表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第四十章 パーティーが始まる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

171/200

第171話 ちょっとした隠し事

 結局、タンドリーチキンを食べ損ねた誠はその代わりと言ってアメリアに渡されたみかんを手に、居間のコタツに入ってゆったりとテレビを眺めていた。番組はなぜかラグビーの試合が映されていた。理工系の大学で体育会は軒並み弱小だった誠はラグビーなどまるで縁がない話だが、なぜかアメリアはなぜかその番組を選んでちらちらと試合の流れを見ているようだった。


「もうすぐ来るはずなんだけど……」 


 アメリアは時計を気にしながら自分でも確保したみかんの皮を剥いていた。薫はレシピを片手に鶏肉の仕込みをしていた。カウラは薫の後姿を眺めているようで、台所を居間から覗き込めばそのエメラルドグリーンのポニーテールが動いているのが確認できた。


「みかんおいしいわね。ランちゃんをお世話してる御仁が選んだあれに引けを取らないくらいにおいしいわ」 


 そう言うとアメリアは一つ目のみかんの最後の袋を口に放り込んだ。


「そうでしょ?この前、うちの道場に来ている双子の小学生の男の子の親御さんが持ってきてくれたんだけど、本当においしくて……最高でしょ?」 


 得意げな薫の声が台所から聞こえた。


「宴会をするんだろ?場所とかはどうするんだ?」 


 台所にいてもすることが無いことに気づいたのか、カウラはようやく腕組みをしながら居間にやってきた。アメリアはコタツの真ん中に置かれたみかんの山から一つを手に取ると、そのままカウラの座る席の前に置いた。


「まだ少し待っててね。そちらにこっちのテーブルと椅子を運んでもらうから。こちらが一段落着いたらお願いするわね」 


 薫の声。今度は野菜を切るような音が響いてきた。


「こんな話は無粋なのはわかっているんだが……」 


 カウラが突然おずおずと口を開いた。不思議そうにそれをアメリアが見つめていた。


「突然、何?また仕事の話?いい加減仕事は忘れなさいよ。カウラちゃんの悪い癖よ仕事とパチンコの事が頭を離れないのは」 


 みかんを剥きながら話を始めようとしたカウラに、眉をひそめてアメリアが尋ねた。カウラの生真面目なところがこう言うときにも出てくることに、誠は笑顔で彼女を見つめた。


「そうですよ、カウラさん。今日はカウラさんの誕生日なんですから。すべてを忘れて楽しみましょうよ。これもきっといい思い出になりますから」


 誠もそう言ってカウラに笑いかけた。


「確かにそれは分かっている。でも……気になるものは仕方ないんだ。これだけはたぶんラスト・バタリオンとか関係なく人間に有る性格と言うものなのかもしれない」


 自信なさげにそう言うとカウラはアメリアの目を真剣な表情で見つめた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ