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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第四十四章 怪しい屋敷からの生還者

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第194話 ただでは起きない女

「さっきから二人とも黙ったままで……一方西園寺はやたらご機嫌で……貴様等昨日から変だぞ」


 いつものように出勤途中の『スカイラインGTR』の中でハンドルを握るカウラは心配そうに助手席の誠と後ろに座るアメリアに目をやっていた。


「いいのよ、純粋な人は。これ以上私の脳内が穢れていくのを笑えばいいわ。カウラちゃん、あなたにはその資格がある。羨ましいわね」


 相変わらず半分も朝食を残した空腹がもたらす虚脱感からだれた表情のアメリアが力ない笑いをカウラに向けた。


「アメリア。貴様は何を言っているんだ?それと西園寺。貴様は知っているな、神前とアメリアの様子がおかしい理由を」


 産業道路に向う側道で赤信号に引っかかった時、カウラはそう言ってかなめの方に目をやった。


「知ってる。でもテメエは知らねえで良いことだ。世の中知らねえで良いことが沢山あることくらい、軍人やってりゃ分かるだろ?そんなところだ」


 かなめも自分の口からかえでの変態性を説明するつもりは無いらしくそう言って誤魔化しにかかった。


「それにしても、かなめちゃんが慣れると言うことは……そうだわ!」


 突然アメリアの糸目が開かれてその腐った脳内にひらめきが走ったことを誠に知らせた。


「アメリアさん。またくだらないことを思いつきましたね」


 こういう時一番に巻き込まれることに慣れてきた誠はまた厄介ごとを押し付けられると言う被害妄想から絞り出すような調子でそうつぶやいた。


「そうよ、そう言う趣味の人をターゲットにしたゲームを作ればいいのよ。次回作はこれで決まりね。アレの描写も色を変えられるような仕様にすれば売り上げの数も稼げると思うし……誠ちゃん、どう思う?」


 アメリアはただでは起きない女だった。そしてその原画を描かされる誠にとっては迷惑千万な存在だった。


「僕は嫌ですよ。僕も汚い絵は描きたくないんで。これまでのゲームだってそっちの方はなんとか誤魔化してきたじゃないですか。特に食べてる描写なんてとてもじゃないが描く気にはなれません!」


 なんとか抵抗を試みる誠だが、一度決意をしたアメリアを翻意させることは無理なのは十分わかっていた。


「なんだ?昨日のプレイをゲーム化するのか?それなら昨日のプレイの様子はリンがデータで持ってるはずだから後で送ってやるぞ。それはそれは全身抹茶色で快楽に身を任せている『許婚』の姿が見られるんだぞ。神前、楽しみにしてろ」


 かなめはそういってにやりと笑うとアメリアに視線を向けた。アメリアは覚悟を決めたと言うように静かに頷いた。


「アメリアさんだけじゃなくって原画を描く僕も見るんですね。その動画。見たくないな……」


「なによ、『許婚』が望んでいることよ。それに私は許さないけど誠ちゃんがかえでちゃんと結婚することになったらそれはもう大変なことに……」


 誠は当惑し、アメリアはその当惑を楽しむように下卑た笑みを浮かべた。


「貴様等は何を言っているんだ?それよりもうすぐ着くぞ。サラのお祝いとやらが楽しみだな」


 純粋無垢な運転手のカウラの人となりに誠は一抹の清涼感のような存在だとカウラの事を思っていた。




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