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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第四十三章 かえでの怪しい屋敷

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第184話 かなめの動揺するかえでからの誘い

「おい!起きろ!」


 それは12月29日の事だった。それはあまりに突然だった。


 クリスマス会兼カウラの誕生日パーティーから続く毎日のようなにぎやかな日々に満足していた誠の頭をかなめは容赦なく蹴りつけてそう叫んだ。


「いきなり何するんですか!この数日の楽しい日々はなんだったんですか!僕の頭はサッカーボールじゃ無いんですよ!ポンポン蹴らないでください!」


 目覚めの朝にかなめに暴力を振るわれるのはかなめが寮に来てからは毎度の事なので誠の反論にも慣れがあった。


「そんなことはどうでも良いんだ!今日は豊川に戻るぞ!用事が出来た。大事な用事だ。これはすべてに優先する。それだけはちゃんと覚えておけ」


 かなめは明らかに動揺した調子でそう言い放った。


「用事ですか?なら西園寺さんだけで行けばいいじゃ無いですか。僕は関係ないでしょ?それにもしも僕まで行かなきゃならないような大事な用事なら昨日のうちに言ってくださいよ。僕にだって心づもりと言うものが有るんですから」


 いつもいつも面倒ごとに誠を巻き込んでくる身勝手なかなめに正直誠は辟易していた。


「アタシだけが対象なら別にこんなことはしてねえ。アタシ等全員が対象になってるんだ。特に『許婚』である、テメエには絶対に関係のある話だ。そう言えば分かるだろ?」


 かなめが『許婚』と言ったことで、どうやらかなめの言うことが妹のかえでに関することらしいことは誠にも分かった。


「かえでさんの家で何かするんですね。分かりました、とりあえず下の茶の間でお話ししましょう。着替えるんで出て行っていただけます?」


 毎度のかなめの乱入に慣れたまことはそのあしらい方もだんだんわかってきた。


「じゃあ、下で待ってるから。カウラとアメリアも集めておく。またあの18禁男女(おとこおんな)の相手かよ……面倒な話だ」


 それだけ言うとかなめは部屋を出て行った。


「まったくなんだって言うんだよ……姉妹の事は姉妹で解決してくれよ……それに僕はまだ日野少佐を『許婚』だって認めたわけじゃ無いんだから……」


 手早く着替えを済ませながら誠はそういつものように愚痴を言っていた。


 着替えを済ませて茶の間に行くと、これもやる気の無さそうなカウラとアメリアの姿があった。


「おはようございます。本当にこの頃楽しい日が続いてますね」


 誠は笑顔でカウラにそう話しかけた。そんな誠の言葉など聞こえていないかのようにカウラは微妙にひきつった笑みを返すだけだった。


「かなめちゃんの身勝手もそうだけど、かえでちゃんも……いくらかなめちゃんが自分が主催した晩餐会に来なかったからって急に呼び出すことは無いでしょうに。自分勝手なのは西園寺家の血筋なのかしら」


 少し腹を立てている様子でアメリアはそう言って誠を糸目でにらみつけた。


「かえでさんが僕達を呼び出したんですか?何のために?」


「それをあの暴力サイボーグがこれから説明するのよ。あの子が来るまで待ちましょう。どうせろくでもない話よ。いやな予感しかしないわ」


 アメリアはそう言って苦笑いを浮かべつつ、朝食の準備をしている薫の後ろ姿に目をやっていた。



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