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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 人造人間の誕生日又は恋人の居ない星のクリスマス  作者: 橋本 直
第三十八章 罰としての昼食おごり

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第166話 憧れの恋人とのクリスマス

「良いわねえ……二人っきりのクリスマス……邪魔したくなるくらい」 


 島田とサラの二人の後姿にアメリアはあこがれるような表情を浮かべた。だがこちらも不機嫌そうなかなめはじっとかけ蕎麦をすすっている菰田をにらみつけていた。


「本当にすいません」 


 菰田はひたすらすまなそうに謝って見せた。だがカウラはそのような言葉に耳を貸すわけではなかった。


「それじゃあ帰るか」 


 カウラは立ち上がる。追いすがるような菰田の視線が誠の笑いを誘うが、すぐに目の前で殺意をこめた視線を送ってくる菰田がいるのでただ黙り込んだ。


「じゃあお勘定お願いね」 


「ちゃんと払えよ」 


 アメリアもかなめも感謝の言葉を口にする気持ちは無いと言うように無情に立ち上がった。誠も仕方なく立ち上がった。黒で統一されたような和風の雰囲気の蕎麦屋店内を誠達は後にした。もうすでに自分達の分だけの会計を済ませた島田達の姿は無かった。


「アタシ等の分は全部あいつが払いますから!」 


 近づいてきた店員に、かなめがうつむいている菰田を指差した。ニヤニヤ笑いながらアメリアが店を出るのにカウラと誠はそのまま付き従った。


「寒いわねえ」 


 店を出たとたん、弱々しい太陽と北風の出迎えを受けてアメリアが首をすくめた。紺色のコートと彼女の同じ色の長い髪が風になびいているのが見えた。


「それじゃあ帰るか」 


 最後に出てきたかなめがそう言うとアメリアは大きく頷いて歩き出した。


「帰るんですか?」 


 誠のその一言にゆらりと振り返っておどろおどろしい雰囲気でかなめは誠をにらんだ。


「なんだ?お前これからカウラと何をする気だったんだ?」 


「そりゃあ決まってるじゃないの……ねえ」 


 そう誠に言ってくるアメリアの表情には笑いは無かった。誠は仕方なくカウラを見た。彼女はおいしい蕎麦に満足したと言う表情で誠を見つめてきた。


「わかりましたよ!」 


 そう言うと誠はそのまま最寄りの地下鉄の駅を目指して歩き出した。


「でも……なんだか二人の歩く姿がなんだかお似合いで少し悔しかったわね」 


 ポツリとつぶやいたアメリアの後頭部をかなめが小突いた。二人を振り返り苦笑いを浮かべながら下町情緒のある東都の街を誠達は歩いた。考えてみれば彼女達と出会ってまだ半年を迎えるかどうかと言うところ。ここまでなじめるとは誠も考えていなかった。


「それにしても腹立つな……叔父貴め!」 


 そう言ってかなめは何かを殴るふりをした。そんな彼女をアメリアはいつもの流し目で見つめた。


「尾行を考え出した人間がよく言うな」 


 二人ともさすがに今の状態でカウラに見つめられると苦笑いを浮かべるしかなかった。



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