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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第十章 定められた闖入

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第34話 誠の実家へのお出かけ

「でねでね!さっきの続きだけどね。今日、ランちゃんに頼んで今月の19日から来月の4日まで私達は休暇をとることにしたのよ。どうかしら?私って気が利いてるでしょ?」 


 いつものようにアメリアは突拍子もないことを言い出した。誠もカウラもその突然の決定事項にただひたすら戸惑うことしかできなかった。


「したのよ?それは決定事項なのか?そんなことを勝手に決められても困るぞ」 


 カウラは怪訝な顔でアメリアを見つめた。誠も突然のアメリアの言葉に驚いた。


「決定なんですか?僕もこれからインフルエンザとか流行るじゃないですか。そうしたら年休無いのは辛いですよ」 


 誠の言葉にアメリアは笑みを浮かべて大きく頷いた。カウラはすぐに自分の腕に巻いた端末を起動させて画面を何度か転換させた後、大きくため息をついてアメリアをにらみつけた。


「確かに……アメリアの言う通りの予定が組まれている。クバルカ中佐の許可も取ってあるな。もうすでに決まったことだ。神前、諦めろ」 


 勤務体制の組み換えの許可は副隊長であるランの承認が必要だった。逆に言えばランが勤務体制がタイトに過ぎると判断すれば各人の休暇消化の指示が出た。事実、出動後のシュツルム・パンツァーのオーバーホールなどで超過勤務が続くことが多い技術部のメンバーには何度か休暇消化命令が出たこともあった。


「まあね。有給消化率の低いカウラちゃんを休ませると言ったらランちゃんすぐにオーケー出してくれたわよ。本当に中佐ともなると同僚相手に丹念に気を遣うようになるのよ。今後の参考にして頂戴」 


「ランちゃん?それはアタシの事か、アメリア?」 


 外からの声に驚いて誠はゲートの方を振り返る。そこにはにらんでいるような目が見えた。


「あ!クバルカ中佐……居たんですか?」 


 カウラはコタツの中の誠の足を蹴った。それを合図に誠は席を外しているかなめに変わりコタツを出て這ってゲートの操作ボタンまで向かった。


「オメー等暇そうだな……って西園寺はどうした?まさかアイツだけサボってる訳じゃねーだろーな。アイツの事だ自分勝手に退屈だから抜け出すなんてことはやりかねねー。後で折檻だ」 


 ゲートの開くのを見ながらデニム地のジャケットを着てランが高級外車から身を乗り出していた。


「ええと、かなめちゃんならタバコ吸いに行きましたよ。それより休日出勤ご苦労様です!」 


 そう言ってにんまりと笑うアメリアを見てランは大きくため息をついた。 


「仕事を増やす部下ばっかりで大変だよ。こっちの身にもなって見ろってんだ。それに状況が状況だ。アタシも休んでるより仕事してた方が気が休まる」 


 そう言い捨てるとランは工場の内部道路へと去っていった。


「でも……ほんとランちゃんてかわいいわよね。あんなに小さいのに『人類最強』のpわー。コンパクト&ハイパワーを地で行くところなんか、憧れるわ」 


 アメリアは心底うれしそうな顔をする。それを見ながら寒さに負けて誠はコタツに向かった。だが、コタツにたどり着く直前でゲートに現れた客の咳払いが聞こえてそのままの格好で誠はゲートの操作ボタンへと這って行った。


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