだよ。『方天画戟』なんて物騒なモノおいそれと持ち出す訳にもいかないし、ランの奴もあれには乗りたくないって言うしね』 


 嵯峨は明らかにやる気の無さそうにそう言うと通信機の向こうでタバコを吸っているようだった。


「異常?この部隊自体が異常なくせに……だから『特殊な部隊』って言われるんだよ」 


 叔父である嵯峨の言葉にかなめは切り返す。誠はただ頷きながら彼を見つめているカウラの視線を感じて目を伏せた。


『そんな事言うなよ。一応俺も苦労しているんだぜ』 


「苦労ねえ……」 


 かなめは意味ありげに笑う。誠も乾いた笑みを浮かべるしかなかった。


「物騒なものを持ち込むんだ。それなりの近隣諸国への言い訳や仮想敵あるんだろうな。アメちゃんか?ロシアか?それともゲルパルトの残党や甲武の貴族主義過激派か?理由は威嚇か?最終調整の為の試験起動か?それとも……」 


『焦りなさるなって』 


 かなめの矢継ぎ早の質問に嵯峨はいつもののらりくらりとした対応で返す。誠はかなめに目をやったが明らかに苛立っていた。


「先日の遼帝国宰相の東和訪問の際にタイミングを見計らって新港に荷揚げしてそのまま隣の工場まで運んだんですか?マスコミの目から『方天画戟』の存在を隠す為に」 


 アメリアの言葉に驚いたようにかなめの視線が走る。


「なによ!そんなに責めるような目で見ないでよ。一応これでもあなた達より上官の佐官で運用艦『ふさ』運航部の部長なのよ。話はいろいろ知ってても当然でしょ?」 


 慌ててそう言ったアメリアの言葉にカウラは頷くがかなめは納得できないというように手にしていたみかんをコタツにおいてアメリアをにらみつけていた。


『喧嘩は関心しないねえ……。仮想敵から話をするとねえ、遼帝国の南都軍閥に動きがある』 


 そんな嵯峨の一言で空気が変わった。



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