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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第七章 警備活動と言う名の雑談

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第26話 任務交代と和んでる人

「あ!西園寺大尉とカウラさん……いやベルガー大尉ですか?」 


 通用門の隣の警備室からスキンヘッドの曹長が顔を出していた。彼は手に銃を手にして腹にはタクティカルベストに予備の弾倉をぱんぱんに入れた臨戦装備で待ち構えていた。


「これおいしいわよ!」 


 その後ろではうれしそうにコタツでみかんを食べているアメリアの姿があった。その様子は真面目に門番などする気はさらさらないと言う意思表示の様に誠には見えた。


「引継ぎの連絡はクラウゼ少佐にしましたから。俺達はこれで」 


 そう言うとスキンヘッドの曹長と中から出てきた角刈りの兵長は敬礼をしてそのまま去っていった。


「遅いじゃないの!待ちくたびれちゃったわよ」 


 そう言うとアメリアはコタツの中央に置かれたみかんの山から誠、かなめ、カウラの分を取り分けて笑顔で三人を迎え入れた。


「これはランちゃんがお世話になってる御仁お勧めのみかんよ。甘くってもう……後を引いて後を引いて。やっぱりおいしいものを食べ慣れてる人の選ぶ一品は違うのね」 


 その言葉通りアメリアの前にはすでに二つのみかんの皮が置かれていた。それを見たかなめもぶっきらぼうな顔をして靴を脱ぎ捨てるとすぐにコタツに足を入れてアメリアが取り分けたみかんを手にすると無言でむき始めた。


「まあ自由にやって頂戴よ、カウラちゃんと誠ちゃんも」


 アメリアは完全に主人気取りでそう言うとこたつの中で完全にまったりモードを気取っていた。 


「なんだよ、(あるじ)気取りか?さっき島田がテメエの事で散々愚痴ってたぞ。余計な仕事を押し付けてくるのはいい加減にしろって。いい加減他の部の連中まで巻き込んでお遊びに夢中になるのもいい加減にしろよ。オメーの趣味が多いのは勝手だが、人まで巻き込むんじゃねえ。迷惑だ」 


 かなめはそう言って呆れたような調子で警備室のドアを開いた。かなめはそのまま素早くパンプスを脱いで、上がりこむとアメリアの目の前に積まれた未完に手を伸ばした。


 アメリアとかなめ。二人してみかんを剥くのに夢中になっていた。顔を見合わせて冷めた笑いを浮かべると誠とカウラも靴を脱いで上がりこんだ。


「ああ、ゲート上げ下げはかなめちゃんがやってね。私は寒いから絶対、嫌」


 こたつから出るつもりはまったく無いアメリアはかなめに向けてそう言った。 


「なんだよ!アタシがやるのか?人をサイボーグだからって見下してねえか?人造人間が全く偉そうにしやがって」


 明らかに不服そうにかなめはそう言うが、カウラはアメリアの言うことはもっともだと言うように静かに頷いた。 


「だって私は人造人間だけど生身だから寒いの。零下20度でも活動できるサイボーグに最適なお仕事でしょ?寒いの嫌いなの、私。かなめちゃんには分からないかもしれないけど」


 口にみかんを詰め込んだかなめが四つんばいでゲートの操作ボタンのある窓へと這っていった。


「みなさん。穏やかに過ごしましょうね。喧嘩とかしないでくださいね」


 誠は仕事の押し付け合いからつまらぬいさかいが起きるのではないかと言う恐怖感から自然と口をついてそんな言葉が出ている自分を情けなく感じていた。



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