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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第四十四章 怪しい屋敷からの生還者

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第192話 異常空間からの帰還者

「ああ、昨日は良かったのか……それとも悪かったのか……リアル的には良い一日だったけど、妄想的にはかなり恐ろしい一日だったような……しかし、渡辺大尉の味覚ってどうなってるんだろう……あんなものを喜んで食べるなんて……」


 30日。誠は寮の自室で目を覚ました。昨日はそのまま豊川と東都の往復などと言う無駄なことをしないために、かなめと別れた誠、カウラ、アメリアはそのまま寮に帰って普通の日常を過ごした。


 黙り込んで一言も口を利かないアメリアにカウラは何度も話しかけたが、かえでの異常な趣味を妄想してしまったアメリアは純情なカウラをその色に染めるわけにはいかないと覚悟を決めて沈黙を守り続けた。


 誠もまた、自分の『許婚』であるかえでに誠の想像する通りとすれば非常に変わった趣味があることをカウラに説明すればカウラを混乱させるだけだと思いを決め、カウラの質問にあいまいな答えに終始することで眠るまでの時間を過ごして何とかやり過ごした。


「それにしても西園寺さんは大丈夫かな……汚いのは嫌いだとか言ってたけど……想像しただけで食欲がなくなって来たよ」


 誠は着替えを済ませるとそのまま階段を下りて拒絶する脳内にあらがう食欲に耐えかねて食堂に向った。


「誠ちゃんおはよう。今朝トイレ行けた?私は無理だった。昨日のリンちゃんのあの嬉しそうな顔がトイレに行くたびに頭に浮かんできちゃって……」


 ほぼ同時に階段を下りてきたアメリアには明らかに元気が無かった。


「アメリアさん。どうしたんですか?どこか悪いんですか?」


 アメリアの体調不良の原因は誠にはほぼ特定できていたが、一応あいさつ程度にそう言ってみた。


「誠ちゃん……しばらくカレーを食べることはやめましょうね。それとトイレに行くとどうしてもかえでちゃんの顔が思い出されてきちゃうのよ……これはしばらく正常な心理状態に戻るには時間がかかるかも……アレを食べる人がいるなんて……確かにゲームや同人誌には出て来るけどリアルで会っちゃうとなんだかなあって感じになるのよ」


 アメリアはその妄想力でかえでの印象を悪い方に塗り替えているようだった。


「どうしたんだ?二人とも元気が無いじゃないか」


 食堂の入り口で雑談していた誠とアメリアに元気そうにカウラが声をかけてきた。


「おはよう、カウラちゃん。良いわね、純粋ってことは。私は産まれて初めて自分が純粋じゃないことを呪ったわ。カウラちゃんみたいに純粋か、そう言う趣味の人ならこの状況に対応できるでしょうけど……私にはとても無理だわ」


 アメリアはそう言うと食堂のドアに手を伸ばした。


「ただいまー……って元気無さそうだな。アタシはシャワー浴びて来るから」


 寮の玄関から入って来たかなめは一言あいさつするとそのまま足早にシャワーへと向かった。その普段と変わらないかなめの様子を見てアメリアと誠は顔を見合わせ大きなため息をついた。


「どうしたんだ?二人とも、ため息なんかついて。体調でも悪いのか?何ならサラの申し出は私だけで行くと言うのも考えておくぞ」


 何も知らないカウラは憂鬱そうな表情を浮かべる誠たち二人にいつも通りの無表情を浮かべて訪ねてきた。


「良いわ、説明すると朝食に差し支えるから。とりあえず昨日の記憶を消すために食事にしましょう」


 そう言ってアメリアは食堂に入った。誠も同じ気持ちでその後に続いた。二人の様子に首をかしげながら見つめていたカウラもまたその後ろに続いて食堂に入った。



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