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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第六章 日常業務は続く

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第24話 歩哨任務をあてがわれて

「技術部の連中にベルルカン風邪が流行っててな……ベルガー、西園寺、神前。歩哨を頼めるか?第二小隊の連中はどうやら都心の事故渋滞に捕まったみてーでまだ帰ってきてねーんだ。それに帰ってきても今日中に訓練の報告書を提出させるつもりだからな。アイツ等はオメー等と違って厳しく接しても大丈夫みてーだから」


 部隊の入り口にある警備室にはいつも技術部員の誰かが詰めていた。そこに人手が足りないらしいことをランは言いたいようだった。


「歩哨?どうせ入り口の警備室でゲートの上げ下げだけをやる仕事だろ?面倒だな」


 明らかに押し付けられた仕事にかなめは不服そうだった。


「どうせオメー等だけだと話し相手も欲しいだろうからアメリアにも頼んでおいたからな。アイツはアイツでなんでもオメー等に話があるらしい。ただ、ゲートの上げ下げ以外のこともできるだろ?アタシは気が利く上司だからな」


 アメリアの言いたいことは要するにカウラの誕生日の名を借りたクリスマスパーティーの件だろう。誠にもそのことはすぐに察しがついた。 


「面倒くさいねえ……アメリアの話なんざどうせろくなことじゃねえんだ。アメリアの起こすドタバタに巻き込まれるのはパーラだけで十分だってえの」


 かなめは頭を掻きながらそう言って苦笑いを浮かべた。


「カウラ!そう言うわけだ。とりあえず歩哨の任務を優先してくれ。報告書は明日でも良い」 


 諦めたランはそう言うと腕の端末に目を向ける。


「20時まで、ゲートで歩哨任務につけ!」 


「は!20:00時までゲート管理業務に移ります!」 


 立ち上がったカウラに大きく頷いて見せてランは颯爽と部屋から出て行った。にんまりと笑った二人はそのまま立ち上がると出口で敬礼してそのままカウラを置いて廊下に出た。


「あ!お姉さま!ただいま戻りました!」 


 声をかけてきたのは巻き込まれた事故渋滞からようやく解放されて遅れて到着した第二小隊小隊長の嵯峨かえで少佐だった。そのまま走り寄ってこないのは明らかに彼女を見てかなめの表情が冷たくなったからだった。だが、実の姉であるかなめに苛められたいというマゾヒスティックな嗜好の持ち主のかえでは恍惚の表情で立ち去ろうとするかなめを見つめていた。誠も出来るだけ早く立ち去りたいと言う願望にしたがってかえでの後ろの第二小隊隊員渡辺リン大尉と『男の()』アン・ナン・パク軍曹を無視して、そのまま管理部のガラス窓を横切りハンガーへ降りる階段へと向かった。


「声ぐらいかけてやればいいのに。折角貴様の為に急いで帰って来たと言うのに」 


 追いついてきたカウラの一言にかなめはさらに不機嫌になったようにカウラにらみつけた。


「そんなことしてもつけあがるだけだ。それに奴も喜んでる。いわゆる『放置プレイ』と言う奴だ」


 かなめは冷たくそう言って歩みを速めた。その表情を見てさすがのカウラも目をそらした。


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